見出し画像

初心者が走り続けるためにはローラとさらしが必要だと言う話

8月から早朝ランニングを始めた。何をやっても続かない。運動部だったことなど一度もない。体育の成績は2。地下鉄の階段では息が切れる。そんなわたしでもまだ続いている。なんでだろう、と自分でも不思議なので始まりから現在までを書き起こそうと思った。

神が降りてきたので走ります

きっかけは本当に単純。衣替えしようとタンスからスカートをひっぱり出してきたら秋物が、まっったく入らねえ。腹回りがきつい。もしかしたら太った?体重計乗っちゃう?って乗っかってみたら前回測ったときよりプラス7キロ。もしかしたら体重計壊れてる?と3回ほど計り直した。しかし100gも動かない。さすがタニタの体重計だねこりゃと頭に浮かびつつも、その場にしゃがみこんでしまった。半年で7キロて……。こりゃあ大ごとだぞ。

大きなため息をついた。気持ちが沈む。さてどうしよう。そんときにふと目についたのが冷蔵庫にしまい忘れた「きゅうりのキューちゃん」だった。キューちゃん。高橋尚子。走る。これってなんかのメッセージか。そうか走る、走れば良いのか。走るだけなら金もかからないし。いやだったらやめりゃいいし。とにかく疾れ!神がおりてきたかと思った。漬物の神なのかランニングの神なのかはわからないけれど。

形から入る、ただしハリボテ的ななにかで

というわけで、早朝に走ることを決めた。ジャージを一つも持っていないほど運動嫌いだったので、急いでAmazonの最安値の2,900円の上下ランニングウェアを注文。ハートのワンポイントが入ったグレーの上下だ。ダサい……とてつもなくダサい。しかしもう、外を走っているときに不審者と思われなきゃいいや。猫背で長身、しかも挙動不審。公共施設で警備員に声をかけられたこともあるし、道を歩いているだけで警察に職務質問されたことも一度や二度じゃない。とにかく、ただ道をあるいているだけで、わたしは怪しいオーラがでているのである。早朝に超スローペースで息をゼーハーしてうろうろなんかしてみろ。即逮捕もんだ。

機能もデザインももうどうでもいい、とにかく間に合わせよう。文化祭のステージを前日にガツガツ組み立てていくように。ハリボテを組み立てるように。楽天・Amazon・ヤフーショッピングで買いあさり、マイファーストランニングウェアが揃った。全部怪しげなロゴが入ったものばかりだが、着てみたら、なんだか自分がアスリートになったような気分だ。

スタープラチナムと敗北

初日。家でストレッチをし、「ラジオ体操」しか知らないから、準備体操はラジオ体操にした。そして出発。ランニングのために用意したプレイリストの頭は「ジョジョ その血の記憶〜end of THE WORLD〜」である。オラオラオラオラオラオラ耳元で聞いたら走れる気がしたからだ。しかし、走りはじめて500メートル地点で足がとまる。滝のような汗が流れる。曲が終わってしまったのだ。わたしを支えてくれていたスタンドはもういない。息が上がってもう走れなかったので、とりあえず歩いた。1.5キロを走ったり歩いたりを繰り返して「これでいいのか」と帰宅。まあいいや、クルセイダーズだって歩き続けているんだ、と自分を慰める。この時点で1キロ10分。早歩きしているサラリーマンなら悠々とわたしのことなんか追い抜けちゃう速さだ。思った以上に全然走れないことにズーンとなった。

本当の凄さに、帰宅してから気がつく

ランニングすげぇかも。と思ったのは帰宅してからだった。太陽の光を浴びたせいか目がぱっちりと開く。子どもの朝食の準備も楽々。掃除機をかけ、洗濯機を回して干すまで、一休みせずとも体が軽い。今までの過ごしてきた朝とは重力が違うのかというぐらい体の軽さが違うのだ。朝ごはんももりもり食べられる。そのあと仕事に取り掛かっても、脳が、ぎゅーんと回る。走るってすげえ。気がついたら、ランニングの記事をたくさん検索していた。「初心者 ランニング 頻度」「初心者 ランニング 食事」「初心者 ランニング 効果」など。初心者は毎日走らないほうがいいということ、ハムストリングという筋肉の名称などを覚えた。

減量じゃない、そうじゃない

そうやって一日置きに1〜2キロを走る日々を1ヶ月続けたら、ある日ふっと苦しさが抜けた日があった。走れるようになったのではなく、単にペース配分ができるようになったのだろうけれど、ランニングが終わってもまだまだ走れそうなくらい楽に走れたのだ。そこからは、走ることがだいぶ楽しくなった。膝や足首などを故障させないために、ジムに通って下半身を鍛えることも決めた。減量が目標のランニングだったが、目標そのものがランニングに変わってきた。調子に乗って1月の市民マラソン10キロにも申し込んでしまった。

耳元で誰かに囁いてもらいたい

ナイキの公式アプリである「NIKE RUN CLUB」のガイドランには随分助けられている。一人で走るのは孤独で、暇なのだ。あと、ガイドのみなさん、ほんっとうによく褒めてくれる。「いいペースです」「その調子ですよ!」など。あっという間に30分が過ぎる。彼・彼女たちのおかげでなんとか続けられていると言っても過言ではない。定期的にフォームの確認もいれてくれるしね。あと、ガイドとともに流れるNIKEのプレイリストは、普段ぜったいきかねーなっていうイケイケな洋楽セレクションなのでそれも新鮮だ。

揺れる重い、身体中感じて

日々走るうちに乳房がわさわさ揺れることに耐えられなくなってきたので、スポーツブラジャーが必要になった。しかもホールド力がしっかりとしたやつ。こればかりはネットではわからんからとスポーツ用品店に出かけて試着をさせてもらった。「はみだした肉がのっちゃうんですが、これは正解ですか。お正月にもらう紐で縛ったハムみたいなんですが……」と試着室で聞いたりしてスタッフのお姉さんを困らせた。しかしお姉さんは「個人差はありますが、さらしです!さらしって感じでホールドできたらOK」と教えてくれた。気持ちは和太鼓だ。キリッと巻いて「ソイヤッ」って言う感じだ。決してお歳暮のロースハムではない。

毎日続けると改善要求はさらに生まれるもので、ハリボテのファーストランニングウェアはスポブラをきっかけにひとつひとつ上位互換され、まったく違う装いになった。これが始めてから1ヶ月半のときである。

女神をみつけた

最近はめっきり冷え込み、朝起きるのがつらい。高かったモチベーションが少しずつ落ち着きつつあるのも事実。そんなときにとりあえず守れたらOKなルールを3つ決めた。

・しんどいと思ったら途中で帰ってもOK。

・しんどいと思ったら即ペースを落としてOK。

・いくら遅くたって走り切れてたらOK。

ぜーんぶ心の中のローラに言わせている。とにかく、ウェアを着てそとに出られたらその日の目標は達成したも同然なのだ。だから続いている気がする。楽しいから走る。朝のパフォーマンスがよくなるから走る。わたしが走る理由はこれだけだから、とにかくモチベーションが下がらないように怪我なく走れればOK(ローラボイスで再生)なのだ。

「できた」がふえる、みえる

とはいえ、亀の歩みだが、できることは増えている。最初は500Mで息が切れていたけれど、今はゆっくりなら6キロは走れる。最初は5分も走れずゼーハーしていたけれど、今は調子が良ければ1時間くらい走り続けられるように。ペースは遅いけれどね。5km以上の長距離を走るときは1キロ9分台だし。

努力しても報われないことはたくさんあるけれど、ランニングは少しづつだけれどできることが増えていく。自分の変化がちゃんと目に見えるところも、継続できている要因なのかもしれない。

続きはまた変化があったら追記していこうと思う。とりあえず今はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?