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サイトリニューアルに込めた僕らの答え(ていねい通販)

ていねい通販のECサイトを完全リニューアルしました。このサイトリニューアルに込めたのは、僕たちなりの通信販売が目指すべきひとつの未来。今は邪道だと思われるかもしれない。合理性にも欠けるかもしれない。でも、僕たちは未来がこうあって欲しいと願ってこのサイトを作った。WEBというグランドラインよりも遥かに広大な海で、より多くの人たちに、より深く愛していただくサイトに育ってもらうためにも「なぜこのサイトを生みだしたのか」についてを語らせて頂きます。

サイトリニューアルは、自問自答の日々から始まった。

僕たちのような健康食品の通販会社はいわゆるサブスクリプションモデル(定期購買)によって売上を生み出していきます。毎月お届けすることを約束する「定期コース」と呼ばれるシステムによって、自分が選んだ商品が自宅に届くというサービスだ。そのためリピートマーケティングを担当している僕が追いかけ続けてきたのはこの定期コースの「継続率」だった。ただ、その「継続率」という数字を追うことだけに意味があるのか。自問自答する日々に、ある日その答えは突然訪れた。いやある日やっと気付けたと言った方が正しいのかもしれない。

サブスクリプションにおける「継続率」との向き合い方

まずは改めて「継続率」を上げるために何をするのかを説明する。簡単に言うと「解約をさせないこと」である。サブスクリプションサービスを使った人の多くが、解約時に手間がかかった記憶はあると思うのだが、これは多くの企業はわざとやっているわけだ。解約しにくくすることが、継続率に繋がるから。ただ、これは誰でも分かることだが、サービスにおいて全く本質的じゃない。

「出にくいお店は、戻りにくいよね」

僕はこのマーケティングの師匠の言葉を忘れない。解約するのにパワーがかかるサービスは、きっともう使いたくなくなるはず。それから僕らは、解約しやすいサービスにしようと思った。それこそが正しいと信じた。定期発送となる日付の10日前には、お客様に確認のメールをすることにした。その方が、解約するタイミングをお客様が逃さないからだ。それこそがお客様にとって良いサービスだと思ったから。もちろんこのような試みは「継続率」を下げた。もちろんそれに比例して売上も下がる。社内外問わず、たくさんの議論が起きたが、僕たちは「どっちがお客様にとって心地よいサービスであるか」という問いを持つことでこの議論に終止符を打った。下がった「継続率」に誇りを持てたのは初めてだった。(実はこのあと、下がった継続率を「お声掛けの仕方の変更だけ」で元に戻すことが出来たのだが、それはまた別のお話。下記が参考サイト)

商品だけの繋がりが全てじゃない。

この経験によって僕は「継続率」とは、お客様の評価とイコールでないことを理解出来た。理解が出来てからは、それを証明する出来事をたくさん目にするようになった。まずは、コールセンターでのオペレーターとお客様の会話だ。ものすごく楽しそうに会話をしていて、家族のことや最近の趣味のことまで話している。30分以上も続く会話をしているお客様は、実は「定期解約」のご連絡だった。商品が合わないから解約して欲しいというご連絡の電話から話が盛り上がったらしい。実は、こういったシーンはていねい通販では珍しくない。先述したように僕たちは解約STOPを目的としたコミュニケーションはしない。他のサービスに慣れていると、あまりにもすんなり解約の手続きになるので驚く人がいるぐらいだ。その分、会話が盛り上がることも多い。これも「継続率」と「サービスの満足度」がイコールじゃない良い例だ。僕らは「解約」を受け入れながらも「ていねい通販のファン」を作っていると思う。これはあくまで仮説だったが、インターネットの存在のおかげでその事実を目にするようになった。ていねい通販の看板商品である「すっぽん小町」をあるブロガーさんに紹介してもらった際のコメント欄にこんな言葉が書き込まれていた。

すっぽん小町を飲み始めましたが、体質に合わなくて、反対に体が重く感じました。でも、何か飲み方があるんじゃないかと思い、ていねい通販に相談しながら飲みましたが、やっぱりダメでした。
ただ!ていねい通販の方は、どなたも親切でびっくりしました。私もていねい通販に入社してそのノウハウを学びたい!こちらの立場になってくれるそのノウハウは子育てに生かせそうだし。すっぽん小町は残念でしたが、そこは感動したので、コメントしてみました。

僕は震えた。ここに答えがあると思った。このお客様は、どうしてもサブスクリプションモデルのサービスをしていると「離脱客」と表現するのが僕らのビシネスである。でもこの人は僕たちにとって大切なお客様だ。こういう人たちがきっとたくさんいる。そして、僕はこういう人たちと繋がりあっていきたい。そんな場所を作ろう。商品を買うか買わないだけじゃない、ていねい通販を感じ続けてもらえる場所を。そのためリニューアルサイトには、繋がり続けるためのコンテンツ広場を作った。いわゆるコンテンツマーケティングの文脈における人を集めるという役割ではなく、繋がり続けるための居場所として。

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便利で簡単よりも、楽しくて居心地の良い買い物体験へ

今回のリニューアルサイトで一番意識したことは「温もり」だ。いかにしてデジタルの中に、温もりを感じてもらえるようにするかだ。ていねい通販のコールセンターのメンバーたちが毎日のようにお客様と向き合っているその姿勢がサイトでも体現できるように。徹底的にこだわり抜いた。

「そこに時間かける?」「そのために写真撮る?」「それを手書きにする必要ある?」誰もが面倒臭がる、誰もが合理的に進めたら選択しない選択肢を選び続けた。異常なまでの細部へのこだわり、熱狂こそが、実はサイトに「温もり」を宿す方法だったのかもしれない。これは言葉で受け取るよりもぜひサイトに訪れて体感して欲しい。

僕らが出した答えは「居場所作り」

もう便利で簡単なものは僕たちが作る意味がない。きっとそれは、Amazonを代表する大手ECサイトに任せて、便利さや簡単さは劣ったとしても居心地の良さや繋がりを感じる場所を作るべきだと思った。SNSを代表とする「すきま時間」の奪い合いのサービスに参戦するのはもう終わりだ。日常でしっかり時間を使ってもらえるサービスを作ることが、僕たちが紡いだ答えだ。便利で簡単なコンビニエンスストアじゃなくて、こだわりの雑貨屋さんや夫婦が営む喫茶店のような訪れる人たちにとっての居場所となれる、そんなサイトへ育てていきたい。まだまだ実態は伴わないかもしれないけれど、お客様と共にあるべき姿に向かっていく。

最後に・・・

このサイトを作るのに多くの方々に力を借りました。僕たちが出した答えは、時間とお金以上に心を使う仕事でした。きっと関わる人の中で1人でも目指す未来を疑っていたら生まれなかったと思うんです。本当にありがとうございました。特に制作チームのminamoの皆さんには感謝してもしきれません。まだまだこれからもよろしくです。おもろい未来を迎えに行きましょう。


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