僕が見てきた情報産業の変遷

こんにちは、KIFFを運営しているイノー株式会社の木村です。今回はタイトルの通り、自分が見てきたインターネットとそれを取り巻く情報産業の歴史について主観的にまとめてみました。荒い考察ですが、因果関係や現在の課題感の大枠を掴む場合はご一読の価値があるかと、、、思いますm(_ _)m

僕が小学生の頃、ダイヤルアップ接続のインターネットが一般家庭に普及し始めました。軍隊や学者、政府機関以外の人がインターネットを使う時代が始まった頃です。通信によって大量のコンピューターを繋ぐ技術は、ざっくり、目次のステップで変化してきていると思います。

1. 大量の情報が時間と空間を超えて繋がる

インターネットは、人のコミュニケーションにおける時間と空間の制約を大きく開放しました。企業に頼らず、インターネットに載せるだけで、その情報に世界中の人がすぐにアクセスできることは非常に画期的でした。SNSが普及した現在において、この凄さを今や感じることができませんが、インターネットが始まった頃は、情報掲載者の数も少なく、競争率も低く、発信力は高かったため、この価値はとても大きなものでした。(競争率の高い都市部で事業を興すよりも、人口の少ない地方で始めた方が声の届く範囲が広いのと、イメージが近いです。)

2. 散らばった情報が整理・整形される

インターネットの発信力は瞬く間にビジネスの世界に広がり、個人とビジネスによってインターネット上に情報が溢れかえりました。人々は効率的に有価値な情報にたどり着くことを望んだので、情報を検索する仕組みが生まれ、カテゴリや目的に応じて情報が整理されたサイトが作られます。また、整理された情報を比較しやすいように整形したサイトも作られ、アクセスを集めるようになり、プラットフォームが誕生します。「不動産の情報ならここ」、「飲食店の情報ならここ」、「中古車情報ならここ」といった感じです。これによって、情報格差、非対称性が少しずつ顔を出し始めます。

3. 情報取引が決済と物流で現物の取引と繋がる

情報が整理整形されると「その場で取引したい/させたい」という流れが起こります。インターネット上で決済することが可能になり、ECサイトを筆頭に様々なものがインターネット上で取引されるようになりました。取引された商材は現実世界に物流やイベントという形で繋がり、インターネットが発生する前の多くの商習慣に行き渡りました。

4. リアルタイム且つスマホでいつでもどこでもサービス提供

それまでインターネット端末といえばパソコンでした。インターネットはパソコンのある場所で使えるサービスという認識が一般的でしたが、移動通信の発達とスマホの誕生がこの概念をひっくり返しました。人はどこにいても手に持っているスマホでインターネットサービスを受けられます。手に持っているので、位置情報も使いこなします。リアルタイムで今いる場所から行きたい場所への交通手段を提供するUberやDiDi、Grabはこの技術を活用した好例です(これらは世の中に新しい職業を生み出しています)。人が滞在する時間が大幅に増えたインターネットは、サービスを創り出すのに最適な場所になっていきます。

5. 大容量高速通信でより複雑な情報がやり取りされる

端末の情報処理速度は早まり、通信帯域は大量の情報を送り合えるようになると、テキストだけだった通信情報は、音声、画像、動画へと幅が広がり、ライブストリーミングやweb会議もスムーズに行えるようになります。情報消費者に届けられる楽しい情報だけでなく、より効果的にビジネスを行うために、ユーザーの行動や嗜好を追うための情報も蓄積され、同時にやり取りされるようになります。これらの情報はサービス提供者やプラットフォームに集まり、情報格差は拡大します。

6. 人が処理できない量のビッグデータをアルゴリズムやAIが処理

人の手に負えなくなった量の情報ですが、人々は自分の必要な情報に効率的にアクセスすることを望みます。すると、アルゴリズムやAIがその人に合った情報を選定してくれるようになります。情報の真贋は元より、嗜好や繋がり、検索や行動の履歴も参考にして情報が判定されます。この判定によって、人々は知らぬまにフィルターバブルの中に入れられる可能性が出てきます。これが選挙に影響したという説もあり、情報の非対称性はビジネスを超えて政治に染み出している可能性があるのです。

7. ブロックチェーンがPFに依存しない信用取引(情報格差の是正)を目指す

インターネットの世界では無数のビジネスが展開され、彼らはそこで多くの雇用を生み出しています。しかし一方で、インターネット技術の礎を気づいているのは、GNUをはじめとしたオープンソースコミュニティです。彼らは非営利に技術を提供し、インターネットの世界を整備してきました。モチベーションの源泉が営利であるべきか、技術追求であるべきか、正解はないと思いますが、情報の非対称性に対する反発は「非中央集権化」を目指すビットコイン(ブロックチェーン)の形でその存在感を増しています。プラットフォーム(中央)に多くの情報が集まり、彼らのサジ加減で摂取する情報を管理されるのは、ユーザーの立場からすると望ましいものではありません。"一部のプラットフォーマー"に情報を握られた"大量のユーザー"というこのかたち、絶対王政への民主革命、産業革命に対する労働革命に少し似ています。

情報格差の拡大はどこへ向かうか

今、「インターネット」は「海」「陸」「空」と近しく人が活動できる空間です。しかも国境がなく移動コストも最少です。ここには、人々の興味を引く情報コンテンツが溢れていて、世界中の人がインターネットで過ごす時間は増しています。しかし一方で、情報格差は拡大しています

現代人は、一部の情報富裕層に、摂取する情報を操作され、マインドコントロールに近い扱いを受けている部分があります。人間社会は一部の少数が"力"を持つのを嫌うので、最近では、GAFAが独占禁止法の指摘を受けることも増え、ビットコイン(ブロックチェーン)などの非中央集権的な価値はしっかりとその足場を固めつつあります。

こうなると民主的な国は、人々の主張する自由を守るために技術を放棄せざるを得ません。そう言った意味では、中国のような管理社会の方が進歩が早い可能性もあります。

今後求められるサービスは、情報格差を助長するものではなく、パッションエコノミーのような個人の活動に寄り添うものが受け入れられそうです。

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