見出し画像

キューティーハニーのTシャツが教えてくれたこと



年末のこと。

3歳になる息子に、「次の靴何色がいい〜?」と一応聞きつつ、Amazonを一緒に見ていたら

「はやぶさがいい!」と
ド緑のギンギラギンの、東北新幹線はやぶさデザインの靴を指さしてきた。

出典:Amazon.co.jp



「えー、それにするの?」

と言うわたし。

心の中では

「変じゃない?キャラものは……ダサくない?」

という声まで。

でも、この自分の心の声に、なんだかザワザワ。


………。

………………。


ちょっと待てよ。

なんでわたし、わざわざ息子の「好き」を取り上げようとしてるんだ?

「ダサい?」って、誰の意見?

実際にそれらを身につけている子をみてそう思ったこともないし

「好き」ってそもそも、ダサいとか、誰にどう思われてるとか、関係なくない?

なんでそれ、取り上げようとしてるんだろう、わたし。


はたと、自分が握りしめていたもののしょうもなさに気がついた。


値段だって他の靴と大差ない。
買わない理由は、わたしの妙な思い込みだけだった。


なんだそれ、そっちその方がダサいやん!

と声を大にして言いたくなった。



同じように、キャラものを買ってもらえなかったわたしの幼少期。


唯一、キューティーハニーのTシャツを1枚持っていた。

すっごくお気に入りで、くたびれるまで、毎日毎日着ていたことを思い出した。

そして、そのTシャツを着て登園できる日は、すごく誇らしい気持ちだったことも。

毎日好きなキャラクターの服や靴を身につけていた同級生が、心底うらやましかったのも覚えている。

思えば、身につけていることよりも、好きなものを堂々と「好き」と言えること自体がうらやましかったのかもしれない。


ともかく、キューティーハニーのTシャツが幼少期の私の自己肯定感を上げてくれたことは、今でも思い出せる事実だ。


息子にとって、このギンギラギンのはやぶさのシューズもまた、彼の大切な気持ちを育むきっかけになるのだろうか。

そう思うと、むしろ買わずにはいられなくなり、その場で注文ボタンを押したのだった。



「好きなものを好きと言える大人になってほしい」

そんな思いで子育てをしているのに、言ってることとやってることが違ったな、母さん。

とすこし反省した。


けれど、この思い込みを手放して、どんどん自分で決める経験を重ねたら、どんな大人に育つだろうかと、今まで以上にわくわくもしてきたのだった。




一方、その少しあとのこと。

母と話していたら、わたしの母は単に「キャラものはダサい」とか、そんな理由でキャラクターの服を買ってくれなかったわけではなかったのだと気付かされた出来事があった。


それは、3歳になる息子に、母がプレゼントを買ったと言う話をしていたときのこと。 


わたしからは、来年も着られるサイズの冬用のパジャマをリクエストしていたのだが、クリスマスシーズンと重なっていたこともあり、品薄だったらしい。


結局母は、「新幹線こまち」のリュックにスウェット上下、パーカーの入ったセットを買って送ってくれた。

このことについて、母は

「こういうのって縫製が雑だし、布もペラペラだからどうかなと思ったんだけど、もう他に全然売ってなくて」

と選んだ経緯を話してくれた。


それを聞き、思い出したのだ。

母は、たとえユニクロの安い服でも、縫製や布の質にはとてもこだわっていた。

ファスナーはどうかとか、裾の処理はどうなっているかとか、生地感はどうかとか。

安いのに、ダーツやプリーツが丁寧に入ったパターンの服を見つけると、えらく興奮していたのも思い出される。

考えてみたら、洋裁学校を出て、服やバッグなどなんでも自分で作ってしまう母だ。

縫製にこだわるのは当たり前だった。
当たり前すぎるほど、最低限の選択基準だったのだ。


キャラものだろうがなんだろうが、
「質のいいものを選ぶ」
それが母のモットーであり、価値観だったのだと、今さらながら気づかされたのだった。


そして、わたしが無意識に身につけていた
「本質を見抜く力」というものもまた
母から譲り受けたものだったのかと
これまたハッとさせられた出来事だった。

今さら、ありがとう母よ。
という気持ち。



そうして年末、はやぶさのシューズが届いてうれしそうにしている息子。

「はやぶさ、はやいぞぉ〜!ビューン!!」

なんて言いながら、よく歩いてくれるようになった彼をみていると、心底買ってよかったなと思うし、わたし自身も、抱っこの頻度が減ったことで、このシューズにとても助けられている。

しかし、今まで無意識に選んでいた、足のアーチに合った柔らかい、質のいい靴に比べるとやはりすごく固くて、こりゃなんだかなとも感じている。

が、なにを隠そう、ワンサイズ大きめの「蒸気機関車シューズ」も同時購入してしまったので、
次もこの固い靴を履かせなければならない。

出典:Amazon.co.jp


まあでもそのまた次には、もう少し動きやすそうな靴を履かせてあげたいなと思うわたしなのであった。


はやぶさ、似合ってるよ。


yukie

この記事が参加している募集

この経験に学べ

育児日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?