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子どもが産まれました

知らないうちに年季の入った実家の掃除をし続けて1週間の朝、布団とズボンが何やら冷たい。お手洗いに駆け込んで、想像していたよりもずっと冷静に「これがおそらく破水ってやつだわ」と悟りました。


その日は妊婦健診のために母に送迎してもらう予定だったので、母に破水しただろうということを伝え病院に電話。冷静だったとはいえ、前もって予習していた伝えるべきことをほとんどすっ飛ばしてしまった。

朝ご飯を食べながらすぐに来てとのことだったので、母が即席おにぎりを作ってくれて、無料でもらえていた「破水セット(ナプキンやシートが一式入っている)」を持ち込み車へ。

むしろ母の方が冷静さを欠いていて、すぐに来てと言われたのに「妹を駅まで送る●時(約1時間後)でよい?」と、絶対に優先順位を間違えた提案をしてきたり、車のキーを忘れて震える手でもたついていたり、ドキドキさせてゴメンネの気持ち。



想像するジャバーっと水が出てくる破水とは違い、「高位破水」といって関係のない箇所が少し破けている状態とのこと。24時間くらいは産まれないよーと言われたけれど、感染症の心配があるのでそのまま入院に。
とにかく胎児は心配ないとのことで一安心。

すぐには産まれないけれど、夫は仕事を午前中で早退して駆けつけてくれました。



子宮口が1.5センチしか開いていないので、2〜3センチまで広げるためにお股にバルーンを入れて、分娩待機するためのお部屋で半日以上過ごすことに。

このバルーンの違和感と痛みが、今思えば陣痛より嫌だったかも。
夫に買ってきてもらったおやつを食べながら、アメトークやサッカー見たりして過ごしました。

ちなみに陣痛が来ちゃえばそのまま分娩と言われたので、部屋の中を歩いたりスクワットしたりしてみたものの何の効果も見られなかった。




そして翌日の朝からいよいよ陣痛促進剤を入れ始めて、1時間しないくらいで陣痛が開始。呼吸法を意識したのもあるだろうけど、わたしは陣痛の痛みが全然平気でした。

医師が指を突っ込んで確認する、内診というものの方が相当痛くてしんどかった。



七転八倒レベルの量の促進剤を入れていると言われたけれど、一向に耐えられるほどの痛みだった。わたしは別に痛みに強いわけではないので、おそらくお産が進んでいないのだろうと。

そんなこんなでゆっくりゆっくり進んでいって、お産を進めるために「膜を破いて人工的に破水を起こす」と何やら怖いことを実施されたものの何も痛みはなく、水がバシャーっと出てきて「おお〜これがよく聞く破水か〜」とどこか他人事でした。



破水を起こすと痛みが増してきて、すぐに子宮口が5センチに。
5センチまでいくと無痛分娩の麻酔を入れてもらえました。ここまでそんなに痛みもなく、このまま無痛で出産かと思うと想像以上の余裕さに夫と拍子抜けして笑っていました。


麻酔は背中からカテーテルを通して入れるのだけど、麻酔を入れる前に変なところに入っていないか生理食塩水を入れてテストをする。背中を伝っていく感触が冷たくて気持ちが良いなあとお医者さんに伝えると、「夏なんかちょうど爽快なんだよ」と話に乗ってくれて、和やかに笑いながら麻酔スタート。



このまま出産か?と思っていたけれど、
妊娠中もずっとマイペースだったわたしの胎児ちゃん、麻酔が効くとお産が進まなくなってしまった。

よくあることのようで、助産師さんも、麻酔を入れるとここから5時間はかかるよ〜と。



こうなると麻酔を弱めてもらうしかない。
麻酔を弱めるとまたお産が進んできて、すでに分娩室に入って8時間が経っていたので、このくらいの痛みで進むなら早く産みたいです!とお医者さん・助産師さんに頑張る宣言。

よっしゃがんばろー!ってお医者さん・助産師さんが退室したその瞬間に、激痛がやってきました。
「ナシナシナシ今のナシ!」と言いたくなるも、しばらく様子を見てみる。あー言わなきゃよかったと後悔していると子宮口が8センチまで開く。



ギブアップして麻酔をまた強めてもらうも、痛みが強い股関節を庇うような姿勢をしていたからか麻酔がちゃんと行き届かなかった。

そのままほんっとに悶えるほど痛くなると、やっと頭がすぐそこに来ていると伝えられました。夫と二人で「おおー!」っと歓喜。
無痛分娩のためまだ待つことも可能だったみたいだけど、「イキみたいです。イキませてください。」と人生で一度あるかないかのお願いをして、いよいよ出産!バタバタと部屋が出産仕様に備えられました。



夫はというと、産まれたらカメラを持って赤ちゃんと共に外に出て撮影することと、ナースコールを持って「押して!と言ったら押してください」という仕事を任されていました。


それから人生初めてのイキみ方をレクチャーされて、みんな言われているのだろうけど「イキみ方が上手」だと褒められながらトライ。


無痛分娩のおかげで夫と助産師さんと3人で会話したり、なんなら冗談を言って笑えるくらいの余裕がありました。

5回ほどイキむと、ドゥルン!っと赤ちゃんが出てきて、布で見えなくなっていたところから助産師さんに抱えられた赤ちゃんがジャンっ!と登場!
臍の緒に巻かれた、青黒くて険しい顔をした宇宙人みたいな赤ちゃんを見て、わたしと夫の第一声は口を揃えて「うおおぉ」でした。

ここまでで分娩室に入ってから約10時間。長かった。



羊水を吐き出すように控えめに泣く姿を見て、安堵と感動から涙が出ました。ちっちゃくて尊かった。


すぐに外に連れて行かれて、遠くで控えめに泣いている声を聞きながらまた泣く。感動の余韻に浸る暇もなく、すぐに色々後処置をされました。


そして綺麗になった赤ちゃんをわたしの胸元に連れてきてくれて2度目の対面。ホニャホニャ泣いていたのに、わたしの声を聞くとスッと泣き止んで声を聞こうとしていて、それがめちゃくちゃ愛おしくて。我が子なんだなあと不思議な気持ち。

でもわたしの足元は大開脚して助産師さんに綺麗に拭き取ってもらっている最中で、なんだかすごい光景だろうなと思いつつ、ずっと会いたかったんだよーと大感動でした。



その後、分娩室に夫が戻ってきて体を休めるために4時間以上待機。夫との再会は感謝を伝え合い涙涙の抱擁…なんてものではなく、お互い「ういー、おつかれー!」くらいのライトなものでした。

10時間絶飲絶食だったので、久しぶりに飲んだお水と、出してくれたオニギリが美味しかった。
昼間に分娩室の天井に付いているテレビで王様のブランチを観てしまい、都内の注目グルメが空腹を助長させてしまったのは誤算でした。


待機中は元気だったので、横になりながらも夫とマシンガントーク。
そんな中お隣で出産が始まり、この病院では珍しい自然分娩だったようで、わたしとはまるで違う痛がり方をされていて大ビビりしました。麻酔があっても痛かったのに、自然分娩で産む方はすごすぎる。



ようやく分娩室を出れた頃にはすっかり深夜。可愛い我が子に再度会わせてもらって、長い出産の日は終了しました。

わたしも夫もフラフラしながらも、多幸感に溢れてそれぞれの寝床につきました。

ちなみにわたしはお股が痛すぎて、痛い思いをする夢を見るくらいで、案の定ろくに眠れなかった。産んでからもなかなか体がしんどかったお話はまた別で書くかな。書かないかな。




以上出産エピソードでした。





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