「学びを結果に変えるアウトプット大全」を読んだ

内容のまとめ

この本では、精神科医である著者が日々行っているアウトプットについて、80の観点からまとめている。印象的だった内容を次にまとめる。

◆インプット:アウトプットは7:3がベスト
人は、仕事や勉強をするとき、インプットに力を入れがちだが、本当はアウトプットが大切である。それは、人の行動を伴う記憶の方が長期的に残りやすいという性質のためだ。何かを学び、自分のものにしたいと思うのなら、意識的にアウトプットを行っていくべきだ。その割合は、インプット:アウトプット=7:3がベストだと著者は言う。


◆開始前の質問で学びの方向が決まる
 アウトプットする方法のひとつとして、質問するということがある。この質問は会議や講義で行われる質問はもちろん、読書する前に"自分はこの本から何を得たいか"という自分への質問も含まれている。事前に質問を行うことで、自分のなかで課題が明確化され、より学びの成果を得ることができるという。


◆議論ではじめに意見を言う
 議論をする際には、はじめに意見を言うことが有効的である。なぜなら、議論ははじめに発言された意見をベースに行われることが多いからだ。はじめに意見を言うことで、自分の意見をベースに議論が進み、より大きく議論にコミットすることができる。


◆文書術の本を読む
 代表的なアウトプットのひとつとして、文書を書くということが挙げられるが、その前に何かしらの文書術の本を読んでおくべきだ。


◆朝イチでToDoリストを作る
 朝イチでToDoリストを作ることで、その1日をより良いものとすることができる。起きてから2時間は、人間の脳が最も生産的な状態にあるという。この時間に1日をデザインすることで、より効率的に物事を進めることができるという。また、ToDoリストを作成することによって、ある物事に取り組んでいるとき、"次に何をすべきか"、"今日中にしておくべきことは何か"、などを考える必要がなくなり、ひとつの物事に集中して取り組むことができる。これもToDoリストを作成する大きな効果だと言える。


◆教えることは最大のアウトプット
 とある研究でラーニングピラミッドという考え方が提唱されている。これは、学びの強さをピラミッドにしたものである。このピラミッドの頂点に位置するものが、"人に教える"ことである。ちなみに、最下位に位置するのは、"講義を聞く"ことだ。受け身の行動はより弱い学びとなり、アウトプットを伴う体験・経験などはより強い学びとなる。


感想

 正直に言うと、期待はずれ感の強い本だった。この本を読む前から、僕はアウトプットの重要性について、経験から感じていて、その観点で書かれている本著は、僕の今後のアウトプットに大きな影響を与えることを期待していた。しかし、僕が実践していなかったアウトプットは、 前半で挙げた"質問による課題の設定"くらいで、他に紹介されているアウトプットは、"人に話す"、"文書化する"、"教える"など、簡単に思いつくものばかりであった。本著から新しいアウトプット術を得ることは難しいだろう。

 本著の中盤では、アウトプットに関係がありそうで、全く関係ない仕事術について書かれている部分が多く存在する。これらは、ビジネス書にありがちな内容が多く、「あー、はいはい」と読み進めてしまった。

 しかし、筆者のアウトプットに対する思いは強く、本著を読み終えたあと、アウトプットに対するモチベーションが上がった。また著者は精神科医であることから、本著の主張に対して、科学的根拠を添えている。本著は新しいアウトプットの方法を知るには向いていないが、自分が普段行っているアウトプットが正しいことを裏付けるという観点では有用だった。

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