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#18 いせ弥

こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第18弾は奈良県宇陀市にある『いせ弥』さんを訪問し、代表の清水誠さんにお話を伺いました。

モノづくりへのこだわり

いせ弥は慶応弐年(1866年)に薬問屋として創業しました。明治時代には米こうじ、みそ、しょうゆ、みりん、清酒、焼酎を製造していたとのこと。戦後、造り酒屋はやめたものの、造り酒屋つながりで良い酒粕が手に入ることより始めた奈良漬の製造を手掛け、現在は奈良漬、米こうじ、味噌を製造・販売しています。

  • 奈良漬

いせ弥さんの奈良漬の酒粕には、地元の芳村酒造株式会社や三輪の今西酒造株式会社さんの酒粕を使用しています。。地元の業者さんから仕入れることにより、奈良漬に適した良質な酒粕を十分に味の乗った時期に手に入れることができます。いせ弥さんの奈良漬に使用する酒粕にはこだわりがあり、米を徹底的に磨いた大吟醸の酒粕ではなく、磨きの少ない米を使った普通酒の酒粕を使用しているそうです。大吟醸用の酒粕は、奈良漬に必要なうま味成分も落とされてしまっているため、平坦な味になってしまうのだとか。

いせ弥さんでは、一般的なうり、きゅうり、すいか、守口大根をはじめ、宇陀名産の金ごぼうを使用して自社または協力工場で奈良漬を作ります。今年はまこもたけ、ズッキーニなど珍しい野菜の奈良漬に挑戦し、将来的には野菜以外の奈良漬にも挑戦したいとのこと。清水さんの開拓精神をひしひしと感じました。

いせ弥さんの国産無添加奈良漬は、3年程度かけて4回漬け替えをして作ります。奈良漬を漬ける期間は野菜によって異なり、全体的に丸い西瓜は味が入りにくいため、完成まで5年かかるそうです。

積み上がった奈良漬

西瓜の奈良漬を購入すると、奈良県の郷土食である”茶がゆ”の試食をいただきました。一緒に食べてみると、大和茶の香ばしい香りと奈良漬のコク深い香りがきれいに調和し、奈良漬がよりさっぱりと感じられ、あっという間に食べ終わってしまいました。

すいかの奈良漬と茶がゆ
  • 米こうじ

米こうじに使うお米は近所の農家さんから買い取った古米を使用しています。米農家では、自宅で食べる分のお米はもっとも出来の良いものを取り置いておく慣習があるそうですが、この内、米農家が自宅で食べきれなかったお米を米こうじ用の原料としていただいているそうです。元々質の良いお米であることと、地元民同士の信頼関係があるため、古米であっても質の良いお米を仕入れることができる、と清水さんは胸を張ります。

米こうじ作りに古米を使うのは、新米よりも古米の方が適しているからだそうです。麹(※)作りでは、蒸米を砕いて麹の種菌とまんべんなく混ぜたり、麹蓋に盛り分けたりする作業があり、古米であればパラパラしていて捌けがいいため、全体が均一化しやすいとのこと。他にも、新米よりも古米の方が米粒の中に麹菌が入りやすい利点もあるそうです。

麹用のお米は昔ながらの竹ざるで水切りをしています。

使用している竹ざる

また、先代から受け継いだ精米器や蒸し釜等を現在も使用し、麹作りを行っています。

精米器
蒸し釜

麹作りは一度に 130kg ものお米で作ります。出来具合を左右するポイントは温度管理。夜中であっても3・4時間おきに温度を測定、記録して毎回分析をされているそうです。
清水さんの品質を維持するための徹底ぶりがうかがえます。

温度記録表
  • 味噌

味噌づくりの原料には、いせ弥自家製の米こうじ、国産の丸大豆、天然水を使用し、製法も昔からの製法そのまま。奈良県内でも高地で冷涼な気候である宇陀市で、夏でもひんやりするいせ弥敷地内の土壁の貯蔵庫の安定した環境を活かし、じっくり天然熟成させています。その出来栄えはミシュランガイド星付きのレストランシェフからも高い評価をもらっているとのことでした。

「楽しく」をモットーに

清水さんは「奈良」や「発酵」を軸に、お客様との接点をつくる活動に力を入れています。麹体験会などの体験サービスや、「感性を磨く」をテーマにした、奈良の魅力を発信する情報サイト「ミガクナラ」の運営など、企画運営も清水さんがご自身で担当されています。

体験会や商品の購入がきっかけで繋がったお客様へお送りするメールやチラシなどのお知らせ、自社の HP の運用なども、すべて清水さんが手がけているとのこと。

体験会は集客、参加者のケア、来場時の段取り、案内する方の采配、アナウンス、準備物、説明などやることが多いため大変、と伺いましたが、企画を考えることがお好きなようで、体験会も、広告の内容も楽しんで考えられているそうです。

商品開発からマーケティング戦略まで、ご自身の力で行い、お店を盛り上げる清水さんの存在は、奈良県宇陀市のまちづくり活動にも大きな影響を与えています。
市の活性化にも一役買っている清水さんのエネルギーが伝播し、私も清水さんのように、地域を盛り上げていきたいと思っております!

それではまた次の記事でお会いしましょう!

文責:むーみん

▼今回ご紹介した『いせ弥』さんの HP はこちら

https://nara1naraduke.com

▼ミガクナラの HP はこちら


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