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ヤメル講座 (15) マイカーをヤメル

購入・維持・支払……
それほどマイカーに乗っていますか?

“やめる”ために借りる方法

自分の車、にこだわりを持つ人は多いもの。
確かに、自分好みの“動く個室”のなかでは気分も格別だろうし、好きなときに好きな場所に移動できる手段を持っていることは、何かと安心できるものです。ただ、実際の利便性もさることながら、その大きな要因となっている「気分の良さ」のために、いったい私たちはいくら払い続けているのでしょうか?
持ち家のローンとともに、毎月の大きな「義務(しばり)」となっているマイカーに対しても、一度“やめる”ことを検討してみてはいかがでしょう。単に「マイカーをやめる」といっても、今のご時世、買い物ひとつ、食事ひとつするにしても、車は必要です。ここでは、やめるために「借りる」方法を、比較として考えてみましょう。もちろん、車を捨て、電車、バス、緊急時または必要であればタクシーという生活も、その向こうにはあります。

こんなにかかる! クルマの維持費

はじめに、私たちは車を“自家用”にしておくために、どのくらいの金額を支払っているのかを計算してみましょう。
まずは、車本体の値段。これはもちろん、ピンからキリまでラインナップはありますが、ここでは1000CC(トヨタ『ヴィッツ』ランク)を例にとって考えてみます。現在の販売価格は、値引き込みでだいたい110万円。取得税、重量税、諸経費、任意保険、車庫証明などもろもろ含め、約25万円。110万+25万円で135万円。単純に、5年間60回払いで、月2万2500円ずつ支払いが生じます。
これに駐車場代が、月1万5000円程度。さらに、月々の保険料がかかります。内容によってさまざまなケースがありますが、ここでは月7000円程度と考えます。
次に車検代。新車の場合、半年点検で5000円程度。1年目の法定点検で3万円程度。3年目の本式の車検で10万円程度。つまり、5年で13万5000円。ひと月に換算すると、約2250円です。
さらに、細かいようですが洗車代。自分でやるから、といってもそうは続かないもの。ここは月2回の計上で、約2000円とします。
さて、この合計は、月々なんと約4万8750円となります。
これに対して、レンタルの場合の金額を見てみましょう。
1000CCヴィッツを借りた場合、12時間で5000円。保険のための免責補償料1000円。念のため、対物・搭乗者の補償額が増額される300円をプラス。合計6300円となります。
これをマイカーと比較した場合、4万8750円÷6300円で7・73回。つまり月8日間ある土日のなかで、7日以上レンタカーを使ったとしても、おつりがくる計算になります。ちょっとした買い物程度なら、タクシーを使えば、レンタカーを借りるよりリーズナブルに済むケースも考えられます。
自分が月に何回、車を利用するのか、今の生活パターンを一度冷静に考えてみるといいでしょう。車の活用パターンというのは、案外に保守的な場合が多く、一年をさかのぼって考えてみると、季節ごとにたいてい同じ使い方をしているものです。しかも借りるとなれば、車で出かけないクセもつくことでしょう。とくに、お酒好きの人にはおすすめです。前記のような簡単な計算なので、一度シミュレーションしてみるといいでしょう。
まるでレンタカー屋さんの広告のようで恐縮ですが、ただ自分で所有するという感覚を捨てるだけで、このような計算が成り立つことを説明したかったのです。この考え方は、より高い車種でももちろん同じ。ただし、ウイークデー以外にも使う、通勤にも使う、あるいは、一戸建てで駐車場がある場合は、また違った計算になります。

やめ方のアドバイス

車の場合、やめたい人が抱えるいちばんの問題は、今所有している車をどう処分するかでしょう。車を売るのはいいけれど、残りのローンと査定の額にあまりにも差がある(つまり車がなくなって借金だけが残る)ようなら、残念ながら、そのまま払い続けることが賢明な場合もあります。その際は、ローンを終了させて新しい車を! と思いついたときに、この話を思い出してください。
自分の車の現在の価値を知るには、やはり専門の中古車ショップに持ち込むのがいちばんです。そこまで大げさでなくとも、だいたいの値段を知りたい、ということであれば、ホームページで無料査定を行なっているサイトが多数存在しています。ここで自分の車のデータを入力すれば、メールなどで査定金額を知らせてくれます。この時点で、だいたいの目安をつけておく方法もあります。
査定できちんとした値段がつくようなら、中古車買い取り業者に車を持ち込みましょう。あとはお任せすれば、手続きを進めてくれるはずです。サイトを利用した個人売買も盛んに行なわれているので、これを利用して直接売買する方法もあります。

自力でもやめられる!

直接の買い手も見つからず、査定で値段もつかず(ローン支払い中のような新車か、よほどの事故車といった場合しか考えられませんが)、なるべく安く車を処理したいというのであれば、自力で手続きを行なう方法もあります。

手続きは、大きくわけて3つ。

まずは、車の登録を抹消すること。全国の都道府県にある陸運局にでかけ、車の廃棄のための手続きを行なうのです。本来なら、車そのものを持っていって手続きするのですが、廃棄するくらいの車なので、まったく走らないというケースも考えられます。そのため、最低限ナンバープレート(前後両方)を持参すればいいことになっています。この場合、「車検証」と「実印」、「印鑑証明(発行後3ヶ月以内のもの1通)」が必要となります。引っ越して住所が変わっている場合は、「住民票」などの書類も添えて、車検証の住所と印鑑証明の住所が、きちんと関連していることを裏付ける必要があります。ここで、任意保険も同時に解約することができます。
破棄の手続きにかかる時間は、月末などで混んでいる時期をはずせば、書類の作成から帰るまでで30分程度で済みます。その場での書類の記入も、抹消登録の場合は簡単なので、見本を見ながら自分で記入することが可能です。「車をどうしたいのか」を確認する項目があり、ここで「一時使用中止」を選んでおくと、解体証明書が必要なく、そのまま手続きが進められます。
あとは、自動車税の中止の申請を済ませておくこと。「一時中止申請」をしておかないと、次の年も自動車税の申請がくることになるのでご注意を。これも陸運局で行なうことができます。

次は、保険の解約です。とにかく保険会社(あるいは営業の人)に連絡をとったのち、かならず解約のための書類の交換が必要となります。送られてきた書類に、解約時の印鑑、必要事項を記入して返送するか、保険会社に持参すれば、解約は簡単に成立します。車がなくなれば、保険ももちろん不要。生命保険のように、営業の人から「やめないで」と粘られることもありません。
保険会社の連絡先は、保険の契約時に受け取る「保険証券」という契約書に書かれています。ここには、保険会社と代理店事務所の両方が記載されている場合が多く、どちらに連絡しても同じ手続きで解約が行われます。

最後は、車そのものの破棄です。車は、粗大ゴミとして出すことはもちろんできません。自分で処分するのも、まずむずかしいので、専門の解体業者が必要となります。
まずは、車を購入したディーラーや街の修理工場に問い合わせましょう。あるいは、サイト上でも多数の解体業者が紹介されているので、こちらでも最寄りの業者を探すことができます。費用はだいたい無料の場合が多く、廃車手続き(有料)を同時に行なっているところもあるので、自分で手続きを行なう前に、こちらを当たってみるのも方法です。

 


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