見出し画像

【今日読んだ本】舟を編む(三浦しをん著)

読書記録として。


ストーリー

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。
(Amazonのサイト内本の概要より)

Amazon.co.jp: 舟を編む : 三浦 しをん: 

書き出し

荒木公平の人生は、――人生というのがおおげさであるならば会社人生は、――、辞書にささげられてきたといっても過言ではない。
 荒木は幼いころから言葉に興味があった。

感想

「言葉があるからこそ、一番大切なものが、俺たちの心の中に残った。」
心の底から同感して、涙を浮かべてうんうんと頷いた。大切なものを失っても、言葉があれば互いに語り合える。思い出を残しておける。

本を好きな人は言葉が好きな人が多いと思う。だとしたら、きっと「辞書」も好きなんじゃないかな。
少なくとも私は大好きだ。

今でも、知らない言葉に出会ったらその場でスマートフォンで検索する。
言葉の意味・語源・用例は必須。
それらのことを知って初めて、その単語が自分の中にスッと入ってきてくれる。言葉と少しだけ親しくなれた気がする。
「私のボキャブラリーになってくれた」
そんな気持ちになる。

先日もランチをしに入った店のメニューで「アフォガート」という言葉に出会った。
この名前はよく見るけど、どういう意味?
というか語源?
気になって調べてみた。

イタリア語で「溺れる」という意味。

アフォガート(Affogato)は、イタリア語で「溺れる」という意味を持つ言葉です。バニラアイスがコーヒーに溺れているように見えることからついた名称だといわれています。

なるほど。コーヒーの海で溺れるバニラアイスのようだからこの名が着いたのね。
こうすると、「あふぉがーと」という音としてだけではなく、その形状と、ついでに、コーヒー色の海で、こんもりした形のバニラアイスが顔で、そこから手足が生えているキャラクターが「助けて~」と溺れているイメージまで私の中に入ってくる。うん大丈夫。物語までは浮かばなかった(笑)

そうして、
「こんにちは、アフォガートさん、これからもよろしく」
となる。

そんな感じで「言葉」が大好きな私は、この本に出てくる辞書作りに命をかけちゃう登場人物達が、みんな愛おしい。

昔から、何か本を読んでいないと寂しくて。読む本が手元にないときは辞書を引いた。
調べたい言葉があるわけではなく、パッと開いたページの目についたところから読んでいく。
初めて見る言葉もあるし、知っている言葉もある。

辞書はとにかく楽しい。
ずっと対話をしている気分になれるのだ。

それはもしかしたら「舟を編む」に出てきた人たちのような編集者達が、言葉に意味という光を当てるため、たくさんの思いを詰め込んでいたからなのかもしれないな。

言葉の意味はわかっても,それを言語化することは簡単ではないことを私は知っている。

子育てをしていて、四歳になった長男に、
「ママ、恥ずかしいって、どういう意味?」
と聞かれた時は、「恥ずかしい時の気持ちのこと」としか浮かばなくて。
四歳児に理解できるボキャブラリーで、「恥ずかしい」という概念を明確に持っていない子供に説明するのは、至難の業だった。
実際うまくいかず、「ママが恥ずかしいと思った体験シリーズ」を語り、こんな時の気持ちだよ!と伝えた。
「わかった」と答える、曇りなき長男のまなこに、すまぬ!と思った記憶がある。

辞書は単語を言語化してくれる。知らない用法まで親切に教えてくれる。
それなのに人に「辞書を読むことがよくある」と伝えると、あれは読む類のものではないでしょう、と言われることが多い。
いや、私にとっては、西洋人が絶対に読むであろう聖書のようなものだ!
文字通り、バイブルだ。
と、心の中で反論する。めんどくさいから、そうかな~とか言って笑ってやりすごすけどね。

辞書はいい。
今はなんでもすぐにネットで調べられるから、さらにいい。
アフォガートって何?となれば、その場ですぐに調べる。
こんな感じでなんでも引いてしまうので、ボキャブラリーが増えていくはずだが、いかんせん、興味が偏っているのと、意外とかたっぱしから忘れるので、あまりボキャブラリーが増えた気がしないけれど。

まじめさん、いっぱい話してみたくなる、すごく好きな人でした。

ドラマ化されることを知り、エクセルで作っている300冊はくだらない読みたい本リストの真ん中あたりにあったが、急遽読んでみた。
ちなみに本を読んでからドラマを見たので、あれ?スピンオフが出ていたのかな?と戸惑ってしまったことを付け加えておきます。

#今日読んだ本

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?