カレーうどんには、誰も勝てない
妻の両親に連れられ、箱根に行く。
義父が、「君は、蕎麦が好きだったね」と言って、
おすすめの蕎麦屋に入る。
我々夫婦にとって、一年ぶりの日本だ。
毎食、妥協はできない。
僕が頼みたいのは、天ざるだ。
ラーメンで言うと、全部乗せ的な、
好物の蕎麦と天ぷらが一度に楽しめる、夢のやつだ。
だがここで、一つ問題がある。
この流れだと義父にご馳走になる。
そんな中、僕が天ざるを頼んでいいものか。
義父は、もりそばとかけそばの値段が違うことを、一人ごちている。
そんな姿を見て、僕のような若輩者がおいそれと天ざるなんか頼めない。
ならばここはプランBか、鴨せいろならいけるか、
そんなことを考えていると、注文のときが来る。
店員さん 「ご注文は?」
義父 「カレーうどん」
家族一同 「うどんかい!(でもちょっといいな)」
義父 「うん、君たちも、食べたいものを食べなさい」
どの家庭においても、父というのは立派だ。
そこの天ざるが、またうまいのなんの。
お蕎麦屋さん開きたい。