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朝永振一郎『鏡の中の物理学』【基礎教養部】

書評のページをそのうち貼っておきます。しばしお待ちを。

20222/10/28追記: 書評のページが公開されましたのでURLを貼っておきます。合わせてお読みください。

https://www.j-lectures.org/physics/physics_in_the_mirror/

僕は今ジェイラボという秘密結社的オンラインコミュニティに所属しています。この記事もそこでの活動の一環として一定期間ごとに強制で書評を書かされるのですが、それは活字体験のない僕にとっての救済装置のようなものであり、自分にとって未知の分野の本を読むいい機会なのですが、今期は本当に時間がなく忙しかったのでこうして簡単にこなさせていただきました。次は物理に関係のない本を選んできて書きたいなと思っています。

今回読んだのは、『鏡の中の物理学』。朝永さんの講義の文字起こしと書かれた文章のどちらも載っている薄い文庫本でしたが、朝永さんの喋り口がスッと入ってきてとても読みやすかったです。たくさん文章を残しておられるので、『物理学とは何か』などは有名ですが、そちらの方も読まないとなと思いながらもなかなか読む機会がなく、こうして書評の題材として持ってこさせていただきました。

鏡写しの変換に対して物理法則は不変であり、では時間に関してはどうか?というのに対して、熱現象は力学減少のようにはいかないことを、バッティングマシンの例を使って明快に説明してありました。精密なバッティングマシンを使って、一点から様々な方向に拡散した多数の粒子を再び一点に戻す操作を考えたときに、バッティングマシンも粒子でできているため、議論が循環してしまい、成り立たないというのには納得がいきました。この鏡写しの話題は、現在でも、否、物理学の永遠のテーマといえると僕は思います。朝永の活躍した時代から数十年たち、CP対称性の破れを提唱した小林益川はノーベル賞を受賞しました。そして現在、物理学の未解決な問題の一つとして「超対称性の有無」が挙がっているからです。

光子の裁判では、二重スリット実験において、粒子が二つのスリットのどちらも通過しているという事実を学者たちが納得するまでのプロセスが裁判の進行に似せて紹介されており、「二重スリット実験の一般向けの説明、これでいいやん?」という気になりました。近々、ジェイラボ内では物理学部のWSが開催され、熱力学の話題を物理を専門にされていない方にもわかるように説明する側に僕が立つ予定で、資料の準備も済んでいるのですが、もう少し改善できないかどうか探りたいと思いました。

なんだかんだ忙しいので、結局探らずに当日を迎えることになりそうですが…


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