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ゆらりゆるれり

昨日の朝、久々に外を散歩した。

最近は花粉を浴びないよう極力外出を避けていたから、気ままに道を歩くことも、その先で何かに出会えることも、すべてが楽しくて心がはずんだ。


花を見かけ、空を仰ぎ、太陽に目を細める。

毛並みをなびかせてしっぽを大きく振りながら歩く犬とすれ違ったり、鳥がスキップするように目の前を横切ったり、流れる雲を窓枠に遮られずにどこまでも眺めたり、木々の間にチラチラと瞬く日の光を見つけたり。

立ち止まったりかがんだり早足になってみたりするたびに、先月末に切ったばかりの髪の毛先が、首筋で「♪」のように跳ねる。

二月に春の訪れを知らせてくれた梅の花は盛りを過ぎて、縮んだ赤い花びらが枝先でこうべを垂れていた。散りゆく姿まで謙虚な美しさをもつ花に、ありがとうを伝える。

ぷくりと膨らんだソメイヨシノの蕾は、先端がまだきゅっと閉じられていた。
蕾たちは一つひとつに意志があるように、それぞれの方向を真っ直ぐ指していた。
蕾が枝ごと青空に向かって伸びようとしている。咲きたい、咲きたい、というエネルギーが凝縮されている。

少し歩いただけで汗をかいた。
心地よい熱を、風が冷ましてくれる。



 

私の短所は、何かを始めると何かがおろそかになってしまうこと。

キャパシティが狭くて、新しい何かを取り入れるとその分何かを諦めないといけなくなる。

3月に入ってから仕事の密度が濃くなった。人と意見を交わす機会がぐっと増え、言葉を放ち受け止めることの繰り返しに、私の中の何かが引き上げられ、燃やされ、削られている。人の入替や新体制、色々と不安も尽きない。

心が安まる時間を上手く取り入れたいのに、今月はなかなか思うようにいかない。
じっくりと文章を書くことも読むことも意識が分散してしまう。

こうして今、久しぶりに思いを綴れているのは、昨日の散歩のおかげだと思う。
私の切り替えスイッチは散歩なのだと再認識した。花粉症が治まったら、また外を歩きたい。




noteのみなさん、もう少し落ち着いたらゆっくり訪れたいと思っています。

気温のゆらぎで疲れがたまりやすくなる時期ですので、体調にお気をつけてお過ごしください。




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