【短編小説】中くらいの瞳
ジョジョの奇妙な冒険のアニメを観ていて、極道百合でも書くか……となって書いた短編小説です。極道の女の姉とその妹の話です
中くらいの瞳
「姉さん、そのナリで妊活だなんて、本気で言っているの」
赤い観音菩薩の周囲を、青色や黄色、緑色の蜘蛛の糸が覆っている。愛が全身に彫った入れ墨は、夏物のシャツの生地を透けて、午後の光にくすんでいた。手の甲、足の甲まで及んだ糸は、姉の首から鎖骨にかけてのラインで退き、貴婦人の首を包むレースの襟の趣をしている。彼女は頭痛を堪える表情をしていた。