テキトーを重視して─────────────

俺は言った。
「なんで?」
朝 七時。桃李さんが布団を上げていた時に、足をくじいてしまい、俺が代わりに13時の受付をすることになったのだ。
だが、、、
「ホントになんで?」
寸也斗が受付の時は、大量に女性のお客さんが目をハートマークにしてドドドッと宿に予約をしていたのだが、俺が受付に入った途端、誰も来なくなったのだ。
やっぱりイケメンと美女がやらないとダメなのか、、、せっかく、じいちゃんの宿の売り上げを上げて、手伝う事が出来たと思ったのにな。
・・・・・・そうだっ!寸也斗に変わってもらえばいいんだ!
寸也斗が俺の所へ来ると、俺は即座に言った。
「寸也斗、お願いだっ!俺と、当番を代わってくれ!」
代わりに、俺が布団を引くからさ~。そう言った。寸也斗は
「良いけど。その代わり、布団引きはやってね?」
といった。俺は喜んでその場を後にした。
あれ?俺の仕事多くね?そう、自分の作業室で当番表を見て思った。


~星乃のお葬式~
俺は、グスンッ、グスッと泣き声を何度もあげた。
「俺が、注意してなかったから、、、」
俺は何度も悔やむ。あの時の事を。
あの時、俺が動けば。何かが変わっていたのかもしれない。
「自分を責めるのではなく、明日を向きなさい」
と母さんは言った。俺はえ?と母さんの方を向く。母さんはその後、何も喋ってくれなかった。無言だった。
葬式場は、涙に包まれた。大人でも、泣くことがあるんだ。。。初めて知った事だった。じいちゃんが俺に言った。
「昴。自分を責めちゃいかん、イカを責めるのじゃ。なんちゃって!」
・・・・・・チ~ン。その場の空気が凍った。じいちゃんは俺を慰めようとしてくれてる。幼心にも、それが伝わった。俺は精一杯笑った。
そう言えば、星乃が俺に言ったことがあるな。
「昴兄の、笑顔が好き!泣いてないで、明日を向こう?」
そうだ、カブトムシが行方不明になって、俺が泣いていた時だ。

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