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こどもとエイゴ

もう、何年も前の話だが、忘れられない話がある。
ニューヨークに住んでいた時に出会ったとある日本人の話。

彼は父親の仕事の関係で幼いころにアメリカに来た。
小学3年生頃だと言っていた。
以来アメリカに住んでアメリカの学校へ通い、現地人と同じ教育を受けてきた。駐在員の子息のように日本人学校へ通うことはなく、せいぜい週末に日本人向けの補習校へ通っていた。
彼はアメリカへ来たことを後悔していたし、そもそも連れてこられたという事に対して未だに受け入れられないという事を話してくれた。自分のように自分の意志で好き好んで異国の地へやってきた者には到底理解しがたい感情があるのだなとおもった。
「それでも、小さいころにアメリカに来たんだから英語の覚えも早かっただろうし、環境の変化に慣れるのも難しくなかったんじゃないの?」
「確かにそうかもしれないが、幼いころに異文化をや言葉を覚えることにはそれなりの大変さがある。僕はまだ順応したほうだが、精神的に不安定だった」
そう言って彼は彼の友達の話を始めた。


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