見出し画像

まだスイッチは入るみたい

2020年から現在まで続いているコロナ禍の影響で撮影やアテンドの仕事が目に見えて減った。日本のテレビ番組が主なクライアントだったので仕方がないだろう。メディアを取り巻く状況もこの10年でずいぶんと変化していることも確かだ。フリーランスとして仕事をしているので、社会情勢が仕事に直接影響してしまう。この2年間はそういうわけで、撮影の仕事から調査や書く仕事にシフトしつつある。

撮影の仕事が「動」だとすれば、後者は「静」だ。あるいは、「外」と「内」と言ってもいいだろう。力の入れ方が全く異なる。撮影の仕事は準備段階では「静」だとも言えるが、もっと人とのコミュニケーションの割合が高い。家で静かに作業することが増えると、外でアクティブに動き回るフットワークが鈍ってしまう。

そんなことを感じつつあったので、最近は普段から敢えてカメラを持ち歩くよう意識するようになった。ちょうどベルリンの街中の写真が必要なこともあり、一石二鳥だったこともある。

何度かロケの話もなかったわけではないが、最近はなんでもかんでもすぐに引き受けるのはやめるようになった。時間は有限なので、自分の興味のないテーマの仕事は極力避けたい、というのが理由のひとつである。それにもう別に私がやらなくても、若い人がやればいいだけの話だ。

このご時世、テーマを選んで仕事をしている場合ではないのかもしれないが、今日みたいに前回の仕事を断っておいたから、引き受けられる仕事というものも出てくる。あいにく、体調もそれほどまだ回復していないため、スケジュールを詰め過ぎればすぐにダウンしてしまうというリスクもある。

これまでに、フルタイム→半日勤務(一人目出産)→退社(二人目出産)→失業保険→フリーランスという経緯を辿っているが、またフルタイムで働きたいかと聞かれると正直、少し考えてしまう。

今の自分の体力然り、育児とのバランス然り。

フリーランス特有の波のある生活は、精神的にはあまり安定しないかもしれない。ただ、仕事が入ったときに一気に集中して、終わればも抜けの殻になる、という極端なリズムがそれほど嫌でもないのだろう。フルタイムにしろ、フリーランスにしろ、自分に合った働き方ができる方を選べばいいだけの話だ。

ロケや取材の仕事は短期集中型完全体力勝負なので、ブランクが空くと少し不安になるが、これだけ長年やっていると瞬時にスイッチが入るのだな、と自分でも少し感心するほど切り替えが早かった。

スイッチが入るうちは、タイミングさえ会えば現場に出ておく方がいいのかもしれない。選択肢は多いに越したことはない。3足の草鞋と言わず、4足くらい履けるようにしておきたいものだ。


*タイトル写真はベルリンの壁跡の側に設置された「和解の像」

サポートは今後の取材費や本の制作費などに当てさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!