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クリスマスマーケット探訪・ウィーン編

坊主も走る12月というが、今や12月といえばすっかりキリスト教の一大イベント・クリスマスの時期である。
やはりこの時期の海外での楽しみといえばクリスマスマーケットだろう。

ということで12月は、かつて訪れた各地のクリスマスマーケットの様子について書いていきたい。
次に書く予定だった1泊3万ホテルワークについては、またの機会に回すことにしよう。

今回は、私が初めて訪れたクリスマスマーケットの地である、オーストリア・ウィーンについて取り上げよう。

ウイーンはこんな街

ウイーン(独:Wien、英:Vienna)はオーストリアの東部に位置する同国の首都であり、人口約186万人と同国最大の都市であるとともに、中欧・東欧の経済的中枢を担う都市である。

中世にオーストリアを治めたハプスブルク家のものと、ウイーンは文化的・経済的に大きく発展し、特に18世紀頃からベートーヴェン、モーツァルトなどが活躍したことから、「音楽の都」としても知られている。

クリスマスマーケットへの憧れ

社会人人生で最大の繁忙期を迎えたある年の夏、私は翌月入ってくるであろう残業代を計算することだけが唯一の楽しみという、生きる屍のような毎週を過ごしていた。
そんな中、どうにか心の拠り所を持つべく、落ち着いたら海外へと逃亡する計画を企て、「オーストリアに行きたい」と言っていた友人を仲間に引き入れ、冬の旅行計画を練った。

日の短いヨーロッパの冬において、何を旅の楽しみに据えるべきか?と考えたとき、自ずと答えはクリスマスマーケットに絞られ、オーストリアに加えて、クリスマスマーケットの本場ドイツも旅程に加えた1週間の旅が計画され、実行の運びとなったのであった。

そんなわけで夏が過ぎ秋を迎える頃には、脳内に浮かぶ遠い異国のクリスマスマーケットの風景が、給与明細に変わる心の拠り所となっていったのである。

ウイーンの街は見どころに溢れており、クリスマスマーケットを除くスポットについては、またいつか取り上げたい。

ウイーンのシンボル・シュテファン大聖堂
世界遺産・シェーンブルン宮殿
本家ザッハーのザッハトルテ

昼の市庁舎前マーケット

ついに現実のものとなったクリスマスマーケットめぐりの旅の中で、最初に訪れた都市がウイーンであった。

クリスマスマーケットはドイツ圏の国々であれば、小さな村でもほとんどのところで開催される冬の風物詩である。
ウイーンほどの都市ともなれば、クリスマスマーケット会場も1箇所ではなく、多くの場所で店が連なり賑わいを見せている。

一説によると、クリスマスマーケットはウイーンで1296年に冬場の食料調達を目的として始まったマーケットを起源とするともされており、諸説はあるにせよ、クリスマスマーケットにおいて伝統ある都市であることは間違いないだろう。

中でもひときわ大きな規模を誇るのがウイーン市庁舎前のクリスマスマーケットである。

19世紀後半、産業革命を迎えたウイーンでは急激な人口の増加・市域の面積拡大に伴い、新しい市庁舎の建設が必要となった。その結果、建築家フリードリヒ・フォン・シュミットの手によってデザインされた市庁舎が1883年に完成することとなったのである。

そんなネオゴシック様式の市庁舎前の広場には、多くの店が軒を連ねる。

家庭の団らんを彩るであろうクリスマスらしい飾りはもちろん、

お菓子や食べ物類も豊富に並び、眺めているだけでも飽きさせない。

オーストリア土産の定番とも言えるモーツアルトチョコなどが並ぶのも、世界有数の観光都市でもあるウイーンならではと言えるだろう。

ちなみにモーツアルト印の丸いチョコを職場へのバラマキみやげにしたところ、「デカい正露丸?」と言われたことはいまだに忘れない。
下痢止めの広告塔にされたとなれば神童も浮かばれまい。

宮殿前のマーケット

定番スポットの観光をはさみ、夕方に訪れたのがベルヴェデーレ宮殿である。

宮殿に向かうべく、市電を待っているとクリスマス仕様のものがやってきた。

ベルヴェデーレ宮殿(Schloss Belvedere)は18世紀初頭に建設された宮殿である。ベルヴェデーレとは「美しい眺め」を意味し、ハプスブルグ家に使えた軍人プリンツ・オイゲンが夏の離宮として作らせた宮殿である。
その後ハプスブルク家の所有となった後、現在では美術館となっており、世界最大のクリムトのコレクションがあることでも知られる。

そんな宮殿の前でもクリスマスマーケットが行われている。
規模としては市庁舎前には及ばないものの、優雅なバロック様式の宮殿とクリスマスらしく彩られた庭園が美しく、また市庁舎前ほど混雑していないのでゆっくりと雰囲気を楽しむことができた。

夜のマーケット

夕食を経て、ライトアップされてより賑わいを増した再び市庁舎前へ。

やはり、クリスマスマーケットは夜の姿が一層映える。
設置されたクリスマスツリーも2000個と言われるライトが灯され、

同じくライトアップされた市庁舎とともに雰囲気を放っている。

特になにかを買うわけでもなく、ウロウロと歩きまわっていてもどことなく心踊らされる。
クリスマスマーケットはそんな空気を纏った場所であった。

ウイーンのマグカップ

クリスマスマーケットの屋台で楽しむ定番中の定番といえばグリューワイン(ホットワイン)だ。

※写真はストラスブール(フランス)で撮影したもの

赤ワインにシナモンやフルーツなどを加えて温めた、この時期の風物詩とも言える飲み物である。
中には白ワインで作られたものもあったり、子供用にジュースをベースにしたもの(Kinderpunsch)なども売られており、好みに合わせて楽しむことができる。

そして、グリューワインはその場所オリジナルのデザインが施されたマグカップで提供される。
グリューワインの料金にはマグカップのデポジット料が含まれているため、飲み終わった後返却すればデポジットは返金されるが、気に入ったデザインのものはお土産として持ち帰ることができるのだ。

そしてウイーンのマグカップがこちら。

市庁舎前のマーケットにツリーにプレゼント、そしてエンジェルとクリスマスらしいどこかメルヘンな雰囲気のデザインだ。
譜面が踊るのも音楽の都ウイーンらしいデザインと言えるだろう。

そして、他の街のマグカップが概ね200mlサイズであるのに対して、ウイーン市庁舎前のものは250mlと大きめサイズであるのもポイントが高く、今なお我が家のマグカップ界では一軍選手として活躍している。

大体皆さん察しが付いていると思うが、私はこういった街によって違うご当地物を収集するのが好きなのだ。
こうして我が家には旅行のたび、どうしようもなく物が増えていくのである。


最後までご覧いただきありがとうございました。
次回もクリスマスマーケットを取り上げます。

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