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ポールには友達がいない ~残念なビートルズ(4)「ついにアカデミー賞受賞! そのときメンバーは?」

20世紀最大のポップ・グループ、ビートルズ。
音楽家ですから、もちろんグラミー賞の受賞・ノミネートはあたりまえ。
1965年の最優秀新人賞から始まって、1968年にはあの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」で「最優秀アルバム賞」を受賞しています。ちなみに69年は「ヘイ・ジュード」が「最優秀レコード賞」にノミネートされましたが、サイモンとガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」に受賞をかっさわられています(残念)。
2013年には、特別功労賞生涯業績賞を受賞し、名実ともに永遠のレジェンドとして認定されました。
さて、そんなビートルズですが、ご存知の通り映画にも出演しています。その音楽ももちろん彼らのものですから、アカデミー音楽賞の対象にもなるわけです。
そして最初の作品『ハード・デイズ・ナイト』(1964年)は、脚本賞と音楽賞にノミネート。本賞の受賞とはなりませんでしたが、幸先のよいスタートでした。
しかし、その後の『ヘルプ! 』(1965年)、『イエロー・サブマリン』(1968年)は特に評価されず、ついでに申し上げれば、テレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』(1967年)に至っては酷評の嵐でした。
その後1970年にビートルズは解散。解散前にメンバーが集まって新曲を録音したゲットバックセッションについては、彼ら自身によるアルバム化は不可能となり、お蔵入りかと思われました。しかし、その音源はフィル・スペクターによって劇的に仕上げられ(「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」のアレンジにポールはかなり怒っていましたが)、アルバム「レット・イット・ビー」として発売されます(1970年5月)。同時に映画「レット・イット・ビー」も公開。このアルバム、映画「レット・イット・ビー」のサウンド・トラックということになります。
なお、フィル・スペクターは映画とはまったく関係なく、実に自由に1枚のサウンド・トラック・レコードとしてまとめ上げています。フィルのアレンジが映画で流れるわけではありません。
ジョン・レノンは、このフィルの仕事ぶりを評価し、「インスタント・カーマ」「ジョンの魂」「イマジン」でプロデューサーとして起用しています。
それはともかく、つまり、映画音楽なのですから、アカデミー賞の対象となります。
1971年、アカデミー賞音楽賞(オリジナル・スコア)は、このアルバム「レット・イット・ビー」でビートルズが受賞することになります。
ついにビートルズがアカデミー賞を獲得することとなりました。
あー、しかし残念! ビートルズはすでに解散しており、受賞会場にはもちろん誰も来ていません。仕方ないので、その場にいたクインシー・ジョーンズが代理でオスカーを受け取ったのでした。
あー、残念。残念だけど、さすがです。

さて、残念なビートルズの映画音楽と言えば、角川映画の「悪霊島」(1981年)に「レット・イット・ビー」と「ゲット・バック」が使用された「事件」があります。
メンバーが出ていない作品で、その楽曲が使用されるのは世界初。使用料は2000万円とも言われました。ところがその使用料は映画の中で流すためだけのもの。それに限定です。角川は映画のCMにも大量に曲を流したため、この何倍も使用料を請求されたとか(↓ 本当だ、流れてる。ダメでしょ、これは)。

しかも現在はオリジナル曲の使用期限が切れて、カバー曲に差し替えられています。この映画が最初にテレビで放送されたときは、ビートルズのオリジナルだったように記憶していますが、覚えている方、いらっしゃいますか?
なお、当時発売されたA面「レット・イット・ビー」、B面「ゲット・バック」という豪華カップリングのシングルレコードですが、ネット・オークションを見ると、特に価値があるわけでなく、数百円で取引されているようです。大量にプレスされたようですね。ビートルズのオリジナル曲の入った映画のVHS版は、7~8万円で取引されていたのを見たことがあります。
幻の映画音楽となった「レット・イット・ビー」。
ホントに残念なお話でした。


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