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信用(債権・債務関係)の証明

割引あり

信用の意味

経済学における「信用」の意味について、良い説明があったので引用します。

信用には二つの側面がある。第一は、取引としての信用であって、たとえば甲が乙に貸し付けるというような取引関係そのものの意味、すなわち貸借的信用である。第二に、そういう取引行為の結果生じる客観的実在としての債権・債務関係が、取引にとっての手段ないし対象とされることがある。これが貨幣的信用である。

貸借的信用と貨幣的信用- コトバンク

経済学において「信用」とは「債権・債務の関係」のことです。間違えないでください。

下のような言説は、「信用」を一般的な「信じて疑わない」という意味で説明しています。大いに誤解の含まれる説明なので忘れてください。

お金の正体は「信用」であり、一万円札はただの紙切れであり、それを大多数が価値があると信じているから一万円札に一万円の価値が生まれる。

定義

$${C}$$: 債権
$${D}$$: 債務
$${Ci}$$: 債権者
$${Di}$$: 債務者
$${Cr}$$: 債権の存在
$${Dr}$$: 債務の存在

1. 命題:「債務者が債務を負っているなら、債権者は債権を有している」

$$
Dr(Di, D) ⇒ Cr(Ci, C)
$$

$${Dr(Di, D)}$$ は「債務者が債務を負っている」という事実を表し、$${Cr(Ci, C)}$$ は「債権者は債権を有している」という事実を表します。

1.1. 対偶法による証明:

対偶命題:「債権者が債権を有していないなら、債務者は債務を負っていない」

$$
¬Cr(Ci, C) ⇒ ¬Dr(Di, D)
$$

債権と債務は一対一の関係にあると言えます。すなわち、債権者が債権を有していない場合、それは債務者が債務を負っていないことを意味します。

従って、$${¬Cr(Ci, C)}$$ が真である場合(債権者が債権を有していない場合)、$${¬Dr(Di, D)}$$ も真である(債務者は債務を負っていない)と言えます。

これにより、$${¬Cr(Ci, C) ⇒ ¬Dr(Di, D)}$$ が証明されました。この対偶が真であると証明できたため、原命題も真であることが証明されました。

1.2. 背理法による証明:

否定命題:「債務者が債務を負っているが、債権者は債権を有していない」

$$
Dr(Di, D) ∧ ¬Cr(Ci, C)
$$

この否定命題は、「債務者が債務を負っているにもかかわらず、債権者は債権を有していない」という意味です。

しかし、債務者が債務を負っているということは、その債務に対応する債権が存在し、その債権を有するのが債権者であるということを意味します。これは否定命題と矛盾します。従って、元の命題が真であることが証明されました。

2. 命題:「債権者は債権を有しているなら、債務者が債務を負っている」

$$
Cr(Ci, C) ⇒ Dr(Di, D)
$$

$${Cr(Ci, C)}$$ は「債権者は債権を有している」という事実を表し、 $${Dr(Di, D)}$$ は「債務者が債務を負っている」という事実を表します。

2.1. 対偶法による証明:

対偶命題:「債務者が債務を負っていないなら、債権者は債権を有していない」

$$
¬Dr(Di, D) ⇒ ¬Cr(Ci, C)
$$

債権と債務は一対一の関係にあると言えます。すなわち、債務者が債務を負っていない場合、それは債権者が債権を有していないことを意味します。

従って、 $${¬Dr(Di, D)}$$ が真である場合(債務者が債務を負っていない場合)、 $${¬Cr(Ci, C)}$$ も真である(債権者は債権を有していない)と言えます。

これにより、 $${¬Dr(Di, D) ⇒ ¬Cr(Ci, C)}$$ が証明されました。この対偶が真であると証明できたため、原命題も真であることが証明されました。

2.2. 背理法による証明:

否定命題:「債権者は債権を有しているが、債務者は債務を負っていない」

$$
Cr(Ci, C) ∧ ¬Dr(Di, D)
$$

この否定命題は、「債権者は債権を有しているにもかかわらず、債務者は債務を負っていない」という意味です。

しかし、債権者が債権を有しているということは、その債権に対応する債務が存在し、その債務を負っているのが債務者であるということを意味します。これは否定命題と矛盾します。したがって、元の命題が真であることが証明されました。

3. 命題:「債権者が債権を有しており、債務者が債務を負っている」

$$
Cr(Ci, C) ⇔ Dr(Di, D)
$$

3.1. ⇒ 方向の証明:

既に証明された命題 $${Cr(Ci, C) ⇒ Dr(Di, D)}$$ により、債権者が債権を有しているならば、それに応じて債務者は債務を負っていることが確認されています。

3.2. ⇐ 方向の証明:

同様に、既に証明された命題 $${Dr(Di, D) ⇒ Cr(Ci, C)}$$ により、債務者が債務を負っているならば、それに応じて債権者は債権を有していることが確認されています。

3.3. 両側の証明による結論:

以上の 3.1 と 3.2 の証明から、債権者が債権を有していることと債務者が債務を負っていることは相互に依存する関係にあり、一方が真であれば他方も真となることが示されました。したがって、以下の双方向の論理的等価性が成立します。

$$
Cr(Ci, C) ⇔ Dr(Di, D)
$$

これにより、債権者が債権を有している場合には必ず債務者が債務を負っており、逆もまた真であることが証明されました。

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