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やりたいことが見つからないあなたへ

はじめに

本noteは主に学生や若手ビジネスパーソンを対象に書く。

東京大学 産学協創推進本部 FoundXの本郷テックガレージ・ディレクターで、PxTXにご登壇頂いた馬田 隆明さんの以下記事を自己解釈、自身の経験談を追加するカタチでお届けする。

要は馬田さんの記事が非常に学びとなったので、自分なりに対象の人物たちへ伝えたいことを書いてみるってnoteだ。そのため、本noteがいいなと思った方々は馬田さんの記事を是非ご覧頂きたい。
(途中ほぼ引用の部分があるが、予めご了承下さい汗)

情熱を傾けられる仕事が存在し、理想の職場が存在すると思っていた過去

大学生の時、ベンチャー企業の創出という講座にたまたま出会い、マクロミル創業経営者である杉本哲哉氏や玉塚元一氏、河村泰貴氏(当時ははまなるうどんの社長)などからビジョン・夢・経営論を聞いて、ベンチャーという世界があるんだとはじめて知った。

彼らの志はとても高く、私も母校の後輩たちにこのような機会を提供できるような経営者になりたい、日本を牽引していきたいと思った。

同じゼミ仲間には、とにかく車が好きでトヨタに入社したメンバーもいたし、とにかくビールが好きでサントリーに入社したメンバーもいた。

一方で、自分は特に好きなプロダクトや業界はなく、とにかく誰よりも早く成長したいとだけ思っていた。結果としてセールスという役割ではトップセールスになったし、会社にも半期に1回の表彰では毎回表彰頂けるくらいにはなってはいた。

その後、「ビジョンが変わった」という理由などで、「もっと自分が成長できる環境があるはずだ」と信じて、会社を一度去る経験をする。

今振り返ると情熱を傾けられる仕事がこの世界のどこかに存在し、理想の職場がどこかにある!と思っていたんだろうなぁと思う。(青い鳥症候群だったのだろう)

そのような自分だからこそ、「やりたいことが見つからない」という人たちと一緒に出来ることがあると思ってnoteを書いていく。

「やりたいことが見つからない場合、どうすると良いですか?」という問いへの今までの対応

今までは以下のようなアドバイスをしてきたと思う。

「今、目の前のことに(出来ること/任されたこと)とにかく集中しよう」

「自分の好きに挑戦しよう(≒馬田さんがおっしゃる『情熱に従う』の推奨)」

人によってだが、このメッセージはこれで良いとは今でも思っている。

一方で、せっかくお会いできたご縁のある方々や一緒に働く仲間に対して無責任さ(自分自身のコミットのなさ?)やロジックのなさについては課題に感じて悶々とする部分があったのも事実。

情熱は育むこともできるという学び

仕事や趣味における「やりたいことが見つからない」は、結婚や恋愛における「愛するべき人が見つからない」という言葉に似ている。情熱と愛とは似ているのかもしれない。

自分も若い頃は「花屋で花を選んでいる時にたまたま選んだ花が同じで指があたった人と恋に落ちる」と妄想を考えていたことがあった。

まず花屋には行かないし、母の日以外に花をプレゼントもしたこともなかったくせにだ。まるで「愛すべき人が見つからない」と思っていた節もあった。

ここで、馬田さんの記事に個人的に興味深い研究が2つ。

1つは愛における恋愛結婚とお見合い結婚(取り決め婚)の研究だ。

インドのラージャスターン大学の1982年の研究で、どちらの結婚のほうがルービンの恋愛尺度(「夫/妻には何でも打ち明けられそうな気がする」「あの人なしでいるのはとてもつらい」といった項目)で、恋愛感情の強さがあるか計測(このスコアの満点は91点)。その結果、平均を取るとお見合い結婚(取り決め婚)のほうが、結婚から10年以上経過後には28pts恋愛感情が上という結果が出た。

当初は恋愛結婚の方が夫婦間の心理的安全性や必要度が(継続して)高いと思っていたが、研究結果によれば愛情は育めるということなのだろう。

もう1つは、仕事へのどのような向き合い方が情熱を生むのかの研究だ。The Passion Paradox の著者の一人によれば、以下を区別していると言う。

①情熱に関する Fit Mindset (Fit Theory)
②情熱に関する Developing Mindset (Develop Theory)

①Fit Mindset の人たちは最初から直観的に情熱を持てるような活動や職を見つけることによって幸せを得られると信じている。

一方、②与えられた仕事などで情熱を耕すように育てる人たちは、情熱を develop — 開発していくこと、あるいは育くむことを重視する Develop Mindset の持ち主。

そして Fit Mindset のほうが 78% と大多数だそうだ。

ではどちらがフィット感を持って仕事に取り組めていたか?

最初こそ ①Fit Mindset の人たちのほうが仕事へのフィット感を感じていたが、②Develop Mindset の人たちは次第にその仕事へのフィット感を増していく。


さらにフィット感だけではなく、他の情熱や職業への満足度、主観的なプロとしての成功や年収を見てみると、どちらの群も同レベルという結果。

つまり、どちらの人たちも仕事に情熱を持てており、しかも同じぐらいの成功をしていた。

ここから言えることは、私たちには情熱の傾けられる完璧な仕事を「探す」以外にも、情熱を徐々に「育む」という選択肢があるということ

完璧な情熱を最初から見つけるというやり方もあれば、情熱を育むというやり方もあり、いずれの方法を取るのであれ、私たちは情熱を傾けられる仕事を最終的に見つけられるようだ。

「情熱を育もう」なら一緒にできる

「やりたいことが見つからない場合、どうすると良いですか?」という問いへに対して、「情熱を育もう」なら一緒に出来そうという点が気に入っている。

例えば、情熱が生まれるかもしれない環境作り(情熱を持って既に働いている人たちとの出会いの接点を設ける等)や1on1で情熱の芽を一緒に育んでいくことはできるだろう。

そのため、今後は上記2つの研究をロジックとしながら「情熱を育もう!」または「情熱を一緒に育んで行こう!」とアドバイスしていきたいなと思った。その方がコミット感があって自分の性に合っている。

では、どう情熱を育むと良さそうか?

まずは情熱を育むべき対象を見つけるためにも「バーを下げる」ことがオススメ。

最初から完全に自分にフィットするような、自分にとって完璧な情熱を探すのではなく、バーを下げてちょっとした興味関心や知的好奇心を探してみること。もしその興味関心を気に入ったのなら、少しずつ試しながら育てていくこと。

そして、どんな好きな仕事であっても、時には困難や挑戦が待ち受けていることを予想しながら、努力の成果ではなく、できればその努力のプロセスが好きになれるようなことを見つけること。

その興味関心が自分に合わないと判断したら、次の興味関心の種を育てること。

要は、情熱を見つけるために大騒ぎをするのではなく、新しい経験に対してオープンでありながら、静かに探索をし続けるための時間やゆとりを与えてあげることや、最初はちっぽけな好奇心でもいいんだと自分を思いやってあげるよう勧めることが、我々の最大限のアドバイスなのかもしれない。

それでも情熱を育む対象が見つからない場合は自分が貢献できるところから情熱を育もう

ベストセラーである『HARD THINGS』の著者であり Andreessen Horowitz の共同創業者である Ben Horowitz は、コーネル大学の2015年の卒業スピーチで「情熱に従うな (don’t follow your passion)」という卒業スピーチを行った。

彼は情熱に従うのではなく、自分が最も貢献できることに従うべきだ (follow your contribution) と述べている。そのために、自分の得意なことに集中したほうが良いと。

また、「Follow your passion 」というアドバイスはあまりに自分中心的過ぎることについて警告もしている。むしろ、他人を助け、貢献することに目を向けるべきだと。

ここから言えることは、情熱を育む対象がなかなか見つからない場合、他人への Compassion (思いやり) から始めると良いかもしれないということだ。

確かに働きがいの文脈でも、自分の仕事が他人へ貢献していると感じられることはワーク・エンゲイジメントを高めると思う。

やりたいことが見つからないあなたへの今だから出来るアドバイス

「やりたいことが見つからないのは、どうしたらいいのでしょう?」と問いへの今後の対応について書く。

まずは「それはそうしたものだから安心してくれ」と答えようと思う。

そして、「少しでも興味関心を持てることや、他人に貢献できることに取り組んで、その中から少しずつ自分の情熱を育てていこう」と伝えよう。

さらにご縁を頂いた方々や一緒に働く仲間で、その情熱に対して心からの共感や貢献が出来そうな場合、「あなたの情熱を一緒に育んでいこう」と答えよう。

最後に「点と点は繋がると信じて。今やっていることがどこに繋がると信じて、一緒に情熱を育んで行こう!」とスティーブ・ジョブスのスタンフォード大学の卒業スピーチと合わせて言いたい。


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