絵本探求ゼミ4期2回
今回2回目は当日に受講できなかったためビデオを視聴しての振り返りです。
課題本
★1回目の講義を受けて翻訳の視点で見直して翻訳絵本を一冊選ぶ。
・原書『NOTHING AT ALL』 By WANDA GA'G
【1942年 コールデコット賞 オナー賞受賞】
・『なんにも ないない』 ワンダ・ガアグ 作・絵 むらなか りえ 訳出版年 1994年5月 ブックグローブ社
・『みえない こいぬ ぽっち』ワンダ・ガアグ 作 こみや ゆう 訳出版年 2020年12月 好学社
村中李依さんの講演会で、この絵本のお話を聞きました。知らない絵本でしたが題名の『なんにもないない』とお話の中に出てくる「ありやなしやのじゅつ」「てんてこまいまい ぐるぐるまい」が気になり読んでみた。
その後、村中訳は絶版であることを知り、小宮訳を手に取った。
〈あらすじ〉
誰も知らない古い農場に、三匹の捨て犬きょうだいが仲良く暮らしていた。一番下の子犬は、誰からも姿が見えない"…そこで名前は「なんにもないない」でも兄さんたちから愛され、ありのままの自分で満足していた。
幸せな日々を過ごす「なんにもないない」だったが、姿が見えないので困った事が突然やってくる……兄さんたちが子ども達に連れていかれ「なんにもないない」は置いていかれてしまう。
突然ひとりぼっちになってしまった「なんにもないない」に物知りカラスが声をかけてくる。
カラスに教えてもらった「ありやなしやのじゅつ」の「てんてこまいまいぐるぐるまい」の呪文を9日間となえて、体が見えるようになる。
そして、兄さんたちと一緒に子ども達のところで暮らすことになる。
★原書と村中訳、小宮訳を比べてみた
・絵本の大きさの違いに驚いた。写真のようにあまりに違う。原書は農場の広がりや大きさが良くわかる。
・裏表紙の絵が原書には無く日本語訳にはある。
・原書にある見返しの絵が、村中訳には無い。小宮訳にはある。
・小宮訳は4ページの絵が反転している。
訳の違いは三冊を表にして、気になったところをまとめてみた。
村中訳は、オノマトペが使われリズミカルで呪文の部分がとても印象に残った。
小宮訳は、繰り返しの説明が多くお話という感じがした。
二冊の翻訳絵本を読み、違いに本当に驚いた。
今まで、翻訳絵本でも原書と照らし合わせながら読んだことはほとんど無く、英語が苦手なので辞書を使うのも何十年ぶり・・・そのままの訳を当たり前に読んできた。
今回のゼミで、そのことに気づいた。
★翻訳者紹介
村中さんは、「読みあい」の活動や児童文学の研究をされている。たくさんの絵本を出版されている。翻訳絵本を探してみたが、私がしらべたところ「なんにもないない」のみのようである。
小宮さんは、翻訳家の家庭に育ち、たくさんの翻訳絵本に携わっている。
今回のゼミで学んだこと
翻訳をすることで一番大切な事
★「原書で読んでも、日本語で読んでも同じところで笑える、感動できることだそうだ。」
オノマトペ
★「英語から日本語に翻訳するというときに日本語には動詞が少ないためその分オノマトペを使って擬態語で表現することが多いそうだ。」
翻訳者の背景
訳者が翻訳するときの言葉は、翻訳者の生きてきた時代や背景が関係してくるそうだ。
例えば、瀬田貞二は俳句を学んだ方で日本語の言葉やリズムに優れているそうだ。
『おだんごぱん』
テンポが良く歌もあり、定番絵本だが古さを感じない。
『三びきのやぎのがらがらどん』
次に捲りたくなるドキドキするお話。
『おおかみと七ひきのこやぎ』
何年も読み継がれていて、でも古さを感じさせない昔話。
どの絵本もリズムがあり何度でも読みたくなる大好きな絵本である。
今まで、訳者を知って翻訳絵本を読んだことがあまりなかった…
瀬田貞二、松岡享子、石井桃子の訳本は、私の世代では「きれいなリズミカルな日本語」として感じるが、これからの子ども達にとっての感じ方は違うのかもしれない。著者の背景を知ることで絵本の絵や内容が分かると翻訳の絵本の選び方も違うのかもしれないと感じた。
次回の宿題でもあるので、絵本の訳者をもっとたくさん調べて絵本を選んでみたいと思う。
おまけ
先日、孫の本棚を見ていて『ちいさいおうち』に挟まっていた感想文をみつけた。漢字から見て小学2年生の時のものかもしれない。
内容はともかく、この書き方に驚いた。タイポグラフィーだ!。
孫に聞いても、その時の記憶はなく「この絵本好きだよ。こんなの書いてたんだ。」と。
きっと絵本を読みながら、タイポグラフィーが気になって真似たのかと思う。
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