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ばら売りのにんにく

最近ちょっといいギターを買おうか迷っている。今使っているのは中古の、しかもその店にあった一番安い7000円のアコースティックギターで、子どものおもちゃの塗装のように、「深み」とは無縁の軽薄なアイボリーだ。僕のことだから長く続かない可能性の方が高くて、1万円以上払う勇気はそのときはなかった。しかし、熱心ってほどでもないけど、なんだかんだ2年以上ほぼ毎日少なくとも5分はポロポロ音を出している。そしてついにこの前、通りすがりの楽器屋でちょっといいギターを試し弾きしてみると、あら不思議、鼓膜がビリリと喜んだ。そしてほしくなった。多分、あとちょっとで買う。

ギターを買う気になっている要因として、引っ越しをしたことも絡んでいる。というのも、引っ越しをする際、ギターは実家においたまま、まだ引っ越し先に送っていないのだ。とはいえ、ギターを弾かない代わりというか、必要に迫られてというか、引っ越してからはよく料理をしている。料理というのはやってみるとなかなか楽しいもので、自分で丁寧に作ったものはとてもおいしい。僕の場合、「料理のお兄さんりゅうじ(以下、りゅうじさん)」のおかげで自炊が続いている。(あるいは、彼はたまに「りゅうじのお兄さん料理」と自己紹介しているので、その方が正しいのかもしれない。が、僕はまだ料理が下手だからどっちが正しいのか判断できない)。

りゅうじさんの料理で、かつニンニクを使う料理は、割と大量にニンニクを使う。たとえばペペロンチーノ。それまで僕が自己流に作っていたペペロンチーノでは、にんにくは1片しか使わなかった。だけど、りゅうじさんのレシピでは1回一人分に2片も使う。はじめは多過ぎではないかと思ったのだが、以外と気にならなかった。そのほかにも、僕がよく作る麻婆豆腐でも2片使っていて、だからニンニクの消費がとてもはやい。

もちろん、僕が「早い」と感じているだけで、普段料理をする人は「普通じゃない?」と思うのかもしれない。でも、引っ越しをした当初、しかもりゅうじさんを知らない時期の僕は、いつもニンニクは正方形の袋に4片ほどバラバラにされて入っているものを買っていた。だからりゅうじさんを知ってから、たとえば昼にペペロンチーノ、夜に麻婆豆腐を作ったら、4片のニンニクなど半日でなくなってしまう。それまでまともに料理をしてこなかった僕は、ニンニクは4片でも5日はもつものだとと思っていたから、驚きだ。あまりにも消費が早いものだから、最近はネットに3個のニンニクが入ったものを買っている。これをかごに入れたときは、料理が習慣になってきたなと、うれしく感じた。

音楽で徐々にいい楽器を買いたくなるように、料理もなれてくると食材の買い方がだんだん大胆になってくる。

そのほかにも変化はあった。はじめ卵は6個入りを買っていたが、いまでは10個入りを買っている。この間なんて、もやしを2袋同時に買って、なんて家庭的なんだと自賛した。とはいえ、僕はまだ、タマネギを買うときは1個ずつだし、キャベツも2分の1。まだまだレパートリーが少ないのだろう。


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