偶然、連絡先を交換したひと③
前回までの話はこちら⇩
ディズニーに行く約束をした日は少し先だったので、週末に食事へ出かけた。
食事が終わると、彼が車で、私の家の近くまで送ってくれることになった。
男性の運転する車の助手席に座るなんて経験をしたことがなかったので、私はとても緊張していた。
助手席から見る彼の横顔は、いつにも増して、イケメンに見える。
(助手席、サイコー!)
心の中で、何度もそう叫んだ。
穏やかで優しい彼に、ロマンチックな薄暗い車内の雰囲気も重なり、"告白してくれないかなぁ" 、そう願いはじめた。
次第に、お別れをするのが寂しくなってきた。
彼も同じ気持ちだったらしく、わざと遠回りをしてドライブを楽しんでいるかのようだった。
すると、おもむろに、近くのコンビニの駐車場に車を止めた。
「時間があっという間だね」
なんて話しながら。
彼はぼんやり前を見つめた。
コンビニの中にいる雑誌を立ち読みしている人が出てくるのを確認すると、
優しく私の手を握り、そっとキスをした。
胸がドキドキして、顔がほてった。
「彼氏がいる子とこんな風になったのは初めて。」
戸惑いがちに彼は言った。
現在付き合っている彼とはもう会ってもいないし、別れる口実を探す毎日で、私にとってみれば別れたも同然だった。
「好きです。付き合ってください。」
彼は一呼吸おいてから、そう言った。
私は、一週間以内に、"初めての彼氏"とお別れすることを約束した。
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