ルージュの魔法
人生で初めて買ったハイブランドのリップ。
たしか、社会人2年目の夏に買ったもの。
そろそろおとなのリップがほしいぞ、とどきどきしながらデパートのコスメカウンターへ出向き、何度か訪れて目星をつけていた色をタッチングしてもらったらなんだか似合わず、この色が合いそうですよーと出してきてもらったものを買ったのだった。
とはいえ、買ったものの、当時はつけるのがなんだか小っ恥ずかしく、似合っているのかもわからなくて、あまり使っていなかった。
断捨離するたびに手放そうかと思いつつも、
なんとなく思い入れがあり手放せずに、かといってほとんど使わずに8年が経っていた。
そしてまた先日
コスメケースに眠っているそれと対面して
もう8年も前のやつだし
全然使ってないし
いよいよ捨てようかと思ったが
捨てる前に一度つけてみた。
そうしたら、今の気分にミラクルフィット。
そうそう、こんなピンクを求めてたのよ、わたし!
こんなに素敵な色だったのか!
まさに、時を超えてルージュの魔法にかけられてしまった気分。
当時は、これぞ赤リップと思っていたけれど
全然赤ではなくて
ピンクローズというか、マゼンタ的な色
自分にもとても似合う色。
歳を重ねていろんなメイクをみたり体験したりして、ひとつのリップでもいろんな塗り方があることを知っている今のわたし。
このルージュも、ぽんぽんと馴染ませるように塗れば、カジュアルに日常に溶け込んでくれる。
ばちっと決めたいときは、しっかり丁寧に。
このルージュが眠っていた8年の間に、色を見る目も、自分を見る目も、自分を楽しませる方法も、ずいぶん養われたんだなと感慨深くなった。
古いし、衛生的にもどうだか。
と思ったが、自分で楽しむぶんにはいいか、
と思い直して捨てるのをやめた。
なにぶん塗るとすぐに唇が荒れるけど
どうにか工夫して
しばらくはこのルージュに毎日を彩ってもらおうと思っている。
yukie
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