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美食の都・ブリュッセル

欧州各国では、各々が異なる文化的背景をもとに発展を遂げており、街などを歩いていてもそれぞれ甲乙つけがたい良さを持っている。

一方で食文化となった際には、国によって大きく評価が分かれるのが現実である。
そんな中でも、フランスやスペインなどと並んで美食の国として名高いのがベルギーだ。
今回はそんなベルギーの首都、ブリュッセルを取り上げたい。

ブリュッセルはこんな街

ブリュッセル(Brussels 仏Bruxelles)は、西ヨーロッパの国・ベルギーの首都である。それと同時にEUの主要機関の多くが設置されており、しばしばEUの首都とも言われる。

この地には新石器時代から人が住んでいたが、ヨーロッパの交通の要衝であったことから、中世には交易や産業で発展し、ブラバント公国の中心都市となっていく。
その後スペイン、フランスなどの支配下に入った時代を経て、1831年に独立したベルギー王国の首都となり現在に至っている。

街のシンボル

そんなブリュッセルの観光のハイライトとなるのは何と言ってもグランプラスだろう。

文豪ヴィクトル・ユーゴーをして「世界で最も美しい広場」と言わしめたその広場は、約70m×110mと小さな広場ではあるが、その周囲を市庁舎やギルドハウス(同業者組合の建物)などの優雅な建築群が並ぶ。

市庁舎
屋根の装飾が特徴的なギルドハウス群

1998年に「ブリュッセルのグラン・プラス」として世界遺産に登録されていることもうなずける。

また、もう1つブリュッセルの名物といえば小便小僧だろう。

1619年に制作されて以降、4世紀以上にわたってブリュッセルの街で放尿を続けるこの像は、かつて反政府軍がブリュッセルに仕掛けた爆弾の導火線に小便をかけて消し、街を救った少年の伝説に由来するものとされている。

18世紀にルイ15世から贈られたことを皮切りに、現在では840種類以上の衣装を持っていると言われており、様々な衣装を着ながらも、妥協することなく着実に放尿を続けている。

なお、現在放尿しているのはレプリカであり、オリジナルは博物館に保管されているそうだ。

なお、小便小僧はマーライオン(シンガポール)・人魚姫(コペンハーゲン)と並んで世界三大がっかり名所と言われているが、それはその大きさによるものではないかと言われる。

柵を前に実物を見ると確かに小さく感じるのだ。
しかしよく考えてみると、小僧がマーライオンくらいのサイズ感でドバドバと放尿していてもそれはそれで情緒が感じられないので、これくらいのサイズで適切なのではないだろうか。
小便小僧のサイズ感に不満を覚える人は、一体放尿に何を期待しているのだろうか。

また、意外と知られていないが、ブリュッセルには同じく放尿をする小便少女の像も存在する。


こちらは特に由来のある伝説などはなく、レストランオーナーが客寄せのために設置したものであるそうだ。
小便小僧との仲は不明である。

また、放水はしていないそうだが、小便犬の像まであるらしい。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Het_Zinneke_(DSCF5238)_Brussels,_BE.jpg

私は存在を知らなかったので訪れていないが、”小便コンプリート”を目指す旅人には必訪スポットと言えるだろう。

もう1つ、中心からはやや外れるが、ブリュッセルのシンボルとして親しまれるのがアトミウムである。

1958年のブリュッセル万博のために建設されたモニュメントであるアトミウムは、今も万博会場の跡地に立つ。

理系心をくすぐるこの塔は、鉄の結晶構造を1650億倍に拡大して作られたものであり、9つの球体が原子を表している。

内部は今も見学可能であり、高さ103mの最上部からはブリュッセル市街を一望できる。

原子と原子の間はエスカレーターで行き来が可能になっており、これがまた近未来感があって良いのだ。

美食コレクション

さて、これら見どころが多く存在することはもちろんであるが、美食の街と銘打っている通り、ブリュッセルでは食も色々楽しみたいものである。

ムール貝&フリッツ

ベルギー料理のド定番といえば、ムール貝のワイン蒸しだろう。

バケツいっぱいに盛られたムール貝を思う存分堪能したい。
食べ終わった貝殻をトングのように使って次の貝を取り出すのが地元民の食べ方だと聞いたことがあるが、真相のほどは定かではない。

また、付け合せのフリット(フライドポテト)もあなどれない。外のカリッと感と中のホクホク感でいくらでもいける。
フライドポテトは英語ではフレンチフライと呼ばれるが、実際のところその発祥はフランスではなくベルギーであるそうだ。

第一次世界大戦中にベルギーで戦うアメリカ兵がフライドポテトを食べた際、ベルギー軍の公用語がフランス語出会ったため、フレンチフライと呼び始めたそうである。

つまり、ベルギー人に言わせれば、正確にはあの食べ物はフレンチフライではなくベルージャンフライなのである。
自国の名物に他国の名前を冠されたその悔しさは想像に難くない。

そもそもブリュッセルも小パリの位置に甘んじず、パリの方を大ブリュッセルと呼べば良いのである。
大ブリュッセル。なんとなく浸透しそうにないのは、響きにどこか上品さが感じられないからだろうか。

スイーツ

スイーツも見逃せない名物である。
代表的なものは、やはりチョコレートだろう。

高級チョコレートの代表格であるゴディバや、

王室御用達ブランドであるノイハウスなど、多くの名店が軒を連ねている。

その場で楽しむのであれば、ベルギーワッフルが最適だろう。
街の至る所でワッフルが売られており、街歩きをしながら楽しむこともできる。

ところで、ベルギーワッフルには2種類あることはご存知だろうか?

比較的丸みを帯びた形状で、日本でもよく見かけるのはリエージュ風ワッフルである。

ベルギー東部のリエージュが発祥のワッフルは、生地がしっかりとして食べごたえがあり、また生地の中に粒の大きな砂糖が入っておりジャリッとした食感が楽しめるのが特徴である。

一方で、ブリュッセル風ワッフルは長方形の形状が特徴になっている。

比較的軽めの生地でサクッとした食感が楽しめる。
せっかくならば本場で食べ比べしてみるのもよいだろう。

ビール

しかし何と言ってもベルギービールを飲まずには帰れない。
ベルギーの面積は九州と同等であるが、その国土に120以上の醸造所を有し、1500種類を超えるビールが製造されている。

そんなバラエティに飛んだビールの多くは、オリジナルのグラスとともに売られており、それぞれのビールに最適な形状になっている。
お土産として購入するならばグラスも合わせて買って帰りたいところだ。

また、グランプラスにはビール博物館があり、ビールの製造工程を学んだ後は、試飲を楽しむこともできる。

元阪神のムーアを思い出すスタッフが注いでくれたビールの味は格別であった。

グランプラスにはレストランも多く軒を並べており、
ビールとベルギー料理を楽しみながら、日が暮れゆくグランプラスを眺めるのも乙である。


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