見出し画像

砂糖を入れない紅茶

紅茶にたっぷりと砂糖を入れて飲むのが好きだった。

それをやめたのは、10代の終わりに恋した人の影響。
彼は、大人になるにつれて、甘い紅茶が飲めなくなっていったという。

「今はもう、甘い紅茶なんか飲めるかよ!って感じ」

その言葉を聞いて、砂糖を入れずに紅茶を飲むのも"大人になる条件"としてインプットされた。


その場では、無理に彼に合わせず、砂糖を入れた。
いつもよりは、控えめに。

紅茶をかき混ぜる私の姿を見ながら、
「俺も昔は砂糖入れるの好きだったけどね。もう無理。ジジイかな?」
と、自虐的に言ってみせた。

年齢差は一桁しかないのに、10代と20代、学生と社会人の違いが、大きく横たわっていた。


紅茶に砂糖を入れないだけで"大人"なんて、お互い可愛らしいことを考えていたよね……。

"熟女"のトシになった今は、紅茶を淹れながら、遠い昔のデートを思い出す。

***

オーディオブック

当作品は、オーディオブック配信プラットフォーム「Writone(ライトーン)」で音声化されています。
リンク先の「砂糖を入れない紅茶」選択でお聴きいただけます。
関連作品の「レモンスライス」とともにお楽しみ下さい。

関連作品

(2018年11月1日 追記)
対になる作品を書きました。

その後、同じコンテストの応募作品として、こちらの作品も書きました。

公開の場を追加

(2021年9月4日 追記)
より多くの皆さんに作品が届くよう、アルファポリスでも公開しました。

ラジオ放送歴

(2021年10月15日 追記)

2021年10月14日、インターネットラジオ放送局・fm GIG「お昼にほっこりどーどすか」で、自ら朗読したオーディオブックの音声が放送されました。

(2021年11月13日 追記)

2021年11月11日、fm GIG「お昼にほっこりどーどすか」で、同番組のパーソナリティー・如月凛きさらぎりんさんによる朗読が放送されました。
リンク先はWritoneライトーンのオーディオブックです。

なお、この回で、私が如月凛さん作『ひとつ また ひとつ』の録音をした際のエピソードについて、如月凛さんがちょっとした勘違いによる発言をされていた部分は、アーカイブから削除されています。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

私のコーヒー時間

有料記事は、note IDがなくても、ご購入いただける設定をしています。 無料記事に対するサポートもお待ちしています♪ note指定の決済手段がない方は、ご連絡願います。