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色彩の教科書(40)和室がいちばん寛げる理由

温泉に行こう! そんなことを考えたとき「やっぱり部屋は、椅子とベッドの洋室が良い!」と思う人は少ないだろう。
やはり、日本人には和室だ。
あの和室の持つ「落ち着ける」「寛げる」イメージは特別だ。実は、このイメージは単に「畳で足を投げ出せる」といったこと以上に、きちんとした理由がある。
それは和室の色。
まず和室全体が障子や畳、漆喰の壁や木目などアイボリー系やオフホワイトの色身で統一されている。
さらにそれぞれの反射率。
人間の肌色=明度50%
に対して
畳=明度40%
柱の木目=50~53%。壁=55~60%。天井の木目=55%。
つまり、見えるものは、だいたい自分の肌と同じ反射率のものである、ということ。
人に限らず多くの生き物は、保護色に囲まれたときに一番リラックスできる。つまり同系色、同じような色味の中に身をおくと、とても安心できるのだ。
しかも、木目や漆喰の壁、アイボリーを中心とした中間色は、筋肉を緊張させず、呼吸も穏やかになる。
和室は、特に日本人にとって、心身ともに安心していられる空間なのだ。

自分の肌と同じ反射率の色に囲まれると、落ち着く。

部屋の壁面の面積は床面の約3倍。こうした広いところに、いちばん弱い色を使うことで刺激の少ない落ち着いた部屋となる。


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