ねこの向こう側【ポエム】
お昼に食べきれなかったフライドポテトを口へ運んで
ページを捲ろうとした右手がぎりぎり停止する
ウェットティッシュを何層も重ねたような季節が
空け放たれた窓辺でカーテンをささやかに揺らす
背もたれからだらりと垂れ下がる左手の「夏への扉」は
猫のピートが登場しなくなると、ぐん
と読むスピードが落ちてしまって、最後まで読めた試しがない
フライドポテトが消滅していくだけの夜
音もなくカーテンが捲りあがる
パトロールにサイレンはいらないらしい
雨が降っているのに思ったより濡れていない体毛
そうして
左手を枕にして喉を鳴らしている
これでは本が読めないぢゃないか
老いていくこと
扉の向こうに輝くような光をたくさん見つけ出して
ふと左手の重さに躊躇い乍らその戸を閉めること
ねこのこちら側に雨のにおい
左手首をしびれさす喉の震え
即興ゴルコンダ(仮)に投稿したもの
お題は自分
もしよかったらもう一つ読んで行ってください。