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【読了】『きみの鳥はうたえる』---約400字感想

今日の一冊: 佐藤泰志著『きみの鳥はうたえる』

早稲田大学国際文化館、通称『村上春樹ライブラリー』でこの本を見かけてから、ずっと読みたいと思っていました。
村上春樹さんの『ノルウェイの森』を読み返してから読んだからかもしれませんが、同時代の(『きみの鳥〜』は1982年、『ノルウェイ〜』は1987年刊行)若者のヒリヒリ感が、非常に立体感を持って迫ってきました。
でも、主人公の彼のエネルギーの使い方については、理解と共感が難しかった。荒々しいところもあれば、すごく冷めているところもあって、少なくとも自分が彼の年齢の時にはこんなに達観していなかったし、なんなら今も彼よりずっと子供っぽいところもありそう。
もちろん別の側面を切り取ると「この子、ものすごく短絡的で稚拙だな!」と思える行為も多数ある訳ですが。
20代のアンバランスな美しさと恐ろしさと生臭さがストレートに伝わってきます。

ビートルズが “And Your Bird Can Sing” を歌った時、ジョンは25歳・ポールは23歳。主人公たちとさほど変わらない年齢だったのかも…と思うと、世界のスターに登り詰め泥のように働かされていた英国の若者の姿もまた立体的になりました。

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