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社内報の各メディア特性から考えるメディアミックスの可能性


はじめに

今や「情報」は私たちの生活に深く浸透し、ビジネス環境も例外ではありません。企業は、情報の効果的な発信が成功の鍵であることを理解し、その手段として様々なメディアを駆使することが求められています。その中でも、特に注目されるのが「メディアミックス」の概念です。

今回、ICの観点から「メディアミックス」についてざわざわしてみました。

紙メディアの特性は、解釈の「余白」

紙メディアの最大の特性は、読者がイメージを自由に持つことができる活字自体の「余白」にあるのではないでしょうか。もちろん、図表による詳細な情報整理であったり、ポイントの並列的表現などによってできる限り共通のイメージに近づけることはできますが、映像メディアのような強制力はなく、解釈はあくまで読者に委ねられます。そういう弱い紐帯の心地よさはあると考えます。また、かつては紙社内報を給料日に発行していた企業もあったようで、冊子という信頼性やモノを手にする身体的な体験が組織と従業員を繋ぐシンボルにもなっていたようです。カバンからサッと取り出せばどこでも読み始められる手軽さもあります。

一方で、環境負荷やコスト、鮮度のなさといった理由から、月刊から季刊発行へと発行頻度が少なくなってきています。このことでフロー情報がWebメディアに置き換わり、紙メディアとの棲み分けが進み、一冊子の中身が濃くなり厚みを増してきたように感じます。紙メディアの持つ深い思考の促進性を使って、世界観を共有するための媒体として変化していると考えます。

Webメディアは手軽だが、情報価値が低くなりがち

よく言われるWebメディアの特性は、低コスト、速報性、アクセスのしやすさ、更新性、インタラクティブ性です。読者はスマホがあればどこでも開けますし、リアクションやコメントをすることも可能です。また担当者は、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を利用していれば手軽に更新ができ、テキストだけでなく画像、動画、音声といった様々なメディア形式との相性がよいので、情報を多角的かつ効果的に伝えることができます。しかし、手軽な一方で表示回数を上げたいが為に、なんでもかんでもWebにアップしてしまい、情報過多が最近は問題になっています。紙メディアや映像メディアのような「編集」が軽んじられているため、情報価値が低い傾向がみられます。

また先に挙げた利点には裏の面もあり、コストが安いと言っても要求によっては、冗長なサーバやセキュリティ、動的な視覚効果や機能などで思っていたよりも高くなることもしばしばあります。Webの登場によってWebを礼賛する傾向がありますが、必ずしも万能なメディアでないことは確かです。

映像メディアは、情緒やリアリティが伝わりやすい

映像は視覚的で情報を効果的に伝えることができるため、複雑な情報でも分かりやすく表現できます。他にも音声や視覚的な要素を組み合わせたストーリーとして伝えることができ、感情移入を促進し共感を駆り立たせる効果があります。

また、インタビューにおいては、発言者の気持ちや熱量、人柄といった文字情報では負いきれない情報を、話し方や間、息遣いから感じ取ることができるのも映像メディアならではの特性ではないでしょうか。一方で、話し言葉は冗長性があり、その場(ライブ)だけではうまく伝えきれないことが起きる場合もあります。

紙メディアであれば、追加取材をしたり、自分で調べて補足することができます。しかし、その分リアリティ(現実味)が無くなるってことはあるかもしれません。もちろん紙のまとめる編集と映像の削ぎ落とす編集には、大きく違いがありますが、映像は、ナレーションを加えることで、繊細にコントロールしていくことも可能です。

メディアミックスの可能性

メディアミックスとは、複数のメディアを組み合わせて情報を発信する手法のことを指します。これは単なる情報の拡散ではなく、相互に補完し合いながらより効果的に伝えることを目指す戦略です。各メディアの特性を組み合わせてメディアミックスを構築することで、単体で発信するよりも効果的な情報発信が可能となります。

漫画原作のアニメ化や、ハリーポッターのような小説、映画、舞台、テーマパークといったメディアミックスは、それぞれが別々で成立しながら、他を知ることでより深く世界観を理解できるようになっています。メディアミックスを考える際に、全てのメディアをみないと答えがわからないパズルのような構成ではなく、どのメディアをみてもある程度の理解ができる設計が重要ではないでしょうか。例えば、インタビュー映像なら、紙メディアとして補足情報を追加して再編集できます。Webメディアでは、ポイントごとに要約し、該当するインタビュー映像を埋め込むことで、時間短縮ができます。受け手にも得意不得意があるはずです。受け手にすべてのメディアでの理解を期待するのではなく、好きなメディアで部分的にでも伝えたいことに触れてもらうことが重要だと考えます。

補足し合うという考え方からプラスアルファを生み出すという考え方に転換できると素晴らしいのではないかと思います。

おわりに

メディアミックスはICにおいて、情報の効果的な伝達と共有を促進し、チームの連携を強化する可能性があります。しかし、紙メディア、Webメディア、映像メディアにはそれぞれの特性があり、そして、それぞれ課題もあります。メディアミックスの構築にはそれぞれのメディア特性を理解した上で、情報をより理解しやすく消化できるような工夫が不可欠です。

今後、Slackなどのコミュニケーションツールや、ショート動画といった新しいメディアも増えていくでしょう。その時にバラバラに配置するのではなく、進捗を伝えたり、後日談を掲載したり、それぞれのメディアに橋をかける時系列での仕掛けも重要になってくると思います。

まとめ:井上毎朗、コウレリョウヘイ


この記事について

“ざわざわ”は、ツールの使い方や社内コミュニケーションの最適解を教え合う場ではありません。道具が多少足りなくても、できることはないか?姿勢や考え方のようなものを「実務」と「経営」の両面から語り合い、共有する場です。

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