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ホテルという事業に(勝手に)魅了されている

大層なタイトルをつけていますが、実務としてホテルの開発や運営をやり切ったことはなく、いろんな業界で働く人の話を聞き齧った頭でっかちな妄想でしかありません。

聞けばAIが教えてくれて、画像も動画も思いのまま作ってくれて、何がファクトで何がフィクションか、ますますわからない渾沌とした世の中において、人間性やヒューマニズムを議論するとすると、それは2つの方向性があると思っています。1つはバーチャルな世界にアイデンティティを見出す方向、1つはとことんリアルを追究する方法です。

プログラミングやAIのあれこれを司るプラットフォーマー以外の人にとって、前者に意味を見出すとすると、コンテンツ力あるいはその人自身のキャラクターによるしかなくて、そういった秀でたものがない人にとってはもっぱら後者の方、つまりリアル、言い換えると身体性を拠り所にするしかなくなってきているのではないかと思うわけです。

そんな身体性を拠り所にしていくにあたって、やはり建築や不動産といった、リアルなオブジェクトはより重要性が増していくと感じています。それとオブジェクトを体験することに焦点を当てると、旅ということの重要性が増していきます。

回りくどくなりましたが、旅とその拠点あるいはディスティネーションとなりうるホテルという存在は、すごくエキサイティングなポジションにあります。これは、「思います。」ではなく、自分にとっては確信に近い何かです。

少し、別の目線でホテルを見てみます。

不動産とりわけ賃貸物件としての不動産は、主にオフィスや住宅のように床を貸して、その中での営みについては何ら関与しない(管理はする)タイプのアセットと、商業施設やホテルのように運営会社があり、その運営会社の腕次第で稼ぎが変わるアセットがあります。

後者はオペレーショナルアセットといい、ホテル事業の場合は所有するオーナーと、運営を行うオペレーターの関係性が非常に重要になります。

オーナーは、より事業性を上げるホテルを作るためにモノづくりに注力しますが、事業性の観点から投資回収のことを考えると無尽蔵にコストをかけるわけにもいかず結果「効率的に稼げる箱作り」を目指すことになります。

オペレーターも、より事業性を上げるためにサービスに力を入れたり、逆に人件費を削減するためのマルチタスクを導入したりします。ホテル運営会社とりわけそこのスタッフは、なにも稼げればよい、というマインドの人は少数でやはり、おもてなし(ホスピタリティ)を第一に考える人も多く、GMはその間で葛藤することになります。

ホテルはそういったオーナーとオペレーター間の着眼点の差や、現場スタッフとGMの意識の差など、様々なポジションの、様々な人たちの人間模様のクロスポイントであり、ミドルリスクミドルリターンを狙うといわれている不動産の中でも、とてもスリリングなタイプのアセットということになります。

身体性の観点からも、不動産の観点からも、ダイナミックでリアリティなホテルというものの面白さを最近とみに感じています。

私のnoteでぶっちぎりのレビュー数をいただいたNOT A HOTEL

あるいは、京都で独自なポジションを築いているGOOD NATURE HOTEL

いつか訪れたいラグジュアリーなホテルの数々

そういったスペシャルな体験ができるホテルというのは、その人間模様も含めて、やはりとても魅力的で参照したいものです。

一方で、巷に溢れるビジネスホテルは、じゃあそれらに比べて哲学もなく劣っているかと言われたらそうではありません。

先日のアメトーークで取り上げられたドーミーインの大浴場と夜鳴きそば

独自路線ながら、日本のホテル業界の雄であるアパホテルの客室やサービスの工夫

こういったものも先程の事業性の観点からも、目を見張るものがあり、決して外野が小馬鹿にして良いものではないと思っています。

建築の観点から見てもホテルは面白いです。快適性とWAO!という感動は必ずしも両立しません。忘れられない記憶に残るような特色あるものが良い場合もあれば、そこに馴染んで住宅のように居心地の良いものが良い場合もあり、奥深い。

成功しているホテルと話題になってるホテルと良いホテルと稼げるホテルはベン図のように一部は重なっており、一部は別であり、一概にわからないのがホテルだと思います。マーケティング本や怪しい情報宣材が謳うような成功の必勝法はなく、人間模様と運も味方につけながら、ベストではなくベターを常に目指していく事業はなかなか珍しいと思うのです。

デザインもホスピタリティも事業性も人間関係も立地もコンセプトも、いろんな要素をインテグレートして初めて一つのものが作り上げられる。これだけ書くとあらゆる事業がそうな気もしますが、それでもやっぱり群を抜いて面白い事業だと思います。これからも遠巻きかもしれないし、あるいは本当に入り込んでメインとしていくかもしれないし、そんな面白い事業を見続けていきたいな、と酔った勢いで描いてみました。(だいぶ酔いが醒めてきて、とにかく過去一の駄文な気がするな。)

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