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108【変化できるか試される中小零細企業】地方在住経営コンサルタントの思索

写真は岡山県信用保証協会が発行している、保証制度の案内と短期継続融資の新制度のパンフレットです。時代に合わせて制度は日々、進化し変化していますね。
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はじめに


年商10億円規模までの中小零細企業を取り巻く外部環境は実は大きく変化しつつあります。「そりゃそうだ。」と思われる方はおそらく大丈夫でしょう。

しかしながら「意味が分からない。」「地方は今までの延長でしょう。」と考えられると実は黄色信号かも知れません。

実は劇的に変化しつある経済における環境変化について複数の視点から対策や準備に必要な考え方を述べたいと思います。メインのデータソースは日々のコンサルテーションからです。

ちょっとネガティブな切り口からの内容ですが、今後の経営の参考になる点もあるかも知れませんので最後までどうぞお付き合いください。

もはや危険水域の人材採用難とその対策

地方都市では、あり得ないレベルでの採用難が起きています。業種と勤務地域により差が激しいのは言うまでもないことなのですが、今迄以上に採用&育成こそが企業の粗利の源泉と言える構造が出来上がりつつあります。

以下の3点を押さえておくことが、現在の採用活動に必須の状況となりつつあります。

1.ペイドメディアへの的確な投資。(リクナビネクスト・マイナビ等)
2.オウンドメディアによる応募者への訴求力。(自社の採用を見据えたホームページ。SNSアカウント等)
3.インターンや就業体験。独自ルートでのヘッドハント。分野とエリアに特化した特殊能力を有する人材紹介会社との関係性。経営者自らのヘッドハント能力。経営者独自の人材紹介ルートを持っている。といった企業独自の強み。

太字の3点がいわば人材分野3種の神器だと捉えています。

採用後、定着化、戦力化していく仕掛けや仕組みは、全社あげて取り組み、直ぐに社員。スタッフが辞めない企業風土の醸成は短期間で成し得るほど甘くはありません。

人材採用と育成に時間と費用の投入が今まで以上に必要であることを踏まえた上で、計画を策定することが経営者に求められてるということです。

既存ビジネスモデルが通用しない場合の発想

BtoB・BtoCのどちらであるにせよ、顧客から対価を得ることが企業経営の源である粗利を得ていくことになります。

情報を整理する上で、まずは商流図を描いてみることをおススメします。自社の取引の流れを可視化させていくことで、偏りや弱点に気付くことになることもあります。

また、新たな視点での新たな顧客開拓の必要性が明白になることも多々あります。

特に年商10億円規模までの中小零細企業においては商流図はシンプルだと思います。その一方で、商流が膠着化してしまっているという一面もあるでしょう。

クロスSWOT分析から新たな積極戦略を導き出し、また全体像をイメージしやすい視点である商流図から新たな仕入先や販売先を開拓していかねばならないことを掴むことが、生き残りに必要な視点と言えます。

尚、イノベーションは発想次第です。知恵と社内リソースを固定観念を持たず組み合わせて行けば活路は必ず見出せます。

販売先を変化させることも実はイノベーションにあたります。

予測を超える購買力の低下への準備

経済回復は見込めない前提でシビアにビジネスを組んでいくことが重要でしょう。

楽観論によれば、団塊ジュニアとその少し下の世代が一定の物欲や消費欲があり、要は親世代が俗に言う「分厚い中流」と言われた世代が晩婚化していてこれから住宅や自動車といった高額商材の購入が予想され多少、景気が上向くのでは?という考え方もできなくはないでしょう。

しかしながら、これは消費の母数自体が20世紀と比べて圧倒的に少ないわけですから、違うエリア、違う対象、違う販売ルート・サービス提供ルートを模索していかねばなりません。
つまり、しぼみ続けていく全体需要を前提にビジネスに改良を加えていく必要があるでしょう。

粗利の低下へ向けて、資金量の確保を行うのはもちろんのこと、積極投資分野を定め、一点突破ないし多くても二点突破といった社内リソースを集中させる施策を決めて、やりきらなければなりません。

幸いなことに粗利を確保できる商材がある企業はそれを新たな販路にのせるべく、そのルートをたとえ茨の道であっても開拓していかねば明るい未来はないでしょう。

金融施策が暗に示すヤバい日本の将来を予測すると見えるもの

①持続化給付金とコロナ融資により延命措置➡②資本性劣後ローンの投入➡③事業再構築補助金➡④元金返済開始を見越しての「借換保証制度」の導入➡⑤保証協会付資本性劣後ローンの投入

2020年以降の金融施策の流れ

以上がコロナ禍以降のざくっとした中小零細企業向けに実施されてきたメイン施策です。

以下、私が訳すると①~⑤毎の政府の思惑はこうなります。

①持続化給付金とコロナ融資
➡「危機はリーマンショックとは比べ物にならない規模だから業種を選別するなんてまどろっこしいことはできない。だから出来るだけバラまいとけ!どうせゾンビ企業は増えるけど5~10年軸くらいで見れば適者生存の原則で淘汰されていくだろう。元金返済まで3年~5年あるから先が見通せない業界の経営者は純資産がプラスの内に廃業ないしM&Aするだろう。」

②資本性劣後ローン
➡「本当に生き残りたい!という企業はメインバンクの支援体制を計画で説得して取り付けるはずだ。そして本気でV字回復を狙ってくるはずだ。その為の資金を別枠で用意してあげよう。審査上、資産超過というルールを設定して金融機関にプレッシャーもかけないとな。」

③事業再構築補助金
➡「斜陽でリソースの少ない中小零細企業はとくに、かねてから狙っていた隣の青い芝的事業があるはずだ。おそらく資金不足で投資に躊躇していたのだろう。今回の危機をきっかけに元々の見込みの薄い事業から転換したり、メインを別事業に移すことも考えているだろうからしっかり手助けをしてあげよう。でも成功率はそこまで高くはないだろうな。(でも選挙には有利になるからやってみよう。)」

④借換保証制度
➡「やっぱり3年やそこらじゃコロナは収束しなかったか。本業も傷んだままだろうな。元々の借入が重たい先は資金ショートは目に見えてるよな。だから、元々の融資まで巻き込んでここから最長10年で返済計画という最後の仕切り直しをさせてあげよう。でも、金融機関はめんどくさがってやらない可能性があるからよくウォッチしないとな。」

⑤保証協会付資本性劣後ローン
➡「政府系金融機関に委ねているだけじゃあ全く広がらないなあ。ええい、最後の手段だ!中小零細企業にとって馴染みの濃い、金融機関も大好きで相性の良い保証協会付で制度投入だ。もうこれ以上の手助けは思いつかないからね…。」

まとめ

特に、最後に記述した政府の思惑は私の偏った意訳かもしれませんが、大きくは外れていないとの自負はあります。大変な時代ではありますが、いつの時代も適者生存が原理であり原則です。厳しい時代に生まれたと捉えるか、はたまた、競争は厳しいけどインフラは整っている恵まれた時代と考えるかは、経営者の考え方次第ですよね。

以下、お伝えしたかった要点です。

・経営者にとって人材採用への戦略的な投資という観念が無ければ粗利の源泉である最低限の労働力さえ確保できないというシビアな時代である。

・既存のビジネスはいずれ立ち行かなくなるという前提に立って、いち早く変化、新たな粗利確保への一歩目を踏み出すべきである。

・一点突破ないし、リソースに多少余裕ある企業は二点突破の積極戦略を決定すべきである。

・政府の施策の裏にある思惑までキャッチして、必要な情報は経営者自ら掴みにいかねばならない状況にある。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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