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The Doors 「The Soft Parade」 (1969)

ザ・ドアーズ…、若いころはあまり好きでなかったのに、歳と共に妙に気になるグループとなりました。
衝撃度合いからすれば、やっぱり1967年のファース ト「The Doors」が一番でしょうか。また名盤っていうとファーストと「L.A. Woman」がよく挙げられますね。
そして本作は…というと、ドアーズ6枚のオリジナルアルバムのなかでは一般的に評価は低いということでしょうか。恐らくポップ過ぎたり、ホーンを大胆に導入したり、カントリーまでやっていたりと…、ジムの言動から連想される怪しげなサイケ感覚をイメージされると、確かに本作は異色作ということになるかもしれません。ただ個人的にはジム・モリソンはポップスが好きだった筈だし、ドアーズの下地はそういった親しみやすいメロディを持ったバンドだと思ってます。ですから本作は、個人的には満足のいくアルバムだと感じてます。

本作から楽曲のクレジットをドアーズから、メンバー個人名の表記としております。それで分かったこと、ギターのロビー・クリーガーの楽曲への貢献が非常に大きいということ。アルバムトップのサードシングルでもある①「Tell All the People」はロビンの楽曲ですが、イントロから大胆なホーンを導入したアレンジで、従来からのドアーズファンを驚かせたと思われます。同時期のモンキーズもマイク・ネスミス作の「Listen To The Band」なんかは、この曲と同じようにホーンをフューチャーしてました。当時、こうした音作りって流行っていたのかもしれません。サイケからの発展形という気もしないでもない。いずれにしても、この曲、メロディはかなりポップだし、ドアーズとしては異色の作品。アップしたのは貴重なTVショーでの演奏。ホーンはレイ・マンザレックがキーボードで代替してますね。

日本でも人気の高いナンバーの②「Touch Me」。こちらもロビーの作品ですが、表記はメンバー4人の作品ということになってます。ビルボードチャート最高3位を記録。とにかくポップです。ジョン・デンズモアの軽快なドラミングも素晴らしい。但し間奏にフューチャーされているのはジャズ系サックス。サックスソロから一気に混沌としたエンディングへ。ポップながらもドアーズらしいスリリングさも残してます。アップした映像、ジム・モリソンのイッテしまったような目が怖いですね。

③「Shaman's Blues」でようやく本来のドアーズらしさが出てきてますね。ジムの怪しげなヴォーカルが生き生きしてます。ただこの曲も一筋縄ではいきません。ワルツ調の3拍子のリズムに、メロディをくねらすようなサイケ感覚十分なロビーのギター。レイのキーボードも相変わらず、印象的。

カントリータッチの⑤「Easy Ride」。意外にもジム・モリソンの作品なんですね。スティールギターにも聞こえるピッキングギターはゲスト奏者ではなく、ロビーの演奏によるもの。ロビーって多彩なプレイを聞かせますね(ドアーズの他のメンバーもそうですが)。

ジムらしい作品の⑥「Wild Child」。ジムの歌い方もどこか攻撃的。本来はもっと重厚感のある楽曲となる筈ですが、ドアーズの特徴でもあるレイのキーボードの音作りにおいて、ちょっとポップな感覚を含ませ、ドアーズ独自のサウンドとなってます。アップしたのはドアーズのレコーディング風景。

エンディングは8分強にも及ぶ⑨「The Soft Parade」。ジムのセリフ(演説)から入ります。この曲も様々なマテリアルが含まれた楽曲ですね。途中、ドアーズとしては珍しくハイハットが16ビートを刻み、一瞬フュージョンっぽくなったりとか。でも基本はドアーズらしいラテンタッチのビート。魅力的な作品です。

なかなか聴きごたえのある作品だったのではないでしょうか。ドアーズのアルバムって、どれも魅力的ですね。

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