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命に関わるデジタル格差をバカにするべきではない

数日前、マイナンバーカード発行に係る手続きに広島の某区役所に行ってきました。その中で、マイナンバーカード発行手続き窓口だけ、異様な雰囲気でした。というのも、「待ち時間1時間!」、ごった返して、ベンチもなく、立って待っている人も。老若男女が揃い踏み。そして、発行インセンティブであるマイナポイントの窓口も長い待ち時間を要するようでした。そして、係員の方々は高齢者の方々に丁寧に根気強く支援をしている様子も見てとれます。

そして、私はスマホの扱いには慣れていると思っているので、細かな手続きに関してはスマホで全部行いましたが、これ、絶対「スマホに慣れていない人は無理だろう」との感想をいただいて、ハードルが高いのを実感しました。

このトピックを出したのは、一旦行政手続の煩雑さや不便さを置いておいて、デジタル格差について、色々と考えさせる出来事だったからでした。さらには、少し危機感を覚えたのもありました。

コロナ禍を契機にして、社会全体でDX化が進行しており、様々な取り組みがどんどん進んでいると思います。DX化を進める際には、効率化、生産性向上、危機管理上など広範な範囲で社会全体がメリットを享受できることは間違いなくあるでしょう。

個人レベルでのデジタル化においては、別にそれぞれがサービスを選択して、使えばいいでしょう。クラウドサービスもあるし、SNSへの向き合い方も違うので、そこも是々非々で対応してもいいと思います。正直、SNSがなくても生きてはいけますし、そこまで大きな「生きる」という部分へのハードルは低いと思います。使う/使わないという選択肢があります。特に若い層に関しては、問題なさそうです。

また企業レベルで見た場合には、DX戦略上、全社的な教育も実施されることが多いでしょうし、覚えて慣れる他ないですね。また競争力の問題は別にして、DX化を進めるかはその会社次第で、それぞれが選択する余地があります。中年層においても、ITスキル向上も見込まれます。

そう、選択ができるのです。するか、しないか。これは個人・企業の価値観や戦略に従い、向き合い方を決めることができます。

しかし、マイナンバーカードなどの公共インフラについては話が別です。全国津々浦々、全ての人が使うことができる必要があります。ユニバーサルサービス。使う使わないの選択肢はほぼありません。全ての人を包摂しなければなりません。

ここで問題になってくるのは、デジタル格差です。ITスキル・ITリテラシーの観点で取り残されてしまう人が出てくるということです。これは「命」に係ることで、深刻に捉えるべきです。

とりわけ、地方の高齢者の方々が多いように考えられますね。
私は人口100万人超の広島市という地方都市に住んでいますが、よく困っている人がいて、レクチャー差し上げています。

これは確実に解決しなければならない問題です。困っている人はおそらく皆さんが思っている以上に多いと思いますよ。

よくよく議論としてあるのが、デジタル格差を埋めるサービスや基本的なスマホ操作へのレクチャーに関して、少々バカにする意見を聞いたりしますけども、本気でバカにするべきことではありません。実際は命に関わることです。

基本的に、それは都市部の若手層の論理で、半径10キロの視点です。
ここはやはり想像力をぜひ持ってもらいたいと、私の意見として記しておきたいと思います。

このデジタル格差については、政策上の手当も必要でしょうし、ビジネス機会となります。ESGの観点からも地域課題を解決する一助になるビジネスとなります。地球温暖化対策の大きな話だけがESGではないのです。

蛇足かもしれませんが、金融機関のDX化も同じかもしれません。支店統廃合はビジネス上は合理的な判断だとしても、困る人が出てくるわけですね。

早く社会全体がDX化するべきであるということに関しては、私は大賛成です。特にコロナ禍で痛感した点ですし、この流れは容赦なく定着していくでしょう。

一方で、取り残される人がいるということも頭に入れておかなければならないし、半径10キロの論理で全てを判断するべきではない。そうも感じます。

私は別に保守的ではなく、デジタル技術の発展は大いに大歓迎です。むしろ、メタバースなども体験してみたいなぁと感じている次第であります。楽しみです!アグレッシブに吸収をしていきたいと考えています。

でも、忘れては決していけないこともあると痛感しています。



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