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詩集#4

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第四詩集です。
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2024年3月の記事一覧

【詩】少女

少女はひとり 夜明けの緑の丘を駆ける 薄衣の 花柄のドレスで 緑の丘を駆ける 駆ける 群青…

【詩】わんこそば

わんこそばを楽しめるのは 本当にやめたくなったらやめられるからだ 給仕が隙を突いて蕎麦を…

【詩】青

ある日 壊れた町の上空に 美しい戦闘機が飛んできた 鮮やかな青の戦闘機は 澄み渡る青空に 真…

【詩】分岐点

土曜日の帰り道 小学校の前の下り坂 車椅子を押している手が わざと離され やめて! 危ない!…

【詩】ごみ箱を空にする

記憶があるから生きていける けれど、記憶は平穏な生の邪魔をする あたたかく幸福な記憶は 時…

【詩】今日も最前列で

教室の一番前の席は、教師の視界に入りづらいという 一番後ろの席のほうが、目に入りやすいと…

【詩】拍手

卒業生は、ひとりひとり名前を呼ばれ アイザワショウゴくん はい! エンドウアキラくん はい! 返事をし、校長の前へ進み出て コバヤシユウスケくん はい! スズキリョウタくん はい! 証書を受け取る タチカワエイイチくん はい! テシママサタカくん はい! 教師席も保護者席も、しんと静まりかえり ナカジマヒデトくん はい! ニシジマアキフミくん はい! 体育館にはただ ノムラケイイチロウくん はい! フジタアツシくん はい! 名前を呼ぶ声と、返事だけが響き渡

【詩】出でよ神龍!

今年は辰年だから、神龍が大活躍するだろう こんなにも悲惨なことが多い世で それでも、きっと…

【詩】たった一人

たった一人でよかった たった一人いればよかった そうすれば 毎朝起きなくてもよかった 目の…

【詩】三月のリボン

三月、高校の体育館 舞台に向かって並ぶ卒業生と、その後ろ姿を眺めていたわたしたち 左斜め…