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本:ストーリーが副菜的なヨシタケシンスケ氏とクラフト・エヴィング商会

ヨシタケシンスケ氏の本は、少し前から好きで、何冊か絵本を持っている。

最近買った『あるかしら書店』という本は、本屋のおじさんが、お客さんからのリクエストに応えて、いろんな本を店内から出してくれる、っていう枠組み。で、だいたい見開き1ページごとに、いろいろな本を紹介していく感じ。
ヨシタケさんの、ちょっとトボけた想像が炸裂していて、クスっと笑ってしまったり、ほっこりしてしまったり、シュールだったり、いつも通り面白いなぁと思いました。

ただ、長い。
たくさんエピソードがあり過ぎて、ちょっと途中で疲れてきます。いっぺんに読んでしまう本ではないなぁと言う感じ。
いっぺんに読むなら、『りんごかもしれない』などの絵本くらいのページ数がちょうどいい。

自分が考えた本を紹介する本、というと、クラフト・エヴィング商会の『らくだこぶ書房21世紀古書目録』という本を思い出す。
こちらは、クラフト・エヴィング商会が21世紀から本を取り寄せると言う枠組みの中で、いろいろな本を紹介する形になっている。
ただし、こちらは本の内容で引きつけると言うよりは、いろんな装幀の本を写真で見せるというもの。クラフト・エヴィング商会の作品集みたいな感じかな。
装幀は素敵なものがあるけど、正直、本の内容は私好みではない。つまらない。ヨシタケさんの『あるかしら書店』の方が好み。

クラフト・エヴィング商会は一時期ハマっていたのだけど、ハマっていた当時はAmazonもまだなくって、大型書店か図書館に行くしかなかった。その上、書店によってクラフト・エヴィング商会の本を置く棚の分類が違っていて、探すのに苦労したことが、強く印象に残っている。一般的な小説に混じって、日本文学のコーナーに置いてあったり、美術芸術コーナーだったり、写真集だったりしたのです。さもありなん、って感じな内容なんだけど。
(クラフト・エヴィング商会のお陰で、本の装幀にも気が向くようになって、クラフト・エヴィング商会が装幀を手掛けたという理由で『フェルマーの最終定理』を読んだりもしたし、カバーイラストを辿って、五十嵐大介の漫画を読んだりするようにもなったけど、これはまた別の話だな。)

ヨシタケさんもクラフト・エヴィング商会も、短編が得意というか短編がちょうどいいんだろうなぁと思っている。というか、両者ともストーリーがメインディッシュではないのですよね。
ヨシタケさんにとってのストーリーは、メインのイラストを引き立たせるための小噺。
クラフト・エヴィング商会におけるストーリーは、装幀・写真・工作品を魅力的にみせるための嘘。

絵本、美術書、小説、どこに分類するのが最適かわからないボーダーレスの本。

どちらも、好きなときに好きなページをパッと開いて、そのページだけじっくり読む、みたいな付き合い方がいいかもしれない。

あるかしら書店では『水中図書館』、
らくだこぶ21世紀 古書目録では、『羊羹トイウ名ノ闇』(の装幀)が好みです。

「あるかしら書店」ヨシタケシンスケ(ポプラ社)
「らくだこぶ書房21世紀古書目録」クラフト・エヴィング商会(筑摩書房)

(コンテンツ会議で採り上げていただきました。ありがとうございます。)

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