美食エッセー少2

第13回 北京のスラム街で食べたチョウザメの清蒸(前編)

あれはいつのことだろうと調べてみると、北京オリンピックは2008年とある。その数年前、北京はオリンピックの準備をしていた頃だから、2004年あたりのことだろうか。

10年前の北京と今の北京はまるで別物で、ともかく中国の10年の変化は凄まじく、当の中国人でさえ追いつかず、今を生きる若い中国人と例えば40代のそれとでは価値観が違いすぎるだけでなく、情報量も異なり、さらにその上の文化大革命を経験した世代となると、日本で照らし合わせれば平成と明治時代くらいの差があるのではないか。

わたしが北京のスラム街に居候したことは今は昔。もうあの地域にスラム街はないし、中国人に話したって、

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