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創作まとめ

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書かれたもの(創作)をまとめたもの。
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記事一覧

黄色い鉛筆

昨日の夕方、仕事帰りの夜道を歩いていた私は道に落ちている軽い棒をこつんと蹴ってしまった。…

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みえない

私は死んだ。留学先のアメリカで事故にあってしまったのだ。あと一度だけでいいから日本の家族…

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限定

「限定」、どんなにつまらないものでもこのドレスを着ればキラキラと輝いているように見えるも…

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じいじ

昨年のはじめ、私にもついに念願の孫ができました。私は男ですから子供を産むというのがどんな…

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「夏、お前はなぜそれほどまでに遠慮を知らない? 俺はお前に幾度となく言ったはずだ、人間と…

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じいさんのシフォン

これは私が高校に通っていた頃の話だ。当時の私は学校の行き帰りに路線バスを使っていた。幸い…

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まよなか

「ただいまー」 闇に包まれた空っぽの部屋に声を投げたところで何も返ってきやしないことはわかっているのに、実家ぐらしの頃につけた癖はまだ抜けそうにない。 部屋の灯りをつけて壁にかかった時計に目をやる。もうすぐ0時、日付が変わるころだ。ふたりはそろそろ真上を向いて出会う。会社に入って3年、彼女なんか作る暇もなく夜の相手はいつも書類。こんな時間まで返事もしない書類と戯れる生活のまま老いて死ぬ、恐ろしい。 物思いの隙に背の高い針が短い針に追いついた。不思議な羨望の目で時計を見つ