見出し画像

空間コンピュータが叶える読書体験について考える。 - 妄想家はかく語りき -

突然ですが、今日は20年前の本を愛でながら20年後(未来)の本を妄想してみようと思います。

20年前の素敵な本

最近ものすごく気分の上がるビートルズ本を読みました。
2003年発行の『ジョン・レノン・レジェンド』という本です。

ジョン・レノンの幼少期から晩年までサクサクっとまとめてくれてるビジュアル本なんですが、仕掛けがすごくて。
開いてびっくり。興奮の連続でした。

ジョンのインタビューやライブの音源が添付されているのに始まり、ビートルズの前身バンド「クオリーメン」の名刺、ジョンの手書きの歌詞、ビートルズのライブのチケット、ポートレート、映画の入場券やポスター、ジョンとヨーコの平和活動でマスコミに配られた手紙や資料、ジョンが自宅で書いたイラスト・・・などなど、ページを捲るたびにエピソードに合わせた ”ブツ” が次々に現れてワクワクしっぱなしでした。

▼ 本の中身を紹介した動画もあります。

見方によっては「子供騙しのレプリカが詰め込んであるだけじゃないか」と思われてしまうかもしれませんが、なかなかこんなには詰め込めません。
愛がないと情熱がないと、こんな本作って売れません。
手にとって喜ぶファンを信じてないと作れないと思います。

1ページ捲るたびにここまでワクワクした本は久しぶりでした。
続きが気になって読み続けてしまう本というのもたくさんありますが、その感覚とはまた違った興奮を味わわせてくれました。

出版不況で規格外の本を作るのはますます難しい時代になっていますし、最近は電子書籍の存在感も大きく、持ち運びや保管の利便性から私自身も紙媒体ではなく電子版を選択することもありますが、こういう出会いがあると、本には「所有する・手にとってまじまじ眺める喜び」ってやっぱりあるよな、と改めて思わされます。

そして、そんな20年前の本を読みながら20年後の未来の本はどんな風になるのかな?と妄想しました。

20年後の素敵な本

つい先日、ビートルズの会社じゃない方のApple社がゴーグル型のAR/MR端末Apple Vision Pro を発表しました。
私も例に漏れず紹介動画を見たり関連記事読み興奮しているところです。

来年2024年の発売予定で価格はおよそ50万円という事ですが、5年後くらいにはスマホみたいに普及してたりするのかな?っていうか自分も使っていたいな、と思って見ています。

その『空間コンピュータ』と呼ばれるApple Vision Proができることを眺めながら、本はこれからどんな風にかたちを変えていくのかな?と考えました。

平たく言うと「自分はどんな本を求めているのか?」ということなんですが、この『ジョン・レノン・レジェンド』のAR本みたいなものが出来たらすごく楽しいと思います。

Vision Pro のようなMR端末を使って電子書籍を読んでいて、例えばビートルズのライブの話題が出てきた時、タイムスリップしてそのままキャヴァーン・クラブに行くことができる。
当時の狭くて暗くてじめじめしたキャヴァーンで、ビートルズの演奏を目の前で見ることができるとか、最高じゃないかと思います。
4DXみたいに湿度や匂いまで感じられるようになるとさらに臨場感が増しますし、そうすると、ゲット・バック・セッションのあのだだっ広くて寒寒したトゥイッケナム・スタジオや、ルーフトップのライブの空気感もリアルに感じられたり、ジョージがバンドを離脱してさらにジョンもやってこない最悪のミーティングにも参加したりすることもできるかもしれない…と夢は広がります。

The Beatles : Get Back / 2021 Disney +

チケットを持ってビートルズの映画をシアターに見に行く体験も、武道館ライブに潜入して当時のファンと一緒にビートルズに向かって叫ぶことだって叶いそうです。

空間コンピュータと音楽鑑賞

あとちょっと本からは離れますが、こういったテクノロジーは音楽の聴き方の幅も広げてくれるのではないかと思います。

例えば今は言葉で伝えるには限界がある歌詞の解釈を、聴いた人それぞれが自分のイメージを映像で伝え、それを共有することができたら、世界各国のファンによる何万通りのミュージック・ビデオを見ることができるかもしれない!なんてことも考えます(これはAR/MRというよりVR的な発想になるかもしれませんが)。

「 Drive My Car の車は何色かな?」とか、「ルーシーはどんな服を着てるかな?」とか「マックスウェルの銀のハンマーの持ち手は木製かな金属製かな?」とか、気になることはたくさんあります。

そうなると、逆にそれらのイメージ動画からビートルズの音楽を知ると言う人も出てくるでしょう。素晴らしい!

妄想とMRの未来は無限

他にも『未来の本の楽しみ方』ってことで言うと、例えばある小説を読んだ時、「自分はこの物語からこんな風景を思い浮かべた」とか「このシーンではこんな音楽が流れていた」など、それぞれの読者が思い描く光景を共有するギャラリーみたいなものがあって、MR掲示板(かつてのBBS)みたいなもので交流することができるようになったらすごく面白いなって思います。

私は、旅行はできることなら自分の足で現地に行きたいと思う人間ですが、ジョンが In My Life で歌っているように、変わってしまったり失われてしまった場所や、もう会えない人もいて、そんな時にMRが叶えてくれることっていうのは大きいんじゃないかなと思います。

ちょっと話がとっ散らかってしまいましたが、20年前に愛を持って作られた本と未来の私たちの生活を大きく変えそうなガジェットに同じタイミングで触れ、20年後の読書体験について妄想してみました。

権利関係の問題など簡単にいかないことは山積してそうですが、愛と情熱を持ってそれらを突破してくれるピーター・ジャクソン監督みたいな方がきっとやってくれる!というところまで妄想して終わりたいと思います。


この記事が参加している募集

読書感想文

サポートしてくださると、もれなく私が喜びます♡