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ツナガル×ツカエル!「地域通貨べる」

「地域通貨べる」ってなに?

山科青少年活動センターでは「地域通貨べる」を「10代の青少年の地域活動参画を促し、また青少年の活躍を地域が見守り応援する仕組みを作ろう!」と、2015年から運用をはじめました。

「地域通貨べる」のモデル

やませいや地域のお手伝いをして「べる」をためられ、やませいや地域のお店で「べる」を使える、そんな地域通貨です。
※詳しくはコチラのホームページをご参照ください。

地域通貨の趣旨としては、地域の活性化やコミュニケーションツール、体験やボランティア活動の促進が主になっています。この経験が、地域への愛着にもつながるのだと思います。
毎年、規模は拡がりをみせており、現在、山科区内約30か所のご協力のもと年間70名以上の青少年が「地域通貨べる」の活動に挑戦しています。
※地域通貨「まーぶ」参考

取材班が偶然出くわした、お店で「べる」が使われる決定的瞬間!

「べる活」をする青少年

「地域通貨べる」をためられる活動を、やませいでは「べる活」と呼んでいます。
「やませいのために何かしたい」と思ったり「暇を持て余しているからなにかしたい」と思ったり「あの本が買いたい」と思ったり「誰かへのプレゼントを買いたい」と思ったり。動機は様々ですが、10代の青少年なら誰でも、ボランティア登録をして「べる活」をすることができます。
掃除などの活動から、絵や文字を描く広報の活動まで「べる活」のバリエーションは多岐にわたります。センター内のものだけでなく、児童館や社会福祉協議会などのパートナーさんから依頼された案件もたまにあります。

山階児童館利用の子どもたちが楽しむためのハロウィングッズのパーツを作成中

求人票は、それぞれのおしごとに必要な注意点や目安の時間、「べる」の額などが記載されています。ワクワク楽しめるように、イラストが入った、ちょっとだけポップなデザインになっています。
専用の大きな掲示板に貼り出されている中から気になったものを選んで、青少年は「べる活」に挑むことになります。

”おしごと”が貼り出されたボード。タイミングによって求人内容も変わります

「絵描くの苦手やからなぁ」と言っていた青少年の発見

青少年にも当然、自分が得意だと思っていることや、苦手だと思っていることが、それぞれいっぱいあります。でも「苦手だ」と思っていながらも「一回やってみよう」と挑戦することも案外多くあります。
以前、「何かべる活したい!」と受付で叫んでいた中学生がいました。
「なにがしたいん?」と職員がたずねると、
「なんでもいい!いちばんいそぐやつ!」という返答。
「じゃあ今度やませいカフェあるから看板書いてくれる?」
「・・・!!・・・看板かぁー、絵、苦手やしなぁ」
「絵が苦手やと思ってるんね?」
「美術とかも成績悪いし」
「看板やし、目立つような感じで『いきたい』感じになるように工夫すれば最高よ。うまい下手じゃなくて」
「・・・じゃあやってみようかな」

そうして出来上がった作品がこちら。

30分じっくりかけて描かれた、はじめての看板描き

「苦手」と思っている分、丁寧にカラフルに、絵ではなく文字をデコレーション。「O」をボールに見たてて躍動感を演出。
一生懸命描いてくれたのがじんわりと伝わってくる、工夫あふれる看板になりました。
「べる活」では、終わってから簡単な感想を報告書としてもらっているのですが、書いてくれた報告書からは様々なことを考えて取り組んだことがうかがえます。次にやってみたい活動にも「カンバンを描く」が書かれており、やってみて、本人が当初思っていた以上の達成感があったようでした。

看板を描いてくれた青少年のべる活レポート

苦手だと思っているからこそ、立ち止まって悩んだり、工夫したりする余地があったのかもしれないし、そんな工夫を通じて新しい自分を発見したりもできるのかもしれません。

「とび活」でつながる。青少年×青少年×べるパートナー

「べる活」はやませいを飛び出して、地域の施設やお店やイベントで行うこともあります。正式には「とびだせ!べる活プロジェクト」というこれらの活動は「とび活」と略されており、普段と違う環境でじっくりボランティア活動できることから「これにだけは毎回(くらい)、参加する!」と意気込む青少年もいる人気企画となっています。

※それぞれで記事を掲載していますので、こちらもどうぞご参照ください
密着取材!地域通貨べる「とび活」@香東園やましな
あの時のセミの声を僕たちはまだ知らない
清水焼の郷まつりレビュー(地域通貨べる活動)

2021年行った、香東園やましなでの「クリスマスツリー飾りつけ」の様子

「とび活」は、いつもと違う外での活動という新鮮さももちろんですが、学校や学年も違う、異なったグループの青少年同士が交流する機会になっているという点が特徴的です。非日常的な環境での、自己紹介や雑談から始まるコミュニケーションを通じて、センター内での「べる活」よりも社会的な場が形成される傾向にあります。
べるパートナーの方からも「来てくれたことでモチベーションがあがった」という言葉をもらうなど、実際従事した以上のつながりや発見が生まれることもあり、地域のなかの青少年と大人が繋がるきっかけづくりにもなっています。

「べる」を使う青少年

活動をすることそのものにやりがいを感じている青少年も多いのですが、「地域通貨べる」の醍醐味は当然「使うこと」にあります。
「1べる=1円(相当)」で使うことができ(協力=山科青少年活動センター運営協力会)、何となく貯めて都度都度使う人もいれば、買う物を決めてそれまでがんばる青少年もいます。
例えば、
「気になっていたあのお店で一度ハンバーガーを食べてみたい」
「『べる』で親にごはんをごちそうしたい」
「誕生日祝いのケーキを買いたい」
など。ささやかな贅沢や願いが込められたものも多いです。

もちろん、やませいでも使えるため、
「毎週やませいカフェに来れるくらいには、べる活をしたい」
という青少年もいます。

特に中学生にとっては「自分でゲットしたお金」で買い物をする経験はまずないわけで、がんばって得られた「べる」だからこそコレに使いたい、という思いが強いようです。

「中学生があまりお金を持っても・・・」と思う人がいるかもしれません。
でも、その点はご安心を。
べるパートナーさんのお店は、どのお店も趣旨に賛同し青少年を見守りつつ
「べる活ありがとうね!」「どんな活動をしてきたの?」と、
声をかけてくれる地域の大人がいるお店です。
より広い世間で感謝され、欲しかったものを購入できることで、青少年の自己肯定感も高まっていくことでしょう。

小さな冒険をするきっかけ、それが「地域通貨べる」

このように、べるパートナーさんの見まもりのもと、青少年がやったことのないことに挑戦したり、行ったことのないお店に行ってみたり、山科をめぐる小さな挑戦を日々繰り返しています。

ときにはうまくいかないこともあったり、投げ出してしまいそうになったりすることもありますが、そこは職員がしっかりサポートできればと思っています。

山科の青少年にとっての「はじまりのまち」山科。

その小さな冒険の始まりを、皆さんもこれからもぜひ温かい目で見まもってください!

とび活 香東園での活動で