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AIが描いたブラックジャック最新作ついに公開!感想行きます!

今回は「ブラックジャック」最新作がついに公開され早速読みましたのでその感想戦となります。

簡単に概要
2023年、11月22日発売号の週刊少年「チャンピオン」誌において令和の時代にあの「ブラックジャック」の最新作が公開されました。以前より話題になっておりました「手塚AI」企画というAIの技術で手塚治虫の最新作を作っちゃおうという壮大なプロジェクトのひとつでその題材として数ある手塚作品の中から「ブラックジャック」が選ばれたわけであります。
詳しくは過去記事にてどうぞ。

それでは早速本題に参りますが、
まずこれを言っておかないとダメでしょう。

それはですね、、、


「チャンピオン」売ってなくね?
(ここから長くなるので本題の方は下記の「本題」まで飛ばしてください。)

発売日当日に、週刊誌なんてどこでも買えると思って余裕ぶっこいてコンビニ行ったんですけど

、、、「チャンピオン」売ってなかったんですよ。

「ジャンプ」と「マガジン」はあるけど「チャンピオン」はない。

マジか。

そんな事ある?
もしかして「チャンピオン」人気なの?
まさかの「ブラックジャック」効果なの?

まぁいいや次のコンビニに行きました。

すると、、

え? マジで?

「ジャンプ」「マガジン」はあるけど「チャンピオン」はない。
本日二度目。
おいおい、、
これはマジで「ブラックジャック」効果もあり得るぞと思いました。

ちょっと興奮して3件目のコンビニ、、、、

「ジャンプ」「マガジン」はあるけど

「チャンピオン」はない。
はいー、出ました。
バース、掛布、岡田のバックスクリーン三連発。
そんなことありますの?

週刊漫画雑誌が発売日にコンビニで買えないってそんなことあるんすか?
令和ってそんな時代になっちゃったんすか?

これはもう怒りのハシゴ酒、4件目ですよ
そしてついに発見しました!
しかもラスト一冊の「チャンピオン」
普通だったら手を付けないヨレヨレの「チャンピオン」でしたがこれはもうゲットです。
あぶね~あぶね~。

この立ち読みされ散らかしまくった残骸から推測するにマジで「ブラックジャック」人気でおっさん層が買いまくったんじゃないかと思いました。

そしてその直後ですよ。
次の衝撃が襲います。

「340円」です。

え? 何が? 

一瞬レジの人が間違えたんだと思いました。


「うそやん!」

いや、持ってますよ。340円くらい。ちゃんと払いましたよ。

そういう事じゃなく、
「チャンピオン」が340円もするの?
どゆこと?
????
インフレってそこまできてんの?
本当にこの数秒間、何が起きたのか理解不能でありました。

せいぜい200何円くらいだと思ってましたし、行っても200後半。
それが340円って、マジでレジの方が間違えたと思いました。

正直、、ボクは週刊マンガ雑誌、買わないし読まないし
読んでたのって今から30~40年くらい前になるので分からなかったんですけど340円はめちゃくちゃ衝撃でした。
ちなみに気になったんで「ジャンプ」調べたら290円でした。

ええっ! 
こんなに開きあるんすか?

はて…昔って各誌みんな一緒くらいと思ったんですけど?
今ってこんな事になってるんすか?
こんな差が開いていたらちびっ子たち「チャンピオン」買わなくないですか。50円ってめちゃくちゃデカい差額ですよ。

いや~色んな意味でカルチャーショック受けたって話です。
はい。すみません。余談でございました。

…さ、というわけで気を取り直して本編行きます。


----------------ここから本題----------------------

さぁついに出ました。AIが完成させたブラックジャック。

読みましたよ。

結果先にいきましょうか。

結果はですね、、、、

良かったです。 総じて良かったです。


非常にブラックジャックしてましたしテーマもストーリーも良かったです。
期待以上の出来でありました。
これがAIが作ったの?
思えるくらいに完成度も高かったし手塚先生っぽくもあり
ブラックジャックっぽさも感じられる作品で純粋に良かったです。

やっぱり前回と比べて完全新作マンガではなく既存のマンガをベースにしたのが良かったと言えます。
「ドラえもん」や「サザエさん」みたいに基本ベースにストーリーを作っていく方が難易度は低いですし再現性も高まりますね。
今思えば「ぱいどん」の時は完全新作ですから
とんでもない化け物みたいなハードル設定してたなって思います。

無いものを形にしてくいく辛さはそりゃあAIでなくても相当なものです。

だから「ブラックジャック」という素材の上でAIを活用していく方が遥かに効率的だし、よりAIへの指示も的確にできたのではないかなと思います。
そういう意味でも今回の作品には躍動感があり
活き活きとした生きた感じがしっかりと感じ取れました。
やっぱりキャラクターがいいと勝手に物語が動き出すと言うようにキャラが立っているというのは良いマンガの最低条件であり作品のベースがあれば如何様にもアレンジできるなって改めて思いました。

ストーリーも良かったです。詳しくは言えませんが、
「ロボット」「人形」「器」「女の子」「変身」要素がしっかり入っていましたし手塚先生が描きそうな大好きなテーマが上手くミックスされていました。

追加で
「両性具有」「獣」入ってたらほぼ完璧なんじゃないかってくらい良く練られたストーリーでした(笑)
今風だし、手塚先生が実際に描きそうな内容だし
当然、「生命」に関するテーマが主軸にあって「生命」の扱いについても
上手く絡めてブラックジャックしてました。

その中でも一番ドキっとさせられたのがピノコの「人間ってなんらの?」ってセリフ。これはキター!ってなりました。

このセリフは手塚作品における不変のテーマですから
この辺りの構成はお見事でした。
思わずファンならニヤついてしまうシーンだし、無言のブラックジャックもまたいい。これはマジで手塚先生が描いたって言っても信じてしまうくらい素晴らしいシーンでした。

あとクライマックスも駆け足でしたがめちゃくちゃいい終わり方してます。
ハッピーエンドではないけどバッドエンディングでもない
ブラックジャックらしい、手塚治虫らしい
ちょっと考えさせる締め方をしていて非常に良かったです。

ただこれ、最後の3ページは人間の手によって制作されたそうで、
まだまだAIだけだとこのレベルには到達できないのかなとも思いました。
その他、ピノコの「奇形脳腫」を思わせる件や
細かい辻褄合わせも人間がアレンジしているらしくて
伏線的な要素にはAIが及ばない領域なんだと思いました。

言われてみれば、
AIには、点と点が繋がることが気持ちいいという感覚なんてないんで
そういう横道にそれる「ムダ」な展開は発想できないんでしょうね。
…というよりプログラムとして組み込まれていないんだと思います。

でも裏を返せば、今後めちゃくちゃ複雑な伏線プログラムが入力可能になれば誰も思いつかない、全人類が虜になってしまうような圧倒的なストーリーをAIが爆誕させる可能性もあるわけで
それはそれで面白いですけど、ちょっと怖い気もしますね…

で今回のストーリーですけど、、
人間と共作という側面で見れば総じて良かったです。
これをベースにもっと洗練させれば映画版のストーリーとしても2時間くらいのボリュームある展開も十分可能なレベルであったと思います。

「ぱいどん」の時はあれもこれも情報過多で伏線回収もままならず
とっちらけで終わっちゃったんですけど今回はしっかりと着地していましたので良かったです。


逆に悪かったところで言えば…
やっぱりコマ割りになっちゃいますね。

ここはどうしても気になってしょうがない。
他の作家さんならいざ知らずボクにとって手塚治虫ってコマ割りの人なんで
コマ割りが普通ってもうあり得ないんですよ。
長嶋茂雄がサッカーやってるようなもんですよ。

例え古いっすか? 
今風に言えば大谷翔平が囲碁と将棋の二刀流やってるようなもんで
「野球やれよ」って思いますよね。

それと同じでボクにしてみれば「コマ割りやれよ」って感じです。
そこスルーするんかい! 
そこ本職なんですけど… ってことなんですよ。

そこはね、前からも指摘させてもらってたんですけど
やはりスルーされたかって感じです。これは残念。

あとコマの枠線が太い。
手塚先生ってあんなに太くないんです。
そして同時にキャラクターの線も太い。
ひどいコマなんか、枠線とキャラの線が同じ太さのコマありました。
これはいただけません。

これキン肉マンですかってくらいキャラの線が太い。

手塚キャラって丸っこいイメージがあって太く感じるんですけど
実際の手塚先生のペンタッチって細いんです。
細く滑らかなタッチが特徴なんです。

そして今回のペン入れは「つのがい」さんが担当したそうなんですが
つのがいさんって確かに手塚先生の模写をさせたら天下逸品の手塚プロ公認のすごい人なんですけど
イラストレーター的な上手さであってマンガ家向きじゃないんですよね。
デザイナーっぽい仕上がりになちゃってて
だから線も太くなったんじゃないかなってボクは思ってます。

…でおそらくサインペンで描いているんじゃないかと思いました。
違ってたらごめんなさい。

だから一定の美しいラインには向いているんですけど
逆にタッチがキレイすぎて手塚先生の狂気が希薄になっています。

手塚先生って筆圧の強弱がめちゃくちゃあって、タッチの速度と力加減でキャラクターに躍動感と生命観を生み出しているんですけどこれは作家個人のクセみたいなもので完全コピーは難しいと思います。
思いますけど、ここは意識して欲しかった。

結構ここら辺の細かいところは、ないがしろにされがちですけど
漫画家さんのタッチに寄せて描く事って作品の完成度において大きなウエイトを占める要素だとボクは思います。

あとは背景の書き込み。
背景の白抜きが多かったですね~。 手塚先生って必ず背景入れるんです。
どうでもいいところにまで背景入れちゃう人なんです。
締め切り過ぎてるのに「背景書き直したい」って書き直したくらいのド変態なんです。

それが手塚治虫の特徴なのに
背景が白抜きされるってだけでちょっと世界観薄いなぁって感じちゃいます。意識して見ていなくてもそういう違和感ってガチファンじゃなくても感じるものなんですよ。なんか違うなって。

さっきからコイツ、随分マニアックなこと言ってんなぁって思った方も多いと思いますがそのちょっとした違和感が作品のクオリティを高めるんです。

ディズニーランドとか、
なんか一流のこだわりみたいなのあるじゃないですか
そこまでこだわってんの?スゲーみたいなやつ。
そういう細部の丁寧さが作品のクオリティを飛躍的に高めるし
プロジェクトの格式を高める要素になり得るんですよね。

逆に些細なところの手を抜くと「あ、惜しかったな」「そこ手抜いちゃうんだ」って勿体ない取りこぼしにもなっちゃたりもするんで
世界観の作り方って思っている以上に大事な要素だとボクは思います。

まぁなんだかんだ言いましたが総合すると非常に良かったので、
また次回「ブラックジャック」ではないかも知れませんが
「手塚AI」企画、是非とも継続して欲しいと思います。

そして今回の企画で
初めて「ブラックジャック」を読んだっていう読者も沢山おられると思います。是非その方たちのご意見聞きたいです。

「ブラックジャック」に初めて触れた方々のコメントが非常に興味あるんですけどそもそもそんな方々がこんなハゲ散らかした年齢層高めのマニアックな記事なんか見ていない事の方が多いので、もしご家族の方やお知り合いの方がおられましたら、是非とも感想お寄せくださいませ。

ちなみにもうこの記事公開日には次の「チャンピオン」が発売されて
買えなくなっていると思いますがキンドル本で買えますので
是非見てみてください。

何気にマンガではない部分の解説ページも見応えあって
この企画に全く知識のない方にも分かりやすく解説されているので
このプロジェクトがどんな意味合いを持つのか分かるかと思います。


という訳で以上「ブラックジャック」の新作感想レヴューでした。

手塚AIプロジェクト関係者の皆様今回はどうもありがとうございました。

AIという新たな可能性への挑戦
そしてブラックジャック含め、手塚作品を知らない世代に向けて
その素晴らしさを伝える企画、イベントにおいても全力で応援しておりますので引き続き我々に明るい未来を見せて欲しいと思っております。


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