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カエルの日

 6月6日は「ケロ(6)ケロ(6)」と鳴くカエルに因んでカエルの日であると今日知った。我が家には2匹のクランウェルツノガエルがいると言うのに無知な飼い主である。
 クランウェルツノガエルはケロケロとは鳴かず「クゥワン、クゥワン…」と綺麗な声で鳴く。鳴くのは男の子だけだけれども。

 ツノガエルとの出会い、それは20年以上も前になる。高校生の頃だ。身バレ覚悟だが私は動物が好きという理由で高校は畜産科学を専門に学べる農業商業高校で学んでいた。ニワトリ、牛、豚、たまに猪、羊に山羊にウサギ、マウス…と様々な動物がいた学び舎。そんな、学校の職員室にそれはいた。

 マウス用のプラスチックケースに入れられて、黒い粒状の何か(今でならばカエルの用ソイルと分かる)に埋もれた目玉が2つ。
 多分、ツノガエル。ベルツノガエルかな?

 小さいながら、職員室の一角で「何か、文句あるか?」みたいな存在感。先生のひとりが飼っていたのだ。生徒の為ではなく、完全にプライベートで。今ならば何やかんやと問題になりそうな気もするが、それは20年以上前ののほほんとした農業高校。
 ちょっとしたアイドルでもあった。こんなカエルも世界にはいるんだなと物珍しくて、実験実習の結果などをまとめたノートを提出しに行く度に覗いていた。ほぼ目玉しか見えなかったけど。全身見たことなんてないけれど。

 そして、ある日突然姿を消した。

 行方を知りたくて、友人が実習実験のノートに『カエルは何処に行ったんですか?』と質問したら

『お星さまになりました』

 そう一言だけ、返ってきた。そうか、お星さまになってしまったのねと納得した高校時代。

 そして20年後、クランウェルツノガエルをお迎えした。高校生の頃の憧れがあった。あの珍しいと思ったカエルは飼えるらしい。飼い方や寿命なんかを調べてお迎えした、カエルは"いっちー"と長男に名付けられて、もうすぐ2歳になる男の子。両手のひらにちょこんと乗る姿は可愛らしい。ゲージの中ではソイルに埋まってほぼ不動。時々、お風呂に入る姿が人間ぽくて面白い。そして、両手のひらから溢れんばかりの巨体の持ち主チヌーク。こちらもクランウェルツノガエル。体重はほぼ500mlのペットボトル(中身入り)とダイナマイトボディ。こちらは1歳半にもうすぐなる女の子。

 人間の手のひらの温度でも火傷をしてしまうという繊細な皮膚を持つ彼らの為にお世話前には水道水で手を冷やしてから身体に触る。触れ合って可愛がるという事は出来ない。そして、剃刀並に切れ味鋭い歯を持っているし、瞬時に喰らいつき、強靭な顎を持つ。身体の半分近くが口じゃないかしら?と思うようなぽってりした体型。ほぼ動かない彼らを「可愛いねぇ」と眺めている。

真っ赤な目が綺麗ないっちー。多分寝ている。

 

大きく育ったチヌーク

高校生の頃に憧れたカエルがいる日々を大切に、我が家にいてくれるならば、最大限に幸せになれるようにお世話をしようと思うカエルの日。

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