不安と喜び。〜明けない夜はない〜
一睡もしなかった。
横になり、目をつぶっても泣き叫ぶ子どもの姿が浮かんでくる。
どんどん目が冴えてきてしまう。
現実逃避に撮りためていたVIVANTを鑑賞する。
ベキと乃木の過去に涙がとまらない。
子どものためになりふり構わず、ここまで自分に出来るか?
何より世間体や周囲の目を気にする自分がどこまで子どものために全て投げ売ってでも必死になれるか?
ドラマの感動と先ほど起こった出来事、情けなさに涙がどんどん溢れてくる。
そんなことを思う内に外は明るくなってくる。
眠気なく、ただ疲労感だけが残るまま一夜が明けた。
洗濯物をたたみ、保育園の準備をしていると妻と子が起きてきた。
まだキツいんだな。
妻の表情からそう映る。
それとは裏腹に子どもは元気だった。
昨日のこともあり、子どもと顔を合わせることにドキドキする。
表情が強張る。
「パパ…」
ギュッと抱きしめてくれた。
子どもから歩み寄ってくれたことに情けなさも感じたが、何より嬉しかった。
まだ、そう呼んでもらえた。
こんな自分でもチャンスを貰えたのか。
ただ、今日の試練は始まったばかりだ。
朝ごはん何を食べさせよう…
最近の朝の悩みのタネ。
何を出してもイヤイヤ。
今朝も案の定。
時間だけが過ぎていく…
もっと余裕を持って向き合えれば、と思うが朝の1時間って一刻を争う。
仕事の時間が迫る。
常に時計が気になる。
子どもの顔を見る余裕がなくなる。
昨日の反省、しっかり顔を見てゆっくり聞いていく。
「何を食べたいの?」
中々、上手くいかない。
プイッと顔を背け、スプーンを投げつける。
見かねた妻が、
「仕事いってきていいよ」
助け舟を出してくれるが、ここで甘えてしまうともう戻れなくなる気がした。
自分だけの自己満足かもしれないが、譲れなかった。
向き合い、何か自分に出来ないか?
時計を見ず、子どもに語りかけてみた。
結果、何も変わらなかった。
妻は、体調も悪いため仕事を休み子どもを任せることになった。
ただ、いつもより遅い時間に重い足取りで仕事に向かった。
徹夜明けの何ともいえない疲労感が全身にまとわりつく。
徹夜なんて何年ぶりだろうか?
20代の頃以来だろう。
多分、夢中でゲームしたとかくだらない理由だったと思う。
30も半ばになると徹夜のダメージは中々なものだった。
首から肩にかけて冷凍されたみたいに硬い。
真っ直ぐ歩いたつもりが右によっていく。
上着を着ようと手を回すと筋がちぎれたように痛む。
階段で立ちくらみがする。
頭が回らない。
極力、余計な感情を使わないよう脳が勝手にスリープモードになる。
ろくな事がない。
元々、自業自得だが改めて睡眠の重要性を再認識させられる。
どんなときも夜になり明けていく。
自然の摂理。
それなら、ちゃんと休みましょう。
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