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アメリカで拡大中のキャンプ版 Airbnb は日本でも成功するか

個人宅を宿泊施設として提供するためのプラットフォーム、といえばアメリカ発のAirbnb ですよね。最近は ◯◯版 airbnb という表現をスタートアップ界隈のニュースで見かけることもありますが、同じく不動産を活用したシェアリングエコノミーのスタートアップにHipcamp という会社があります。

こちらが手がけるサービスはまさにキャンプ版Airbnb。個人が所有している遊休地をキャンプしてよい土地としてHipcamp に登録すると、Airbnb のようにキャンプしたい人とマッチングしてくれるサービスです。

Hipcamp によればアメリカの国土のうち約60%が私有地かつ利用されていない遊休地であり、自然を壊さず活用したい所有者と、様々な場所でキャンプを楽しみたいアウトドア愛好者の受給を結びつけようという狙いで開始したとのこと。

このビジネスモデルを参考にしたと思われるサービスが先日日本でもリリースされました。

キャンプ場検索サイト「ExCAMP」が遊休地マッチングを開始、空いてる土地を「キャンプ場」として貸し出すオーナーを募集

リリースによると日本の国土のうち52.7%は私有地で、特に地方部の自然豊かな土地の多くは放置されている現状があるという。このような遊休地の割合は年々増加しており、この有効活用として同社はキャンプに着目した。forentの設立は2018年1月。筑波大学発ベンチャーとして同大学が 承認している 企業となる。

ExCAMP のプレスリリースによれば日本もアメリカ同様に遊休地が国土の過半数を占めており、有効活用を目的として同サービスを開始したとあります。

Hipcamp のカバー範囲は現在のところアメリカ国内がほとんどですが、数回の資金調達を経て事業を拡大しているようです。このようにアメリカではこの事業に対して投資家からの評価も得ている状況ですが、ExCAMPは日本で同様の評価を得て事業を成長させることができるでしょうか。

アメリカのキャンプ人口を調べてみたところ、2016年のキャンパー総数は約4000万人。2016年のアメリカ人口が3.2億人なので、人口比率12.5%です。

対して日本の人口1.2億に対してキャンパー人口830万人というのは、同じく人口比率だと6.9%です。

単純に比較するとアメリカのキャンパー率は日本の2倍、キャンパー数で比較するとアメリカのキャンプ人口は日本の5倍ということになります。

「いや、アメリカ人はキャンピングカーでキャンプするから、単純に比較できないのでは?」 という疑問を持たれた方もいるかもしれません。こちらも調べてみたのですが77%のキャンパーがテントでキャンプしているようなので、そこを差し引いてもキャンプ人口にかなりの開きがあることは事実です。

また、Hipcamp, ExCAMP それぞれに共通しているターゲット層についてですが、既存のキャンプ場ではない場所でキャンプをしてみたいというユーザーが日本でどの位いるでしょうか。

アメリカの場合、キャンプが日本よりも身近で、なんとなく冒険好きな国民性? も相まってHipcamp の様なサービスは成立していると思うのです。※後半は個人の見解です

近年日本でもアウトドア・アクティビティは盛り上がり続けていますが、オートキャンプ場が主流で清潔なトイレやお風呂のある施設を重視する日本人に、Hipcamp の様なワイルドなキャンプ場の需要が多くあるのか、そこは少し疑問を持たざるを得ません。

この様な業態で可能性があるなと思っているのは、子連れ家族のプライベートキャンプ場というアイデアです。

日本のキャンプ場では子連れをアリにするべきか、といった議論がY!知恵袋やfacebook などで繰り広げられていますが、子供がいてもキャンプが好きな夫婦はいるわけです。ただ区画が制限されているオートキャンプ場では子供が夜泣きした場合近隣に迷惑をかけてしまうということを恐れ、泣く泣く子供が大きくなるまでキャンプを我慢している家族はいるんですね。

そういった子連れファミリー向けに、1組限定のキャンプ場として私有地を開放するのはどうでしょう。1組であれば自宅のバス・トイレを提供してもさほど負担にはならないかもしれません。

実際プライベートキャンプ場を謳うグランピング施設も増えていています。

日米のキャンプカルチャーの違いを乗り越えてExCAMP が普及していくのかどうか、注目していきたいと思います。

参考資料:2017 American Camper Report



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