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『野良猫ロック ワイルド・ジャンボ』 藤田敏八監督らしいテイスト。梶芽衣子が強く印象に残る。

評価 ☆



あらすじ
1970年代、退屈な日々を過ごしている不良若者グループのペリカンクラブ。ガニ新、ジロー、デボ、C子たちは、自由気ままな毎日を過ごしている。しかしどこかが満たされない。ある日、タキの前にアサ子という女性が現れた。彼女は新興宗教団体の資金強奪を彼らに持ちかける。



藤田敏八監督の映画は意外と好きで観ているけれど、この映画にめぐり合うチャンスがなかった。『野良猫ロック ワイルド・ジャンボ』。1970年公開の映画だ。野良猫ロックシリーズは全5作製作されていて、この映画は第2作目にあたる。ただ、各々の映画には関連性はない。



藤田敏八監督の『八月の濡れた砂』、『赤い鳥逃げた?』もそのうち紹介します。もちろん、彼の映画はカラー。1970年代に活躍した監督です。モノクロは多分一本もないと思う。確認しておきます。




物語は宗教団体の寄付金を強奪してしまおうという話。血の気ばかりが多くて、しかもやることのない不良グループの地井武男、藤達也、梶芽衣子、夏夕介などが計画する。



映画の途中までは微妙。面白いのか面白くないのかすらわからない。もともと藤田映画はそうなのだが話が右往左往する。どこが複線なのかもよくつかめないが、各シーンでは見せ場があって楽しい。笑いがあったり、シリアスだったり、緊張感があったり。そのうちにいつのまにかラストって感じになります。



藤田敏八監督の映画を観終えるといつも奇妙な感じが残る。今回の『野良猫ロック ワイルド・ジャンボ』は「ルパン三世」を観た後のようだった。ルパン三世のテレビシリーズってだいたいそうなのだが、ルパンたちが計画してもあんまり計画通りにいかない。五右衛門が怒ったり、峰不二子が邪魔したり、銭形のとっつぁんが茶々入れたりしてくる。そのうちにエンディングになり、なんとも言えない虚無感が残る。なんか、それに似ている。



僕はアニメに詳しくない。ルパン三世というアニメが日活の流れを汲んでいるというのは知っているけれど、それ以上の知識がない。初期のルパンはまさに藤田敏八監督の映画的ではある。大和屋竺の影響か? それともにっかつの面々が映画からテレビ、アニメに流れたせいか? いずれにしても、ルパンの初期の雰囲気が好きな人(といってどれくらいの人がわかるのだろうか?)は、この映画を観ても面白いかもしれない。



それにしても梶芽衣子は綺麗でした。今回は脇役なんだけど、しっかり輝いていました。




追記



前作にあたる1970年公開の『女番長 野良猫ロック』は和田アキ子が主演。アンドレ・カンドレつまり井上陽水が登場しているらしい。こちらの方は未見。観たいような観たくないような。いずれにしても70年代の若者たちの雰囲気だけは伝わってきます。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-04-06



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