裕己

こんにちは、裕己(ゆうき)です。 オリジナル小説【シジョウノセカイ】シリーズを投稿して…

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こんにちは、裕己(ゆうき)です。 オリジナル小説【シジョウノセカイ】シリーズを投稿していけたら、と考えております。 小説が一つ出来上がり次第、一週間毎に少しずつ投稿していく予定です。 出来はあまりよろしくないですが、皆様のひと時を楽しませることができたら幸いです。

最近の記事

【シジョウノセカイ】《男と家》

 DECO*27さんの『ヒバナ』という曲を聞いていて、「あぁ、あのキャラたちの心境や物語に似てるなぁ」と思って、頭の中整理する為に書き起こしました。  上手く書けているかは自信ありません。本当、頭の中に溜まったものを外に出しておきたくて書きました。  ちらりとでも読んでもらえると嬉しいです。 少年は家を探していた 何日も何日もずっと探し続け、 見つけた頃には少年は大人の男になっていた しかし、 見つけた家はいつも扉が固く閉ざされており、 どんなに扉を叩いても その扉が開くこ

    • ホラーゲーム【loop】仮設定

       こんなゲームを作りたい、誰かにプレイしてほしいという考えのもと、ある程度設定が固まりましたので吐き出させてください。  現段階でエンディング内容、エンディング分岐にあたり必要なアイテムや選択肢、一部案内人の台詞内容の変動を考えてメモってあります。 ゲームタイトル…loop ジャンル…ホラー・鬱・胸糞 テーマ…選択の代償 エンディング…7つ  あなたは記憶を失った状態で、見知らぬ部屋の中で目を覚まします。 「はじめまして。私はあなたの案内人です」 「あなたにはこれからゲ

      • 【シジョウノセカイ】《日常》⑩終

        【10、幸せの1ページ】  ピークは過ぎたものの、まだ帰路に着く人集りは多い。いつもならこんなにたくさんの人がいたらルファラは怖気付いていただろう。しかし今日はいつもと少しだけ違う。何かあっても心配してくれる人がいる、怒ってくれる人がいる。それがとても心強いことだと再認識したからだ。きっとまた不安になる時が来るだろう。傷付き動けなくなってしまう時が来るだろう。それでも今だけはどんなことがあっても耐えられる、そんな気がしてならなかった。  ルファラの左手にはアイラの右手が強く

        • 【シジョウノセカイ】《日常》⑨

          【9、帰ろう】  一方その頃、インフォメーションセンターではユダチ、スカイ、アイラがルファラの帰りをまだかまだかと待っていた。アイラは椅子に座って膝を抱えて俯いている。その横にはルファラが落としていった巾着袋が置いてある。スカイは腕を組みながらアイラの前をうろうろと歩き回っている。ユダチはアイラの側で腕を組み壁に凭れかかって天井を見上げている。 「……どこ行っちゃったんだろ…ルファラも、ヨン君も…」  膝を抱えていた手を離し、その手で顔を覆ってくぐもった声でアイラが言っ

        【シジョウノセカイ】《男と家》

          【シジョウノセカイ】《日常》⑧

          【8、二人】  どれだけ時間が経ったのだろう。花火が打ち終わってから幾分か時間が経った。ルファラはようやく落ち着きを取り戻した。 「……ごめん、泣いてばっかりで…」 「いいよ。」 「……ありがと、ね。色々と。」 「…いいよ。」  いつのまにか二人の間に流れていた気まずい空気はすっかり消えていた。ルファラはふわりと笑みを浮かべヨンシーを見る。ヨンシーはやはり正面をじっと見つめたままだった。その表情からは何を考えているのか図ることができない。それでもいいとルファラは思

          【シジョウノセカイ】《日常》⑧

          【シジョウノセカイ】《日常》⑦

          【7、ヨンシー】  ヨンシーはいつでも優しい言葉を人にかける人間ではない。  ご飯を食べても感想を言わないし、おいしいかどうか聞けば「普通」だの「まぁまぁ」だの、挙げ句の果てには「食べてるんだからいいでしょ」と言って終わる。  テレビを見ている時も映った芸能人などをルファラたちが「かわいい」や「かっこいい」などと騒いでいるとすかさず「かわいくない」「性格悪そう」など他人が嫌な気持ちになるようなことばかりを言う。  ヨンシーはそんな人間だ。  しかし、それが本心からくる言葉じ

          【シジョウノセカイ】《日常》⑦

          【シジョウノセカイ】《日常》⑥

          【6、君は…】  ルファラは走った。とにかく走り続けた。人混みを掻き分け祭りの喧騒から少しでも離れようと、暗い夜道をひたすら走る。 「あっ!」  足がもたつきその場に膝から崩れ、鋭い痛みが走る。ルファラはあまりにも惨めな状況にその場から動けなかった。 「…もう、ヤダ。」  ルファラの目にまたも涙が浮かぶ。しかしここでじっとしていても仕方がない。せめてどこか座れる場所を見つけて落ち着きたい。そう思い涙を拭い、ゆっくりと立ち上がってふらふらとおぼつかない足取りで歩き出す

          【シジョウノセカイ】《日常》⑥

          【シジョウノセカイ】《日常》⑤

          【5、無力】 「あら、そろそろ花火の時間じゃない?」 「えっ!?本当!?」 「えぇ、もうすぐ8時になるからそろそろ移動したほうがいいわね。」 「じゃあ、早く場所取りしないとね!…ってあれ?みんなは?」 「えっ?」  2人が後ろを振り返ると、そこには知らない顔ばかりで他の 3人の姿は見えなかった。 「あれぇ!?何よもう!!はぐれないでって言ったのスカイの方じゃない!!」  いや、あたしたちが勝手にはぐれたんでしょ、と思いながらルファラは額に手を置く。その横でアイ

          【シジョウノセカイ】《日常》⑤

          【シジョウノセカイ】《日常》④

          【4、コーヒーのように苦く、たこ焼きのように熱い】 「わぁ!まだまだたくさんお店があるよ!!」 「おーい、走るなよー。転ぶぞー。」  後ろからじゃがバターを手に持つユダチが声をかけた。 「わかってるよぉ。もう子供じゃないんだし!」 「子供だろ…」  スカイがボソッと呟くがアイラには届いていない。 「あっ!!ルファラ、あっちにお面屋さんがあるよ!!」 「あら、本当ね!」 「行こう!!」 「あっ、おいまたっ!!離れるなって!!」  スカイの呼び声虚しく、アイ

          【シジョウノセカイ】《日常》④

          【シジョウノセカイ】《日常》③

          【3、大丈夫】  長い道のりを経て、ようやく祭り会場に到着した一行は浮き足立っていた。人々の声は小さな声から大きな声まで一括りに集まり、それが巨大な魔物のように膨れ上がって会場を支配している。屋台からは甘い匂いやら香ばしい匂いやらが混ざり合って独特の香りを醸し出し、祭りの雰囲気を 一層盛り上げていた。 「かぁーっ!!やぁーっと着いたぜぇ!!腹減ったぁー!!なぁ!早く食いに行こうぜ!?」 「賛成。もうお腹ぺこぺこで死にそうなんだよねー。」  ユダチに続いてヨンシーもすで

          【シジョウノセカイ】《日常》③

          【シジョウノセカイ】《日常》②

          【2、優しさの形】  翌日午後6時。まだまだ空は明るく夏特有の蒸し蒸しとした空気が辺りを覆っている。一行は隣町の駅を降り会場に向かおうとしていたが、そこにはたくさんの人々が百鬼夜行の如く列をなしていた。ゆっくりと進むその道のりは暑さに弱いユダチにとっては地獄のような時間だった。 「あっちぃー…」  ユダチはうんざりとした声を出しながら手で顔を煽いでいる。 「すごい人混みね…」  ルファラが怯えたようにぽつりと呟いた。 「大丈夫だよ!ちゃんと一緒にいるからね!!」

          【シジョウノセカイ】《日常》②

          【シジョウノセカイ】《日常》①

          【1、夏祭りに行こう!】  日に日に増していく夏の暑さは地上を焦がすほどに焼きつけ、生きとし生けるものたちはこの地獄のような暑さを工夫に工夫を凝らし必死に耐え抜き、日々生活をしている。だがそんな暑い日常の中でもアイラはとても楽しみにしているイベントがあった。  夕飯を食べ終え、アイラを含む5人は寛いでいた。急にアイラが立ち上がると自分の部屋へ足早に入っていく。何事かと4人が見つめていると何やら背中に何かを隠してアイラは戻ってきた。そして大きく息を吸うと、 「ねぇ!これ行き

          【シジョウノセカイ】《日常》①