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【10】企業が「再現性のある、コンテンツ拡散力」を得るには何をすればよいか。
記事を「拡散」させてほしい……
企業のオウンドメディア担当者の方々から、こんな要望をいただくことがあります。
広告の費用対効果が落ちる中、異なる手法で見込み客を集める手法を探る、という企業が増えているのでしょう。(出典:約10年で8割減の広告インプレッション、リスティング広告の効果はなぜ下がったのか)
今回はその「拡散」について、書きたいと思います。
「拡散」とはどのような現象か
ただ、一口に「拡散」と言いましたが、一体「拡散」とは何を指すのでしょう。
記事が「バズる」ことでしょう、という人もいれば、「たくさんの人にSNSで言及されることではないか」と述べる人もいます。
中には「バズる」必要はないが「拡散」は望ましい、なんていう人も。
ただ、こういった文脈で使われる「バズ」や「拡散」には、正確な定義が存在するわけではないので、多くの議論は主観に依存します。
例えば、あまりウェブに詳しくない方は、「バズる」を「炎上」と同じような意味で捉えてしまっているため、「バズ」「炎上」は悪いけど、「拡散」は歓迎、というわけです。
個人的には私も、「バズ」と「拡散」は少し違うかな、と思っています。
そのちがいの本質は「読者層」です。
下の図を見てください。
順番に説明します。
友人 〜一次の隔たり〜
私達がコンテンツをウェブを投稿すると、そのコンテンツはまず、
直接の「友人」に届きます。
彼らはほとんどが直接あったことのある人々で、知人、友人、家族、同僚など、ごくごく親しい人々でしょう。
彼らの多くは中身を見なくても、関係性だけで「いいね!」をしてくれますが、それに甘えていると次第に無視されてしまうので、大切にしましょう。
友人の友人 〜二次の隔たり〜
その次にコンテンツが届くのは、その「友人」の外側の「友人の友人」のネットワークです。
ここには極めて多様な人が含まれます。
例えば、「取引先」の「取引先」であったり、「直接はつながっていない上司」であったり、「友人の前の職場の人」であったり、「幼馴染のパートナー」であったりします。
ただし、多様であってもここは「赤の他人」ではありません。
直接繋がりはなくとも、ある程度価値観を共有できる人々が多数、集まっていると言えるでしょう。
そう言う意味では、発信したコンテンツへの「共感の輪」が生み出されやすいクラスタであるとも言えます。
友人の友人の友人 〜三次の隔たり〜
そして、その外側に位置しているのが、SNS上での「友人の友人の友人」。「ほとんど他人じゃないですか?」という方もいるでしょう。
でも、実はそうではありません。我々は見知らぬ「友人の友人の友人」からも強く影響を受けています。
これは学術的な研究に裏付けられています。
米国エール大学のニコラス・A・クリスタキスは、著書「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」の中で、肥満者のネットワークについて触れています。
特殊な数学的手法を使って分析してみると、肥満者と、非肥満者における相当なクラスタリング(群化)が実際に起きており、それが単なる偶然ではないことが確認できた。
私達の発見によれば、多くのネットワーク現象に「三次の影響ルール」という驚くべき規則性が見られるが、クラスタリングもまた、このルールに従っていた。
平均的な肥満者の友人、友人の友人、友人の友人の友人もまた肥満者である可能性は、単なる偶然とは思えないほど高かった。
同様に、平均的な肥満者から三次の隔たりまでの友人は、非肥満者である可能性が高かった。
三次の隔たりを超えると、こうしたクラスタリングは見られなくなった。
こうした事実を受け、ニコラス・クリスタキスは、ネットワーク上のコミュニティーは、メンバーに共有された考え方や行動によって規定されている、としています。
「私達のコンテンツの影響力」は、実は非常に大きいのです。
アンチを含む「他人」 〜四次の隔たり〜
ところが、時として「コンテンツ」が広がりすぎてしまい、価値観を共有できない「他人」がコンテンツネットワークに入り込んでしまうことがあります。これが「アンチ」の出現です。
残念ながら世の中には、「決して話が通じない人」がたくさんいます。
宗教観、育ちの違い、遺伝的性質、民族、文化、交友関係……
中には「他者を攻撃したいだけの人」なども紛れており、コンテンツ発信者のあら捜しばかりをする人々も実際に存在しています。
こうした「価値観を共有できない人々」が大挙して押し寄せてくる状態が、「炎上」あるいは「バズる」という表現になる時があるのです。
したがって私は便宜上、「拡散」は三次の隔たりまで、「バズる」は四次の隔たり以上の広がりを見せたときという定義を使っています。
アンチを呼び込んでも、大して良いことはありません。アンチが来るくらいなら「一定の範囲」までにコンテンツが届く範囲を絞り込んで、余計なギャラリーを呼び込むことを拒否したほうが良いのです。
例えば、「ちきりん」という有名ブロガーがいます。
彼女のブログは「はてな」というコミュニティをプラットフォームとしていましたが、現在は彼女は「はてな」からの流入を拒否しています。
おかしな人たちが集まってくるのを避けるため、コメント欄を閉じ、はてなブックマークの一覧ページも非表示にしています
(出典:「chikirinの日記」の育て方)
煽情的なタイトルを付けたり、奇行によって耳目を集めたとしても、「アンチ」ばかりが増えたのでは、むしろマイナスです。
誠意を感じるタイトル、実直な内容によって「バズ」らなくても、拡散によって「ファンづくり」に邁進したほうが、長期的に大きな成功を手にできるでしょう。
フォロワー200名の、Twitterの平均的なユーザーですら「800万人」に影響力を持てる
では「三次の隔たり」はどの程度の影響力なのでしょう。
ビデオリサーチの調査によれば、2017年のTwitterのアクティブユーザーのフォロワー数の平均は約160人です。
(出典:【VRわかものラボ】Twitterのフォロワー数、こんなにいるの!?)
2019年において、現在のTwitterユーザーのフォロワー数を200名として計算してみると、三次の隔たり、つまり「友人の友人の友人」は200人*200人*200人です。これは、800万人、という膨大な数字になります。
もちろん、これは理論値なので、実際とは異なります。
ですが、仮に友人の10%がツイートに反応すれば、8000人にコンテンツが届きます。
極めて反応が悪いツイートで、友人のたった1%しか反応しなかったとしても8人には届くのです。
Twitterのエンゲージメント率は、大体1%〜10%程度ですから、これは決して夢のような数字ではありません。
SNS上では、「普通の人」にも、これほどの影響力があるのです。そりゃ、SNSが世界中で流行りますよね。「発信したもの勝ち」の世界は、こうして出来上がっています。
企業が「再現性のある、コンテンツ拡散力」を得るには何をすればよいか。
さて、いよいよ本題です。
「拡散」とはなにかを理解すると、「再現性のある、コンテンツ拡散力」をどう得るかがわかります。
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