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寝ない子

長男を出産した翌日から母子同室となるため息子がいる新生児室に向かい、名前を告げると看護師さんが息子を私に渡しながら
「よく泣く子だね」
と一言。

この時から私にとってただただ壮絶な子育てが始まったのだと思う。

そもそも息子は#赤ちゃんいる暮らし、みたいな穏やかで癒される子ではなかった。

本当によく泣く子だった。そして眠らない子だった。静かなのは母乳を吸っている間だけ。

新生児って3時間おきに母乳を飲んで眠るんじゃないの?

なぜ3時間泣き続けるの?

産後、立ち上がるのもつらく座って抱っこして寝かそうとしても泣いて泣いて眠らない。

1日が終わらない。

朝も夜もない。

それでもお世話にしないとこの子は死んでしまう。

母親だからちゃんとしなくちゃ。

眠る方法は?

疲れさせるために1日に何度もお風呂に入れ、その後ラベンダーのクリームでマッサージ。

疳の虫にきく薬も飲ました。

部屋の温度、湿度に気を配り、私はどんどん神経質になっていく。

そして9ヶ月ほどがたち、相変わらず眠らない息子と、1日の睡眠をかき集めても4時間にもならないふらふらの私は、いつものように家にいた。

もっと赤ちゃんを可愛がって、子育てを楽しみたかったな。

いろいろおでかけもしたかったけど、こんな状態じゃ外にも出られないし、出ても楽しめない。

こんなはずじゃなかった。

ふとそばから離れようとした私の足に、息子がしがみついた。

まさか息子が私に後追いするなんて。
だって最低限のお世話しかしてないのに。
笑いかけることも、歌うことも、絵本を読むこともない。
そんな私に後追いをするの?

ああ、私はこの子に愛されていたのだ。

私は息子のお世話が嫌で嫌で仕方がないのに、この子は私を愛してくれていたんだ。

今まで無償の愛というものは、親が子へ捧げるものだと思ってた。

それができない自分を苦しくも思ってた。

けれど違ったのだ。

義務でそばにいた私を息子はただ愛してくれた。
無償の愛があるとするならば、あの時感じた息子から私への愛なのだろう。

それを返していけたら。

母親になれたのはきっとあの時。

#子どもが教えてくれたこと

でも子育てにはその時々の壮絶さがあるなと遠い目なるのは、また別の話。

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