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#28 カクキュー

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第28弾は愛知県岡崎市にある合資会社八丁味噌(屋号がカクキューのため、以降ではカクキューさんとします)さんを訪問しました。早川ちかこさんをはじめ、久右衛門さん、昌吾さん、野村さん、福田さんにお話を伺いました。

カクキューさんの歴史

カクキューさんは今川義元の家臣であった早川家を先祖に持ち、桶狭間の戦いで今川が敗れた後、数代を経て1645年(正保2年)に現在の場所で「八丁味噌」を造り始めました。
1907年(明治40年)に建造された味噌蔵は、本社屋(旧本社事務所)とともに1996年(平成8年)に有形登録文化財に登録されており、現在は資料館となっています。高く積まれた石垣が特徴の一つで、東西30m余りもある大きな蔵のため、「大蔵」と名付けられたそうです。

大蔵

石垣が高く積まれている理由は、岡崎市の中心部を流れる矢作川が氾濫して水が押し寄せた際に、蔵が水に浸からないようにするため、とのこと。矢作川はかつて味噌の原料等の運搬に使われており、資料館の前には醤の小樽や船が置かれています。
戦時中、味噌休業宣言をしたさいに、大豆の代わりにとうもろこしやさつまいもで醤を作っていたと言われています。

資料館前の小樽と船

また、資料館にはカクキューさんの功績や味噌作りの展示に加え、1839年(天保10年)に造られた木桶が展示されています。なんと、1844年(天保15年)に造られた木桶はまだ現役で使用されているそうです。

展示されている木桶

八丁味噌の特徴

「八丁味噌」とは、岡崎城から西へ八丁行った先にある八丁村で造られる味噌を指します。旨味が強いため、出汁はやや濃いめにして味噌汁を作るのがおすすめとのこと。

豆味噌は煮込めば煮込むほど美味しくなると言われ、隣接する飲食店にて、皆様と特性の味噌煮込みうどんをいただきました。コクと旨味が強く、絶品でした。

絶品の味噌煮込みうどん

そして、水分量が少ないことも八丁味噌の特徴です。桶の上に350個の川石を積み重ねても、通常の豆味噌とは異なり、たまり(※)が溢れ出ることがないとのこと。少ない水分をなるべく全体に生きわたらせる先人の知恵であり、この石積みはバランスがとても重要で、職人技とも言われています。
※たまり・・・味噌の発酵・熟成中に分離した液体。味噌の旨味が濃縮されたエキス。

木桶

また、塩分濃度は10-11%ほどで通常の豆味噌と変わらないものの、水分量が少ないため、腐りにくく、栄養価の高い保存食としても食べられていました。

江戸時代、三河地域にいた家康家系の男勢が江戸に移動した際、故郷の味である八丁味噌を恋しがり、多い時でカクキューで生産している八丁味噌の2/3を江戸に出荷していたこともあるそうで、全国規模に販売が広がっていきました。

地元の矢作大豆を復活させた5年熟成味噌

かつて矢作川周辺で栽培されていた矢作大豆は低身長で機械での収穫が難しく幻の大豆となっていました。しかし、種子が残っていることがわかり、地元の大豆を復活させるべく栽培をスタートさせました。
栽培が難しく年に桶2本しか見込めないこともありますが、5年熟成のお味噌として販売されています。
また、仕込みに使用できず余ってしまった矢作大豆はきなこにして販売していますが、これも美味しいと好評だそうです。

5年熟成味噌

日本でも有数の合資会社

合資会社自体は第二次世界大戦前から存在する会社形態の一つです。かつては少人数経営を行っている酒屋や醸造会社に多いと言われてきたそうで、現存する合資会社として有名な会社として、カクキューさんが紹介されていました。出典:MAG BOXIL

カクキューさんで製造している八丁味噌は宮内庁御用達のお味噌。他にも、1956年(昭和31年)の南極観測隊の携行食品にも採用されたり、昭和天皇がエリザベス女王の戴冠式にお持ちになられたりするなど、多くの功績があります。

宮内庁御用達のふだ

また、NHK の朝ドラ「純情きらり」や NHK大河ドラマ「どうする家康」のロケ地にもなっています。建物から溢れ出る歴史の風を感じたい方にも是非おすすめしたいお店です。

蔵見学も受け付けており、カクキューさんの歴史を丁寧にご説明いただけます。そして、味噌ソフトも絶品でしたので皆様に食べていただきたいです。

味噌ソフト

若い方にも八丁味噌をもっと知ってもらいたいというカクキューさんの想いを知り、これから力になりたいと思っています。

カクキューさんに是非足を運んで、味噌の歴史を知り、味わってみてください!!

それではまた次の記事でお会いしましょう!

文責:むーみん

今回ご紹介した「カクキュー」さんのHPはこちら👇


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