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グルメドラマを観てもお腹は空かない

グルメドラマは好きなジャンルではある。
しかし、ドラマ好きなわたしでも、おいしいもの好きなわたしでも。
やはりどこか惹かれるものがないと観ないし
放送時期に忙しくしていたり他の観たい番組と重なっていたりと何かしらの原因があって観ていないものはたくさんある。

グルメドラマは“料理”という日常に欠かせない身近な題材だが、わたしは特に、レストランなどのお店が舞台のドラマが好きだということに気がついた。


*飲食店アルバイト経験があるから裏側に共感できる。
*飲食店に行くことが好きなので、その料理の完成に至るまでの過程を知りたい。
*キレイに盛り付けられた料理を見るとテンション上がる。

など、好きな理由は色々あるけれど。

結局は、料理を通じて、お店の仲間を通じて、お客様とのやりとりを通じて
成長や葛藤があるものが大好きだ。
(ほとんどがそういった内容だとは思うのだけれども)


指示がポンポン飛び交い、忙しなく動く腕や指たち。
目まぐるしく移り行く景色の調理場で
あの煌びやかな盛り付けをした料理が完成されていると思うとゾクゾクする。

細かいところを言うと、

調理場の出入り口のドアを背中で押し開ける、とか。(お皿を両手に持っているため)
ワインを注いだあと布巾でボトルの口を拭く、とか。
フレンチではフランス語、イタリアンではイタリア語でオーダーを通すところ、とか。

働くスタッフの一つ一つの所作ふるまいが格好よくて。
いつ観ても“憧れの世界”なのかもしれない。
(それもあってか結婚式場でのアルバイト経験あり。)

TVerで過去のグルメドラマが配信されていたので、12月は毎週それが配信されるたびに観ていた。
わたしの大好きなドラマを発見したときはうれしくて懐かしくて、誰かに話したくてたまらなくなった。

この2つのグルメドラマに関しては
好きすぎてお腹が空かない。
おいしそうな料理が映り「おいしそ〜」とは思うのだけれど
他の、人間模様などの要素で気持ちがいっぱいになるので、お腹への影響がないのだ。

そんな、わたしにとって特別な2つのドラマはこちらです。



*「王様のレストラン」

三谷幸喜脚本、言わずと知れた名作。
放送当時、たしか中学一年生くらいで、すでにドラマ好きだったわたしはこのドラマを食い入るように観ていた。
こんなにも面白いドラマがあるのかと。これまでに観ていた恋愛ものやミステリーものとは違う。
コメディ要素あり。人間模様が絡み合っていてキャラクターが立っている。そしてなにより台詞が、会話が格段に面白い。
オープニングのオーケストラ曲が頭に残る。クレジットでは登場人物の名前の横にレストランでの役職(ギャルソン、ディレクトールなど)が書いてあり、それが半端なく格好良い。どうしても覚えたくて、録画したものを一時停止して紙にメモしていたことを思い出した。

このドラマは登場人物がかなり個性的である。

山口智子さん演じるシェフの”しずか”はさっぱりしていて、腕の良いシェフ。
さっぱりした美人って憧れ要素が強すぎる。恋している姿はかわいくて、仕事中はテキパキと、普段は明るくさっぱり、仕事中にフンフンと鼻歌なんか歌っていたりして。あっという間に当時中学生のわたしの”憧れの女性像”となった。

筒井義隆さん演じるオーナーの"禄郎(ろくろう)”はピュアで真っ直ぐな人。そのピュアさはスタッフたちを何度も救うことになる。
開店前のミーティングで「“3つのW”をテーマにやっていきましょう!」と、オーナーからの意気込みのようなお言葉があるのだが、1つだけ伝えて、残りはまた明日!という気になりすぎる終わり方を度々行う。(同じ感じで“5つのP”、“37のS”などがある。37て。笑)
この純真すぎるかわいさ、中学生から見ても「この人大丈夫?」と心配になる程だったが、今改めて見ると「そのままでいてほしい人」だった。
筒井道隆さんはこのドラマの印象が強すぎて他のドラマを見ても”禄郎”がよぎっていたのだが、先日の「VIVANT」(年月経ち過ぎ。笑)での悪い顔。うおっ、となってしまった。

挙動不審なようで寂しがりやの範朝(のりとも)(演 : 西村まさ彦さん)。
そんな範朝と不倫中の、自称“愛人顔”の政子(演 : 鈴木京香さん←めちゃくちゃかわいい)。
などなど。
三谷作品ならではの偏った(?)個性が、わたしは面白くて仕方ない。

当時三谷さんのことは知らなかったけれど、後日「古畑任三郎の人か!」と膝を叩く。
(後に三谷作品はいくつも観ることになるし三谷さんの書く文章も読むようになる。)
「王様のレストラン」はその後もわたしの“人生におけるベストドラマ”の一覧に君臨し続けている。



*「問題のあるレストラン」

こちらはわたしの大好きな坂元裕二作品。
主題歌がきゃりーちゃんの「もんだいガール」というポップな曲なのだが、わたしはこの曲がかかるといつも涙してしまう。
そのくらいこのドラマのストーリーを覚えていて、レストラン(ビストロ フー)で働く彼女たちが愛おしくて、このドラマが大好きなのだ。

“問題”をもつ彼女たちは主人公“たま子”(真木よう子)に集められレストランを開くことになる。
このドラマの軸になっている料理は「厚切りベーコンのポトフ」。おいしそう。わたしがこのレストランに行けたら必ず頼む!と思わずにいられないほどおいしそうなのだけれど、この料理に対する背景が色々ありすぎて、、そちらに夢中でお腹は空かない。

元々が友達ではないからか、女同士かなりぶつかり合っている。結構ぐさっときそうな言葉も。
女同士ってぶつかり合うことが少ないような気がしていて、ある程度大人になると気づかい合える人が増えるからかほぼぶつからない。(わたしの周りしか知らないけれど。)
だからなのか、わたしはぶつかり合っても信頼しあえる関係に憧れているのかもしれない。
彼女たちはかなり本音をさらけ出していて、そしてそれにぶつかりながらも相手を受け入れる。そこに人間としての強さやあたたかさを感じる。
役者さんが全員はまり役!というくらい、わたしは彼女たちが愛しくてたまらない。どの人のエピソードも苦しくて悔しくて、ううっ。。となるのだけれど、でも最後には彼女たちの優しさや勇気に涙が流れる。

みんな好きで選べないのだけれど、しいていうならちかちゃん(松岡茉優さん)が好きかな。
一人でずっと頑張ってきて、虚勢を張っていて、でも心はものすごく優しくて繊細で、お母さん想いな子。
ミミ(高畑充希さん)や、ハイジさん(安田顕さん)のエピソードも良いんよね。わー、やっぱり選べない。

そして坂元裕二作品ならではの名言も連発している。心に刺さる名言の他、クスっと笑ってしまうもの多数。(名言をググるとめっちゃ出てきます。)
結構重たい題材が多いのに、何度も見たくなる面白さを感じられるのは坂元裕二の操る言葉のおかげ。
この作品もきっとまた何度でも観るに違いない。





この2つのドラマには圧倒的に異なる点がある。
「王様のレストラン」は男性メインの会話が多く
「問題のあるレストラン」は女性メインの会話が多い。
「王様の〜」に関しては結構前の時代なので今だとタブーな男性の会話が少しあるけれど、それは当時のエンタメとしてまあ受け流せる。(今言われたら嫌やけど。)登場する2人の女性は気持ちの良い強さを持っているので、そこが救い。
「問題の〜」は女性差別をする男性が多く出てくるので、その男性達にめちゃくちゃ腹が立つ。でもそれに立ち向かう彼女たちを心から応援できるので、こぶしを握りしめながら気持ちが入る。

もっと「一人の人間」として見てもらえるようになったらいいのに。
少しずつ世の中がその方向に向かっていると信じて。

それにしても、つくづく坂元裕二さんはフラットな視点を持っている人なのだと思う。
すごい。坂元裕二さんはいったいどんな人生を送っているのだろうか。。




おっと。
好きすぎるが故に熱が入りすぎてしまいました。
ちょっと長くなりましたね。

お付き合いありがとうございました。
興味が湧いたらぜひ探してみてくださいね。
では♫


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